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今年98歳になる母は私の顔が少しは分かるのか会うと意味の無い声を発して笑いはするが言葉を出せなくなって3年になる。これまで風邪を引くたびに肺炎を続発してなんとか回復してきた。自分では何も出来ず、殆ど寝たっきりであるが、グループホームのスタッフが昼間何とか車椅子に移乗して食餌も介助で口に運んでやると飲み込む。話しかけると恥ずかしそうに小さい声で短く笑ったり目をつぶり、体を動かすだけである。何か言いたいのかもしれないが言葉に出せない。10年位前の夏、暑い部屋の中で一人でテレビを見ながら、うなだれている所を運よく発見された。脳梗塞であった。1週間ぐらい死線をさまよい、やっと回復した。半身不全麻痺で歩行が不自由になった。リハビリで麻痺が回復し歩けるようになり物を持てる様にまでになった。しかし物忘れや認知障害で、妄想、幻覚がでて私たち夫婦だけで一日中介護するのが出来なくなった。出来たばかりの私のグループホームに入居させスタッフに見てもらうようにした。それから徐々に認知症が進み廃用に近い状態になっている。殆ど物事にも反応を示さずただ生きているだけの状態である。しかし風邪をこじらせて肺炎で重篤に成り、かねてあまり世話をする機会も無く会ってもいない私の兄が心配して見舞いに行き、大丈夫かと声を掛けた所、涙を見せたのである。今は肺炎も回復し小康状態に有る。グループホームのスタッフが私の母を生かそうと懸命に努力している。それが通じたのかある朝「ありがとう」と声を出した。脳梗塞を起こしてからの母を観察してきて、長い経過の間にゆっくりでは有るが代償性のものではない本当の再生が脳に起こっていると信じるようになった。

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改正介護保険法で新介護予防が導入された。そして要介護区分の認定方法も介護予防振りわけに重点が置かれたものになった。創設当時の認定方法は身体障害によるADL低下に視点が置かれ認知症は殆どといっていいぐらい考慮されておらず途中で問題になり主治医意見書を中心に見直された。そして5年が経過しやっと認定にばらつきが無くなり安定して来ていた。現場で関わる者としても身体、および精神状態に応じた妥当な判定がなされるようになり安心していた。そのような中で、介護保険財政の先行きの悪化を理由に介護予防が導入された。今度は認知状態を判断材料として予防給付と介護給付に振り分けられるように変更され、ADL低下が無視された格好になった。介護保険利用者は当初から寝たっきりや酷い認知症でサービスを利用する要介護2、3,4,5区分以外は要介護1区分の者が大部分を占めている。そのため介護給付費が増えすぎ財政が悪くなった。介護予防導入によって介護報酬を包括化するとともにサービスを制限する事によって給付費の抑制を図るものである。そもそもの視点は給付費抑制と言う財政面におかれ介護の本質を無視したものになった。一次判定ソフトがその様に作り変えられている。認知症が有るか無いかに中心が移り今度はADLの程度が無視したものになっている。極端に言えば頭が有る程度しっかりして居て曲がりなりにも何かにすがって歩ければ介助の必要な生活状態でも介護予防になってしまうのである。実際介護認定審査会での二次判定審査での一次判定変更率は改正前より格段に多くなっている。そのような状況を察知した厚労省は2009年の改正でこの認定方法を見直しADL、IADLを中心に生活ぶりに視点を置いた認定方法にすると発表した。介護予防給付導入でのやりすぎが幼児帰りをもたらした感も否めない。

 

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