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「頑固な天使」の正体はピック病!

今年6月27日にブログに書いた「頑固な天使」の主人公の正体が最初わからず対応に戸惑いました。いろいろ様子を観察し、本で調べ正体はピック病のなす業だと判明しましたので報告します。認知症の中でアルツハイマー病や脳血管性認知症に比べて非常にまれな病気です。原因はアルツハイマー病やレービー小体型認知症と同じく脳の変性疾患です。50~60歳代に発症します。生活全般が乱れる人格変化に加え、行動異常が特徴です。物忘れに先行します。なれなれしい話し方、はぐらかし、小馬鹿にした態度をとりますので相手は腹が立ちます。病気と割り切れば楽になります。質問に関係ない同じ言葉、同じ内容を繰り返します。これを滞続言語といいますがピック病に典型的な症状です。また生活パターンは鉄道の時刻表並みに決まっています。散歩が日課の場合を例にとれば、決まった時刻なると雨が降ろうが槍が降ろうとも外に出て行き、迷うことなく、いつもの決まったコースで帰って来ます。時間や場所の認識はあるのです。ここが他の痴呆の徘徊とは違います。この日課ともいえる行動は、強い内からの衝動で起こるので、誰も押さえ込むことは出来ません。介護者は患者さんの心の安定を保つためにも出来る限り付き合うことです。原因は判っていませんが前頭葉が萎縮し障害されますので早期から尿失禁、便失禁があります。便通コントロールとトイレ誘導が必要です。食事にも気をつけなければなりません。目の前の食べ物を次から次に口に溜め込みます。まるで食べ物を頬袋いっぱいに詰め込んだお猿さんみたいになり、窒息の恐れもありますので注意が必要です。一方音楽や踊りを楽しむことは出来て昔覚えた曲をカラオケで歌えますし新しい歌も覚えます。塗り絵も得意です。「頑固な天使」が私のグループホームに入所したはじめには、入居者を含めスタッフ全員がパニックに陥りました。しかし最近では、スタッフの対応の仕方も自然に上手になり、グループホームには以前の静かなゆつたりした時間が流れています。

頑固な天使  2006.06.6.27 伝ちゃんブログより

最近私のグループホームに入居した方がいる。比較的まだ若い。家では夫と2人暮らしだった。彼女の様子がおかしいと夫が気づいたのは12,3年前、冷蔵庫からビールを出してくるように頼んだところ目の前にある冷蔵庫が分からない。冷蔵庫はどれか教え次にビールを取ってと頼んでも今度はビールがどれかも分からない。いつもお前も一緒に飲むビールだよと怒っても分からない。その時以来、家事がまったく出来なくなった。心配して夫は彼女を精神科に連れて行き痴呆の薬も貰った。少しも状況は変わらなかった。夫は仕事もさることながら家事もこなし彼女を自分の子供を扱うように介護しながらがんばってきた。彼女はまだしっかりしていた頃から町内のグランドゴルフのグループ入っていた。行動がおかしくなってからもその習慣が抜けず、毎週2回は早朝のまだ夫が寝ているうちに家を出て2時間位を費やし2箇所の競技場をさっさと回って帰って来た。行き帰りの道順はいつも同じで、何処にいるか見当をつけて探すと大体其処にいた。記憶力、認知能力に障害があるとはいえ何処にそんな能力が残っているのか不思議でならない。時計を見て自分の行動をコントロールできるのである。とにかく自分の決めたコースを狂う事なく時間通りにかえる能力には驚く。何処にも助けを求めず人知れず悩み、耐えてきたご主人が意を決して私の所に相談に来たのには理由があった。スーパーに買物に行くと並べてある商品の食物を金も払わず、手当たり次第に手に取って食べ出し、店に謝り、警察に相談する事が何度も続き、社会に迷惑がかかり出したからである。会って話す御主人の顔は険しく、すつかりまいってしまい人間不信に陥っている様子。彼女は視線も会わせず意思疎通まったくのゼロ。幾日も入浴もしてなくてお尻が気になるのか座ろうとしない。ただご主人の言う事だけはよく聞いて行動できている。家での2人の暮らしぶりはドウなんだろう。想像も出来ない。とにかく我々も少しでもご主人が楽になるようにすることが大切と考えデイケアで昼間預かる事にした。グランドゴルフは相変わらず続け、スーパーでの行為も続いて目が離せず少しのスキに抜け出す事もしばしばではあったがスタッフの努力でデイケアに順応してきた。怒りはしないが自分の決めた事は頑固に一途にやり通す。それを止めようとすると物凄い力で抗う。あらゆる事にご主人の指示だからと話すと何とか従いスタッフに心を開くようになって来た。そして自分から話しかけるように変わった。何年間にも渡り記憶が失われ誰にも相手にされない戸惑いと不安の中で頼れるのはご主人しかいなかったのである。申し込んでいたグループホームに入れるようになった。ご主人と離れて暮らす事になる。入居初日から問題が起こった。夕食を済ませ入居者夫々休むため部屋にひきあげた。スタッフは玄関を施錠し見回りを済ませ彼女の部屋を覗いた所、そこに居ない。他の入居者の部屋を探しても見つからなかったが隣の部屋の窓が開けっ放しになっていた。窓の下を見ると人の足跡が付いている。そこから出て行ったらしい。スタッフ全員に出てきてもらい手分けして探したがホームの近辺には見当たらない。しばらくして家に帰って来たとのご主人から連絡があった。次の日、ご主人はどうしても預かって欲しいと懇願しながら彼女を連れて来た。それからは帰宅願望があるたびにスタッフが短時間だけ自宅に連れて行っている。ご主人には慣れるまで一日1回はホームに来るなり、電話でもいいから彼女と話す様にお願いした。今は大きな問題も起こしていない。

 

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