地方の中都市で外科医をしていた私が田舎に帰って開業して8年目に、全校生徒数160人足らずの中学校の校医になった。切っ掛けはその地域で開業しておられた内科の先輩医師が病気になられ廃院されたからである。開業してからは内科や小児科の病気を診る事が殆どとしても学校医はそれまで経験が無い。どんなことをすれば良いかの予備知識も無かった。養護教員の指図に従い、地域医師会の学校医の集まりなどで得た知識を頼りに見よう見真似で頼りないものであつた。その頃に関わった生徒には本当にすまなかったと思っている。昨年、地域の学校保健研究大会で5年勤続表彰を受けた。その間、学校医のすべき役割も変わって来た。結核予防のツベルクリン皮内反応検査、BCG接種の中止、各種予防接種の変更など殆ど医療行為は無くなった。その代わり心臓検診、内科検診による呼吸器心臓疾患のスクリーニングが仕事になっている。それより大切な事は公衆衛生的な学校保健に比重が移っている。保護者、教職員、薬剤師、医師、歯科医などからなる学校保健委員会メンバー、学校環境、産業保健の立場での産業医としての役割、、今の社会環境と大いに関係する児童喫煙、薬物乱用問題、性教育、精神衛生、いじめ問題などへの関与を期待されている。それには今時の生徒の心、体を知る事から始めなければならない。昨年、私が担当する中学校の学校保健委員会での話であるが、生徒への「人は死ぬとどうなるか」の質問に生き返ると答えたものが10%も居た事に校長がびっくりし、この事を重く受け止め指導していかなければならないと話していた。今日の読売の記事で小学生に3人に1人は生き返ると答えたとある。ある中学校での調査でも生き返るは8.5%、生き返ることもある16.9%、生き返らない35.2%だったという。子供達の死に対する誤った認識や無関心が子供達の間に広がっている。最近の年少者による傷害犯罪などは根底に死に対する認識の誤りも関係するのではないか。死の教育の必要がある。
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