入院患者さんに寝たっきりの方がいる。一点を見つめたまま話しかけても視線も動かさない。言葉も出さない。私が病室を訪れて目を合わせてむかしの流行歌を歌うと視線を私に向けて口元が緩み、何かを訴えるしぐさを見せる。グループホームや通所サービスでは歌ったり、歌ををベースにして進めるゲームが日課として取り入れられ効果をあげている。季節、時間、場所、人の認識や言葉の記憶を忘れている認知症の酷い方でも歌を使ってコミュニケーションが出来るような気がしている。単純な言葉と違いリズム、メロディーのある音楽は記憶のメカニズムが違うと思われる。音楽は2重3重の複雑なプロセスを踏む為とも思われる。錠前と鍵に例えれば意味言語は個別の合鍵であり、歌はマスターキーみたいなものかもしれない。
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