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2006.10.27 07:21 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  その他(医療関連)  |  でんさん  | 推薦数 : 0

膠着

平成15年12月に会誌に投稿した文章です。3年経っても何も事態は動いていない。

 沢山の重苦しい問題を引き摺りながら今年も終わろうとしている。北朝鮮の拉致,核問題,イラク崩壊,エイズ蔓延など年越しになる。前者は世界歴史の曲がり角の残渣であり,後者は神の領域を超えるばかりの現代医学が忘れた影である。しばらくは,その因果に畏をもって耐えるしかないであろう。国内の財政低迷に源を発する社会不穏の連鎖は目を覆うばかりである。
それに対応する官民の寛容の無さにも生きる勇気を失う。改革一色の医療システム再編は我々に蜂の巣をつついた如き混乱をもたらしている。しかし私たちは自信を失ってはならない。私達医師の大部分が地域に根をおろし住民の命を守っている。現場を無視した,いかなる制度改革が押し進められようと,医師として信念を持って培ってきた住民との間の相互信頼は揺るがない。また私自身これまでの遣り方を変えるつもりもない。地域医療は,住民が主体となり医師の持てる技術を引き出し育てた手作りの地域の生活文化である。全国一律の机上のお仕着せが通用する筈も無い。顔の見える住民の信頼があればこそ夜中でも,疲れていても診療に頑張る。これが地域に生きる医師の使命である。私は10年前の医師会報に駄文を寄稿した。大事な社会保障である医療分野にも経済衰退の影響が現れ出した頃で,医療費抑制として保険医の定年制が囁かれた。まさに寝耳に水であったので貧すれば鈍すだと切って捨てた。大きな幹の木の梢は青々と息づいている。梢のボリュームなくしては幹も育たない。
地域医療こそ梢であり日本医療の原点である。今まさに,住民と共に医療のあり方を考える時である。

4年前の編集後記です。

 

 

W杯サッカーでの韓国チームの快挙は特別として,日本代表も歴史的初勝利に続き決勝進出の金字塔を打立てました。トルシエ監督の合理的改革が功を奏した様です。世間の盛り上がりを横目に与党は医療制度改革法案を単独で採決,衆議院を通過させました。参議院の審議では真に庶民の味方の救世主が望まれます。梅雨入りが遅く異常気象を心配していた所に早々の台風に季節がリセットされホッとしています。月号からは郡市医師会メンバーも加えて編集します。回を重ねる毎にカラフルで,ますます厚くなる会誌ですが,何はともあれ読んで貰うのが本命です。タイムリーな親しみやすい原稿や素材をどしどし送って頂き,楽しい紙面にしたいと思います。表紙写真は鹿児島ドクターズフォトクラブ会員の力作です。先月号に続いて季節の花を選びました。世の憂さを忘れさせてくれます。見開きのヒポクラテスレリーフ像が偶数号は正面を,奇数号は横を向いているのに気付いてますか。前者下には県医師会医道倫理,後者は日本医師会倫理綱領が載せてあります。改めてご覧下さい。紙上ギャラリーの絵画は月号で紹介した有村先周雄先生がノバルティス地域医療賞の受賞と医師会に寄贈されたものです。常任理事は,今後さらに医師の役割分担が進む一方で医療,福祉体勢の変化は医師に人間性に裏打ちされたリーダーの役割を要求しており,医師会が率先してその意識改革を図り対応していく必要があると述べておられます。米盛会長は日本医学会周年記念式典に出席新しい医師と患者関係の基調講演を聴いた感想で,お互いの人としての尊厳に基づく信頼関係と双方向の共感が大切であり,伝える言葉の大切さを書いておられます。月の診療報酬マイナス改定は医師会組織全体に激震を与えています。特集点数改定について思うでは現実の痛みと保険怒りを各郡市医師会保険担当理事に書いて頂きましたが今後第二弾,三弾と続く医療改革の影響を危惧する声,大です。このままでは社会資源としての国民の間に広く張り巡らされた医療の血脈が絶え,再起不能に陥ります。専門職集団として収集したデータを示し強く訴える時が来ました。

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