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わが国の医療体制は高齢化の進展や改革の先送り等で医療費が際限なく増え続け、特に医療保険財政は危機的状況にある。安定した医療体制を持続するための医療制度改革には、保険者機能の強化、診療報酬体系、薬価制度、医療提供体制の見直しもあるが今後高齢者の増加に伴い保険財政を圧迫する高齢者医療制度の抜本的改革なくしては不可能である。昨年決まった医療制度改革では75歳以上の後期高齢者を被保険者として独立した高齢者医療制度が創設され平成20年4月から実施される。その運営は県内全ての市町村が加入する広域連合が行うことになる。財源は公費5割、若者支援4割、高齢者1割で構成される。

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65歳以上の介護予備軍を特定高齢者と言う。そのスクリーニングに使われるチェックリストには25の項目が有る。鬱関係の5項目を除いて20項目の中で12項目以上が該当すればリストアップされる。運動機能に関しては「転倒の不安が大きい」などに関係する5項目、口腔機能については3項目の全てに当てはまらなければならない。厚労省は当初から全65歳以上人口の5%を介護予防事業に参加させるつもりであった。ところが実際に住民健診と併行して行った結果は全国平均0.44%に留まった。これでは予防事業の効果も無い。原因として該当チェック項目基準が厳しい為であると結論づけた。そこで今年4月からは該当項目が10項目以上と基準を緩和する。特に口腔機能3項目を2項目に、転倒の部分5項目を3項目以上と現行より少なくする。栄養改善の血清アルブミン3.5g/dl以下を3.8g/dl以下にする。もっとも特定高齢者0.44%の数字は65歳以上人口の23%の自主的に住民健診に訪れた比較的健康な人の平均であり、引きこもりの人は健診に参加しない可能性も有る。

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去年6月27日のブログに「頑固な天使」主人公の婦人の不思議な行動が認知症のピック病のなせる業だったと書きました。今朝、朝日新聞のトップページ最上段に「なぜ万引き・・・ピック病だった」のセンセーショナルな活字に目を奪われ、胸躍らせ読みました。社会的地位のある人がスーパーで万引きしたと言う不名誉な事件、これまで原因は出来心からと書かかれる事が殆どで、その度に何故、どうしてと不思議な思いに駆られました。その疑問が、今日解けました。私の患者さんの場合もスーパーで食べ物を万引きし警察の世話になると言う常識では反社会的行為が続きどうしようも出来ず私のところに相談に来ました。家族はそれまで恥ずかしさで誰にも言い出せず2人で隠れるように生活していました。今日の新聞記事で目から鱗で認知症のピック病の1つの症状の万引きで社会的地位を失った人達の名誉を取り戻す事が出来たのです。そして何よりも大切な事は、これからは認知症とくに若年認知症について知識を持ち、その様な症状の人の認知症に早く気付いて助けてあげられる社会になることです。そして私の記事もその手助けになればと思います。

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最近私のグループホームに入居した方がいる。比較的まだ若い。家では夫と2人暮らしだった。彼女の様子がおかしいと夫が気づいたのは12,3年前、冷蔵庫からビールを出してくるように頼んだところ目の前にある冷蔵庫が分からない。冷蔵庫はどれか教え次にビールを取ってと頼んでも今度はビールがどれかも分からない。いつもお前も一緒に飲むビールだよと怒っても分からない。その時以来、家事がまったく出来なくなった。心配して夫は彼女を精神科に連れて行き痴呆の薬も貰った。少しも状況は変わらなかった。夫は仕事もさることながら家事もこなし彼女を自分の子供を扱うように介護しながらがんばってきた。彼女はまだしっかりしていた頃から町内のグランドゴルフのグループ入っていた。行動がおかしくなってからもその習慣が抜けず、毎週2回は早朝のまだ夫が寝ているうちに家を出て2時間位を費やし2箇所の競技場をさっさと回って帰って来た。行き帰りの道順はいつも同じで、何処にいるか見当をつけて探すと大体其処にいた。記憶力、認知能力に障害があるとはいえ何処にそんな能力が残っているのか不思議でならない。時計を見て自分の行動をコントロールできるのである。とにかく自分の決めたコースを狂う事なく時間通りにかえる能力には驚く。何処にも助けを求めず人知れず悩み、耐えてきたご主人が意を決して私の所に相談に来たのには理由があった。スーパーに買物に行くと並べてある商品の食物を金も払わず、手当たり次第に手に取って食べ出し、店に謝り、警察に相談する事が何度も続き、社会に迷惑がかかり出したからである。会って話す御主人の顔は険しく、すつかりまいってしまい人間不信に陥っている様子。彼女は視線も会わせず意思疎通まったくのゼロ。幾日も入浴もしてなくてお尻が気になるのか座ろうとしない。ただご主人の言う事だけはよく聞いて行動できている。家での2人の暮らしぶりはドウなんだろう。想像も出来ない。とにかく我々も少しでもご主人が楽になるようにすることが大切と考えデイケアで昼間預かる事にした。グランドゴルフ場回りは相変わらず続け、スーパーでの行為も続いて目が離せず少しのスキに抜け出す事もしばしばではあったがスタッフの努力でデイケアに順応してきた。怒りはしないが自分の決めた事は頑固に一途にやり通す。それを止めようとすると物凄い力で抗う。あらゆる事にご主人の指示だからと話すと何とか従いスタッフに心を開くようになって来た。そして自分から話しかけるように変わった。何年にもわたり記憶が失われ誰にも相手にされない戸惑いと不安の中で頼れるのはご主人しかいなかったのである。申し込んでいたグループホームに入れるようになった。ご主人と離れて暮らす事になった。入居初日から問題が起こった。夕食を済ませ入居者夫々休むため部屋にひきあげた。スタッフは玄関を施錠し見回りを済ませ彼女の部屋を覗いた所、そこに居ない。他の入居者の部屋を探しても見つからなかったが隣の部屋の窓が開けっ放しになっていた。窓の下を見ると人の足跡が付いている。そこから出て行ったらしい。スタッフ全員に出てきてもらい手分けして探したがホームの近辺には見当たらない。しばらくして家に帰って来たとのご主人から連絡があった。次の日、ご主人はどうしても預かって欲しいと懇願しながら彼女を連れて来た。それからは帰宅願望があるたびにスタッフが短時間だけ自宅に連れて行っている。ご主人には慣れるまで一日1回はホームに来るなり、電話でもいいから彼女と話す様にお願いした。今は大きな問題も起こしていない。

「頑固な天使」の正体はピック病!

ちょうど今年6月27日のブログに書いた「頑固な天使」の不思議な行動の正体が最初のうちは判らずに対応に戸惑いました。いろいろ様子を観察し、本で調べた所、認知症の一つの型のピック病と言う事が判りました。専門書によると、この病気は認知症の中ではアルツハイマー病や脳血管性認知症に比べて非常に稀であり原因はアルツハイマー病やレービー小体型認知症と同じく脳の変性疾患です。50~60歳代に発症、物忘れに先行して職場や家庭内での生活が乱れる人格変化、行動異常が出ます。なれなれしい物言い、はぐらかし、小馬鹿にした態度をとり、相手は腹が立つ様です。これも病気のなせる業と割り切ればなんとか楽には成れるようです。また質問とは別の同じ言葉、同じ内容を繰り返す滞続言語がありピック病に典型的な症状です。生活パターンが鉄道の時刻表並みに決まっており、散歩などその時刻になると雨であろうが外に出て行き、何時もの決まったコースで迷うことなく帰って来ます。時間や場所の認識はあるのです。他の認知症での徘徊とはちょっと違います。この決まった時間通りの日課的行動は、心の内からの強い衝動で起こるので誰一人、止める事は出来ません。介護者はとことん付き合うことが患者さんの心を静めます。CT,MRIで検査すると前頭葉が萎縮しナイフの刃のように尖っています。早期から尿失禁、便失禁もあり便通コントロールやトイレ誘導が必要です。また目の前の食べ物を次から次に手当たり次第に口に溜め込みますので窒息の恐れもあります。食事にも気をつけなければなりません。音楽や踊りを楽しむことが出来て、昔覚えた曲をカラオケで歌えますし新しい歌も覚える様です。塗り絵も出来るとあります。「頑固な天使」のご婦人が本の記載と余りにもそっくりなのに驚きました。グループホームに入所した当初、入居者を含めスタッフ全員がパニックに陥りましたが、最近では、スタッフの対応の仕方も随分上手になって来ました。今ではグループホームにも彼女が入居する前の静かなゆったりした時間が戻りつつあります。

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2007.02.25 16:29 |  生活 / くらし  |  旅行 / 宿  |  その他(一般)  |  でんさん  | 推薦数 : 0

巨星墜つ。

2月に入つた建国記念日の次の日、振り替休日の外出中に恩師の訃報に接した。次の日お通夜との連絡を受けた。先生のお住まいは福岡である。一昔前は指宿から福岡に行くにはJRで7~8時間掛かっていた。今は鹿児島中央駅から新八代まで九州新幹線が開通しているのでその半分の3時間30分で行ける。午前中の診療を済ませてすぐに車で鹿児島中央駅まで行き新幹線に乗った。通夜に駆けつけるため同じ列車に数人の同門の先輩、後輩が乗り合わせていたので気強かった。天神近くの斎場にタクシーに乗り合わせて着いたときにはすでに周りは暗くなっていた。早速奥さんにお会いしお悔やみを申し上げ最後のご様子をお聞きした。先生は奥さんとマンションに2人暮らしであった。自宅で一昨日の夜お風呂から上がり着衣をしている最中大きな声がしたので慌てて行ってみると仰向けになって倒れ、鼾をかいていた。救急車を呼び病院に搬送した。急性脳出血で次の日の早朝になくなられたと言う事であった。享年90歳であった。お通夜の読経が始り焼香を済ませご冥福をお祈りした。その間わずか一時間ですぐまた博多駅に返し鹿児島行きの列車に飛び乗った。窓の外はすでに暗く、列者は大きなビル群の間を縫うようにはしり、夫々のビルの小さな窓の明かりを見ていると何か寂しくなった。10年前からは病気で療養もされていた。男としては長寿の方であられたが私にとって巨星が墜ち一時代が終わった感じがしている。

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北風の強い日、風のうなりにあわせてカラスが喚く声がする。声のする方を見上げると高い椰子の頂上に一羽のカラスが両足で風で吹き揺れる椰子の枝をしっかり掴み、頭を低くして凄い形相でどこかを見据えて風に向かって唸っている。視線の先には何も見あたらない。何に立ち向かっているのだろう。あたかも先の見えない医療界の暗闇の中の我々とダブってしまう。

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先日、開業以来14年間診療させてもらい、医療デイケアを始めてから10年余りの長い間通所を続け前日まで元気に通所リハビリに見えていた88歳の方が、入浴中に突然心臓発作を起し、連絡を受け急ぎ駆けつけたときはすでに亡くなられていた。医師法では24時間診療していなければ異状死として警察に届け出なければならない。話は少し別になるが診療関連死の場合に異状死として届け出るか否かが問題のとなった事がある。私は診療関連死は異状死とはならないと考えている。異状死はあくまでも犯罪が絡んでいる可能性を想定したものである。それはともかく家族も入浴中の出来事であり犯罪ではないと判り切っていても、決まりは決まりなので、水臭いようでは有ったがその様に説明して届け出た。警察はまず犯罪の可能性を想定して家族周囲の状況を調べ私も主治医として病名、経過、処方内容を聴取された。一方で、今まで何年にも渡りかかりつけ医として親しくしていただいた方を全裸にして冷徹に向き合う検視医の立場になった。何か患者さんに申し訳ないと言うやりきれなさを味わった。最近は高齢者が医師の管理外に孤独死したり突然なくなるケースも多く、警察の係りの方もそこは十分承知の上で家族に配慮してむしろ私たち医療者よりも丁寧に対応して呉れる様になっているのに救われた。

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介護療養型の廃止が5年後、医療療養型を5年を掛け15万床減らしていく方針が医療制度改革法で示されている。これから廃止や削減されるであろう療養病床で今、現在働いている看護師の数、医師の数は将来は急性期病院、老人保健施設や在宅医療に移るであろう事は医療人なら充分判る。厚労省としては方針通りに計画を進めているつもりであろうが経緯の説明なしに事を運ぶ事が多過ぎて全体のバランスを見ていない。リハビリ日数制限の際も医療保険から介護保険に連携移行させる説明が無く混乱を来たしたが。今回もあまりにも短兵急に急性期病院の7:1看護師配置を打ち出し診療報酬を手厚くしたため大学病院はじめ公的、私的大病院は中小病院、や果ては診療所の看護師を引き抜く形となり、その被害をこうむった病院は運営が続けられず閉鎖するところも出てきている。今までバランスの取れていた看護師の配置を崩したうえに診療報酬の分配も公平さが失われようとしている。療養病床の自然減を見ながら看護師の再配置も考えていくべきである。今のままでは目の先ばかりの対応に追われて本来の医療改革の本筋から外れて医療の破壊が進み取り返しが付かなくなる。

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2007.02.22 07:54 |   |  でんさん  | 推薦数 : 0

揺らぐ要介護認定一次判定の信頼性

昨年4月の介護保険制度改正から今年1月までの認定審査結果についてのまとめで要介護認定の一次判定を二次判定で重度に変更された割合は全国平均20.1%、軽度へは7.4%で72.6%が変更なしであった。これには地域によって大きな差があり重度への変更率では宮城31.0%、奈良の8.8%、軽度へのそれは鳥取17.2%が福井3.3%と数倍の格差が見られた。特に一次判定で非該当とされた人の71.9%が二次判定で要支援以上に変更されていた。要支援1から重度へが34.5%、要介護1~4では10%台で軽度者での変更率が高い。先日、幼児帰りの一次判定ソフトと言う内容のブログを書いたが、この結果は私の意見が正しい事を示すに充分なエビデンスである。

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2007.02.21 07:46 |  診療  |  その他(一般)  |  その他(医療関連)  |  でんさん  | 推薦数 : 0

ドクターショッピング

やっと午前の診療を終え、やれやれとの思いで食事を始めた途端に、急患の知らせがあった。1週間前、顔面ヘルペスで来院したが、ここ3日位治療に来ていない患者さんの家族からであった。食事中に意識を失って倒れたので、何はさておき救急車を呼んでそちらに運ぶので診て欲しいとの電話だった。何が起きたのだろうか、これまでの処置を思い返してみた。3日前に来診した時、痛くて夜眠れないといっていた。そして痛み止めを追加した。少し説明不足だったのかもしれない。その後は鎮痛処置と皮膚のただれの手当にも来ていない。血圧も高い人なので脳出血か、ヘルペス脳炎に移行したのかもしれない等、色々考えた。風邪や胃腸炎が流行っており他の外来患者さんの診察に取り紛れて、すっかり疎かになっていたのを反省した。救急車からおろされた患者さんは少しぼんやりして健忘は残っているが意識は有る。血糖も正常、血圧、呼吸、酸素飽和度などのバイタルサインに異常は無い。家族の話ではバタッと倒れ嘔吐をしたというので頭のCT検査をそたが異常は無い。口の中を覗くと舌を咬んだ跡がある。痙攣を起こしたらしい。家族にそのときの様子を聞きなおしたところ、体をこわばらせ意識を無くした後、全身が青ざめ冷たくなったという。癲癇発作である。原因の見当が付かないし又起こす可能性も有るので神経内科の有る専門病院にお願いするよう手配し病院車で搬送した。紹介先のドクターから後で報告があった。脳血管系には異常は無いが脳波でスパイクが多発しており癲癇と考えるが原因は、おそらくヘルペスとして私が処方したソビラックスを飲んではいたが痛みが治まらず心配して3日まえに別の皮膚科にも行き、そこで処方されたバルトレックスも一緒にのんだと家族が言っている。先生にはそのことは隠していた様だ。ゾビラックスの過剰による薬物性癲癇を起こしたと考えらるとの事。救急車で搬入された時、顔面のヘルペス性皮膚炎はすっかり治まっていた。私の治療で良くなったとその時は信じただけにショックであった。もっともっと患者さん一人ひとりの心に寄り添いながら診療したいがなかなか余裕が無い。

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2007.02.20 18:38 |  診療  |  生活 / くらし  |  その他(一般)  |  その他(医療関連)  |  でんさん  | 推薦数 : 0

不条理

老々介護で夫婦2人暮らしの世帯も多い。どちらか元気なほうが相手を看ることになる。奥さんが夫を介護する場合は良い。逆の場合、平生しなれて来なかった家事、身の周りのもろもろ遣らなければならず男にとってはこれが大変となる。若い頃、奥さん家族をほおって省みなかったが年を取ってから罪滅ぼしの気持ちで頑張る夫も多い。端から見ていて何か微笑ましくなる。体の不自由だけならまだしも、これに認知症が加わると大変になる。物忘れぐらいは我慢できるが周辺症状の物取ら妄想や嫉妬妄想は修正不可能で手が付けられなくなる。私の知っているある教団の元住職さん、今は息子さんに親さまの地位は譲ってはいるがまだ一寸したお祈りは続けている。お寺を取り仕切ってきた奥さんを夫は御上さんと呼んできた。太り過ぎて血圧も高い。足腰が弱り歩行が難しくなっており車椅子の生活になっている。息子さんの嫁がある程度までは世話をしているが平生は夫が付き添っている。夫は引退したとは言え檀家さんとも付き合いが多い。いろいろな問題も絡んでくる。最近、奥さんはとみに物忘れが進み、物取られ妄想や嫉妬妄想が酷くなって来た。感情失禁も度々である。夫が息子の嫁さんや女の人と親しく話をしただけでその夜は大変なことになる。寝ているところを罵られ挙句は杖で叩かれる。眠れた物ではない。やましい事は決してしていないと説得しても修正不可能。そのような毎日が続き睡眠不足になり昼間ぼんやりしてふらふらと転んで私の外来に治療に遣って来る事もしばしば。慰めの気持ちもあって奥さんの事を含め、事の経緯を聞いてやることにしている。ご主人は人の心に寄り添い導くのが仕事。若い頃は本山の覚えも厚く、九州一円を説教して回っていた。おいそれと弱音を吐く方ではない。それでもこの頃は愚痴をこぼすようになった。先日などはお布施の管理の事から色々追及された挙句、自分のことは放って置いて他の女と仲良くしているとなじられた。お陰で睡眠不足でフラフラだと言う。毎日の朝の祈りの時など何故このような酷い目に合うのかあれこれ考えて涙が出ていた。しかし今は御上さんは、御が取れ長年仕えてきた神さんに変わった気がする。神から私は新しい試練を貰ったと考えるようにしてじっと耐えていると話した。認知症は不条理である。

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