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認知症

基礎知識編

家族がかかりつけ医を受診した時の理由は、周辺症状BPSDの行動症状である徘徊や心理症状のもの取られ妄想などが酷くて如何しようも出来ずに受診した割合は3040%にものぼっています。一方、中核症状の物忘れのみを理由に受診している割合は3.7%に過ぎません。いかに認知症の人が早期に受診していないか家族の認識の低さを示しています。疫学調査で「認知症」と診断された人の家族が気づいた日常生活上の変化は同じことを何度も言った。財布を盗まれた。だらしなくなった。夜中に急に起きて騒ぎ出した。置忘れ、計算間違い、人の名前が出てこない、怒りっぽくなったなどです。このような変化が半年前にくらべ目立つようであれば認知症を疑って良いでしょう。問題は家族がいなければこのような変化は気づかれ難く、現在65歳以上の4割が単身もしくは高齢世帯で今後ますます増加して家族に情報を求めることが難しい状況である。

認知症の主体は記憶・認知機能の障害で中核症状と呼びます。それに続発・併存して様々な行動・心理症状BPSDがみられ周辺症状と呼びます。中核症状は記憶障害を始め判断力低下、見当識障害、失語、失行、失認などがみられます。周辺症状にはせん妄、抑うつ、興奮、徘徊、睡眠障害、妄想などの症状がみられます。周辺症状は介護の上で問題となります。環境の調整、対応の工夫と対症的な薬物療法で改善します。 近年ICFの導入により生活機能の障害が認知症にも取り入れらている。もともと認知症の定義には生活の支障がでて、支援が必要となる状態といわれている。ICFInternational Classification of Functioning, Disability and Health)国際生活機能分類。

認知症と間違えられやすい状態

認知症と間違えられやすい状態には加齢に伴う物忘れ、うつ病、せん妄などがあります。うつ症状やせん妄は認知症の症状として現れることもあり鑑別が必要です。認知症はせん妄の危険因子でもあり、そのリスクはおよそ2倍です。うつ病はアルツハイマー型認知症の危険因子でもあります。診断が困難な場合は専門医へ紹介するのが良いでしょう。薬物による意識変容なども間違えられます。

普通の物忘れ 

生理的もの忘れは半年や1年で進行することは有りません。認知症は進行し本人は自覚していないが、家族に1年前と現在の物忘れの状態をくらべて貰えばわかりやすいです。もの忘れの内容は、生理的もの忘れが体験の一部なのに対して認知症では体験のすべてを忘れてしまいます。例えば、結婚式に出席した際に隣に座っていた人の名前を思い出せないのが生理的物忘れで、出席したこと自体を忘れるのが認知症です。時間の失見当識もみられます。

うつ状態

うつ状態とアルツハイマー型認知症との大きな違いは発症時期です。 うつ病では何らかの契機が認められて通常は長くて数ヶ月前からの発症です。うつ状態では症状を強調します。認知症では過小評価しており、とりつくろう様な答えはアルツハイマー型認知症の特徴です。顕著となると作話になります。内容もうつ状態では自責的となり認知症では他罰的となります。この結果がもの盗られ妄想につながります。

せん妄 

せん妄との大きな違いは起こり方でせん妄は何月何日と特定できるほど急性に起こります。認知症は緩徐に発症します。また、夜間に増悪することが多く、夜間せん妄ともいわれます。注意力の散漫した意識障害と幻視および運動不穏をせん妄の三徴といいます。高齢者では幻視を伴わないこともあり、通常は運動不穏のために多動となることが多いが、多動状態を伴わない場合もあります。 

代表的なアセスメントツール 

質問式、観察式 それぞれの代表的なツールを紹介します。  質問式には、認知症のスクリーニングを目的とした簡易テスト的ツールとして、

①改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R

②ミニメンタルステート検査(MMSE)が挙げられる 

観察式は主に患者さんとの問診や家族・介護者からの情報により評価する。

    Clinical Dementia RatingCDR)、

②  Functional Assessment Staging FASTFAST)   

③  OLD    

確定診断前の気づきを高めるツールとして活用できます。

OLD 

OLDはオランダのかかりつけ医グループが外来診療での認知症の気づきを高めるために作成したツールです。日にちを忘れるなどの忘れっぽさ、同じ話をする会話の繰り返し、言葉が出てこない、会話が理解出来ないなど文脈理解の障害、時間が分らない、家族に依存、辻褄あわせの作話など12項目から構成されている。4項目以上該当した時に認知症が疑われる。ある程度習熟すれば12項目にはこだわらないでアセスメントできるようになります。

認知症を呈する病気  

 認知症を呈する疾患は多い。病気を疑い検査を進めるべきです。検査機器などの問題や専門外の疾患なら専門医に紹介します。神経変性疾患、脳血管障害、脳炎などの感染症、脳腫瘍、外傷性高次機能障害、免疫性疾患、正常圧水頭症の髄液循環障害、内分泌障害、中毒・栄養障害などがあります。

主要な認知症  

代表的なものにアルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型、前頭側頭型認知症があり、治療可能なものに甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、ビタミンB12欠乏症がある。初診時に検査を行い治療可能な認知症を鑑別する必要がある。

中核症状のアセスメント 

質問には、あらかじめ家族から日常生活の行動に関する情報を得ておく必要があります。矛盾が生じた場合に患者がそれを認めるかどうか、言い訳をして取り繕うかどうかが診断の重要なポイントとなり家族からの情報で重要なのは1)以前無かった症状?2)症状が出現してきたのはいつごろ? の2点です。以前は無かった症状が出現し、悪くなって来た、出てきた時期がいつと断定出来ない等、情報が得られた時には、変性性認知症の存在が疑われます。失行、失認では家族はおかしなことをする、わざと変なことをすると分っていても症状とは認識していないことがあるのでおかしな行動をするという訴えがある際には、着衣失行、構成失行、半側空間失認、肢節運動失行の存在を疑います。

記憶障害のアセスメント

あらかじめ家族から情報を得ておく。 最近の記憶:どのような交通手段で受診したかをききます。できる限り世間話をするように聞きだすのがコツで昨日何をしましたかと質問するのもよい。昔の記憶  : 生年月日、出身地、結婚や子供の誕生日などを尋ねる。既往歴、職業歴をきく。ここで教育歴をきくのもよい。その年齢なら当然知っているはずの社会的事件についてきく。太平洋戦争、東京オリンピック、サリン事件等。

見当識障害のアセスメント   

見当識障害のアセスメントでは時間と場所について尋ねる。通常、時間の見当識が先に障害されることが多い。アルツハイマー病では記憶障害と平行して進行する。レビー小体病では見当識障害が前景に出て記憶障害よりも目立つことがある。 時間の見当識障害では年月日だけでなく季節や、時計を見ないで現在の時刻を言わせることも有用である。月は正確に答えても季節と全く食い違うこともあります。場所の見当識としては今いる場所、ビルなら何階にいるのか、自宅の住所、今住んでいるところ、自宅と今住んでいるところが一致するかどうか質問します。

判断・実行機能障害のアセスメント 

家族から日ごろの行動について聞いておく必要があります。女性の場合、料理が適切にできているか、男性の場合、買物ができているかを聞くことが有用です。料理、買物ともに多くの判断と遂行機能を要するからです。このほかに電話をかける、移動・外出をする、薬の管理をする、お金の管理をするなどについてどの程度できているか確認しておきます。 アルツハイマー型認知症と血管性認知症の主な鑑別点  アルツハイマー型認知症と血管性認知症の主な鑑別点は血管性認知症では病歴や画像が認知症と関連しているかどうかの判定がしばしば困難である。 神経症状があること、脳卒中の既往、発症様式が急激なこと、動揺性が重要です。

治療とケア早期発見、早期治療の意義  

日本でのアルツハイマー型認知症の中核症状に対する治療薬はコリンエステラーゼ阻害薬の塩酸ドネペジル(アリセプト)です。初期効果では認知機能の改善が期待されます。長期的にはADLの維持に介護見守りの手間が減り患者本人や介護者のQOLの改善に効果があります。認知症の早期発見・治療開始の大切さを患者・介護者に説明する事と早期に治療を始める事が大切です。

認知症の病気の説明   

認知症の告知は患者本人の受け入れ、心理状態を考えて確実に認知症の診断がなされた後に行うべきです。早期で本人の意思・判断能力が保たれている時期であれば任意後見制度を利用し、本人の自己決定を尊重できる。将来このような方向に臨床現場が 進むと予想されます。一般を対象にしたアンケート調査では認知症と診断されたら自分自身に開示して欲しいとの回答が多くを占めました。告知した後のフォローが大切で、うつや生活の変化、心理状態に注意して、場合によってはカウンセリング、心理的ケアが必要になる。配慮しながら診療を続ける必要があります。

告知の考え方     

診療は、法律的に準委任契約、医療診療契約でどのような治療を選択するかは患者の自己決定権にゆだねる観点から医師は診療経過と病状について開示し報告する義務があります。治療を続けるうえからも大切なプロセスです。患者が告知に耐えられない精神状態であれば告知を控えます。

患者に接する視点 

1.認知症の患者さんは自己評価が困難で一見楽天的に見える。内部には深刻な不安を抱えて自信を失っており感情的に不安定になりやすい。家族にこの事を理解してもらう。2.認知症の患者さんは最も懸命に介護している人につらくあたる。たまに顔をあわせる人には驚くほど愛想よくふるまう。この点は認知症の介護を困難にしている大きな問題点です。

3.感情面は保たれており具体的体験は忘れてもいやな思いは残る。接するときの態度と口調には注意することが必要でどうせ忘れてしまうだろうとの対応は望ましくない。 

4.異常行動には説明がついたり理解できることも多い。できるだけ理解しようとする姿勢が必要です。 

5.認知症の患者さんは体調の変化をサインとして出して来る。いつもと様子が違う時には身体合併症の可能性を考えます。

外来時の対応 

本人がもの忘れを訴えて受診した場合は生活の様子を詳しく聞く。日常生活上問題がなくても、MCIが介護予防の対象になる可能性があるので専門医に紹介します。 家族に付き添われて受診した場合、本人が診療を受けることに同意していない場合、本人の気持ちをゆっくりと聞き診察の必要性を説明します。 受付や診察時の行動の変化で認知症の可能性がある場合、家族から生活の様子を聞き生活上で困っている事はないか本人にそれとなく聞いてみます。

認知症の人への支援   

もの忘れがあってもこれまでの生活を続けられるよう身体疾患の治療もふくめ必要時には専門医に紹介や相談しできる限りの治療や支援を行うことを伝えます。認知症の初期にはもの忘れの自覚が強く生活上のトラブルも増えて抑うつ的になっている。もの忘れを自覚する辛さを受け止め残った能力は十分あることを伝える。早期は勿論かなり進んでも会話に対する理解力は残っています。本人のいる前で家族に「症状がひどくなってきたね」など聞いて不安になるような病状説明は避けます。家庭での役割を持たせ可能な範囲での社会参加や通所介護の利用によって現在の能力の維持、情緒の安定、対人交流・社会性の促進などをはかります。

 族への支援    

専門医、ケアマネジャー、ケア・スタッフなどと供にかかりつけ医が協力体制をとることは介護家族への大きな精神的な支えになります。社会資源を上手に活用することが介護負担の軽減につながることを伝えます。介護負担や不安を軽減するように介護者の話をじっくりと聞きます。介護者にとって介護仲間の存在とお互いに助け合うことは大きな支えとなります。身体疾患の治療は、治療薬の投与回数を減らし、往診をするなど介護家族の負担を少なくします。 

アルツハイマー型認知症の薬物療法   

認知症の症状に対する薬物療法に中核症状に対する物と周辺症状に対する薬物療法の2つを区別しておかなければならない。治療開始時には、中核症状に対する薬物療法が可能であることを伝える。周辺症状がない場合でも、経過中必要に応じて薬物治療が可能であることを伝えておく。

中核症状への薬物療法(意義と薬効)アリセプトの効果   

アリセプトの投与でアルツハイマー型認知症の症状を数ヶ月から1年くらい改善させて進行を遅らせます。服薬を中断すると急激な悪化が生じる可能性があります。介護者や患者の薬物療法の正しい理解が治療への第一歩です。投与後直ぐに改善がみられなくても、長期的には進行を遅らせる可能性があります。

認知症ケア 

周辺症状は薬物の副作用が原因である事もあり効いていない抗不安薬や睡眠薬などは一旦中止してみます。訴えの無い認知症患者の身体不調の診察はかかりつけ医の役割であり感染症、脱水、便秘などによって周辺症状が現れまた悪化します。 攻撃性や興奮は不適切な介護者のケアが原因であることも多く介護者のケアに問題が有ると思われる場合はショートステイなどを利用することも考慮します。以上の対応によっても改善せず本人のQOLが落ちる周辺症状には薬物治療を行ないます。

周辺症状に対する薬物療法  

周辺症状の第1選択は適正なケアであるが薬物療法が有効な事も否定できません。妄想すなわち抗精神病薬投与とは限りませんが明らかなうつ状態やせん妄、睡眠障害がある場合には薬物療法を考慮する。

周辺症状に対するケアの試み   

感情面を改善させて周辺症状の軽減をはかるためにデイケアやデイサービスなどでは多くの非薬物療法が試みられます。 行動に焦点をあてた療法は、周辺症状が特定の対応やイベント、環境などで現れることが確認された場合には行動面から関わっていく方法です。 感情に焦点を当てた療法に回想法があり刺激に焦点をあてた療法に音楽やペットなどを用いたレクリエーション療法、芸術療法、園芸療法などが有る。

認知症サポート医とかかりつけ医の役割・連携体制   

地域包括支援センター本来の機能に加え重要な事は外部の様々な支援体制を有機的に繋ぐ役割です。地域の認知症高齢者の早期発見・早期支援には日常診療での気づきをきっかけにして地域包括支援センターに繋ぐ方向 医療⇒介護 総合相談・予防ケア・マネジメントなどの地域支援ネットワークからかかりつけ医に繋ぐ方向 介護⇒医療 の双方向の連携体制が期待されます。同時に市町村、都道府県、サポート医、専門医療機関を含めた体制作りが不可欠です。かかりつけ医は「早期段階での気づき」「家族に対する理解や支援」とともに地域連携の発信者として最も相応しいのです。

ケアの基本 

認知障害が進行しても感情的な機能は保たれます。しかし環境変化に適応するのが難しい認知症高齢者の特徴を踏まえて、日常生活の中で「生活そのものをケアとして組み立てる」事が望まれます。それには

 環境の変化を避け、それまでの暮らしが続けられる配慮をする。

介護する側の決めた日課に沿った関わりでなく高齢者一人ひとりのペースに合わせたゆったりした支援スタイルにして安心感・安定感の醸成に心がける。

  一人ひとりの心身の力を最大限に引き出し(エンパワーメントといいます)充実感のある暮らしを構築します。 

生活圏を基本としたサービス体系の構築 

1.できるだけ自宅の規模を大きく逸脱しない小規模な居住空間

2.家庭的な雰囲気・設えを工夫

3.少人数の高齢者を少人数のしかも同じ顔ぶれのスタッフが支えるなじみの関係

4.住み慣れた地域で必要な支援を受けながら暮らし続けられる日常生活圏域を基本としたサービス体系の構築です。 サービスとして

     グループホーム、

②小規模多機能型ケアサービス

③大きな施設の機能を積極的に地域に展開し施設そのもののあり方を問い直しユニットケアの普及に向けた施策を行なうことです。

相談窓口  

認知症の相談窓口は、医療関係、保健関係、福祉関係、介護経験者等に分けることができる。医療関係ではもの忘れ外来など診断や治療と並行して相談に応じており保健関係では保健センターや精神保健福祉センター等があり保健師等の専門スタッフが相談に応じ関係機関とも連携する体制がある。福祉関係では、市町村に設置される地域包括支援センターや社会福祉協議会、介護経験者等の団体では「認知症の人と家族の会」がありほとんどの都道府県には支部があり相談事業等の活動が行われている。

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ケアマネと医療連携

安全で適切な介護サービスのためにはケアプラン作成やモニタリング時には利用者の介護度にかかわらない主治医からの医療情報が必要である。それを確保するには主治医意見書および主治医との直接の連携は欠かせない。主治医意見書には介護を必要とするに至ったつまり生活障害の原因疾患についての情報が記してある。この医療情報は介護認定の資料としての役割の他にケアプラン作成での参考として重要な指南書である。一連の介護サービスは各職種がパート、パートばらばらに行うのではなくてチームを組んで情報を共有しながら行われる。サービス担当者会議ではケアマネを中心にしたチームの一員としてかかりつけ医は医学的指示とアドバイスを行う。そしてチームの全員がその情報を共有しなければならない。連携に当たっては、かかりつけ医も介護現場の状況を把握しそれに対する適切なアドバイスと処置を行う必要がある。各職種が時系列による変化について正確な情報交換行う必要がある。その為にケアマネは勿論、他の介護スタッフも医療に関する共通言語を知る必要がある。

加齢による生理機能の低下:身体機能、精神機能、生活機能。

*生理的老化:自然な経過、年齢相応。~遺伝も関係。

*病的老化:ライフスタイルの食習慣、運動習慣、酒・タバコなど嗜好品、環境要因、~個人差が大きい。作られた老化。

健康長寿:高齢者はQOL(生活の質)が大切~介護を必要とせずに健康を保ち長生きする。

疾患による機能低下:老化疾患による機能低下。

*脳梗塞:運動機能低下(筋力低下、麻痺)。

*心臓弁膜症:心機能低下(心不全)。

*リュウマチ、関節疾患:筋・関節の運動制限(拘縮)。

廃用症候群:身体的、精神的、社会環境的な活動性低下による機能低下。

* 精神状態が身体機能に影響:鬱・閉じこもり。

* 生活状況が身体機能に影響:役割の喪失・非活動 呼び寄せ老人。

高齢者の身体疾患の特徴

(1) 複数の病気をもち多種類の薬を内服している:生活機能低下に関連した原因疾患を判断する。

(2) 症状は非定形的で若い時と反応が異なる。:心筋梗塞でも胸痛が軽い。肺炎でも熱が無い。全身の観察と基本的診察や検査を行い見逃さない。

(3) 身体疾患が原因して精神症状が現れやすい。:認知症、意識障害、せん妄。

(4) 難治であり慢性化し障害を残し易い。早期に把握して治療が大切。免疫能・心腎機能の低下など恒常性を保持する能力が低下している。

加齢による身体・精神機能の低下と疾患

  循環器

安静時の心機能は変わらない。運動、労作に心機能が追いつけず心不全に陥る。運動時に動悸、息切れ、心室性期外収縮、洞不全症候、心房細動などの不整脈が出る。慢性的に心房細動など不整脈があると心内に血栓が形成され脳塞栓を起こす危険が多くなる。ワーファリンによる抗凝固療法が必要である。老化の根本は高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満など危険因子から促進された動脈硬化で冠動脈,脳動脈,下肢動脈などの閉塞から心筋梗塞,脳梗塞,下肢脱疽を起こす。

呼吸器

肺の弾力低下,胸郭運動低下は肺換気機能 障害を生じ血中酸素濃度が低くなる。運動時に息切れする。咳嗽反射の低下、気管支粘膜の線毛運動低下で喀痰排出が悪くなり気管支炎や肺炎になり易い。喫煙習慣は慢性閉塞性肺疾患から低酸素血症の経過から酸素療法を必要とする様になる。SPO2の計測で酸素吸入流量の調整。気管支拡張剤テープ剤、吸入剤の使用。肺がんの罹患も増える。上気道炎から重篤な肺炎で急性憎悪を来たし重篤になる。気管支喘息による発作性呼吸困難はピークフローで診断。気管支拡張剤、ステロイド吸入薬でコントロール。既往の肺結核の再燃が免疫能の低下で生じるケース増えている。胸部レントゲン、喀痰PCR検査、血液QFT検査などで診断。

消化器

胃・腸管の蠕動運動低下や胃酸・消化液分泌の減少は 食欲不振や便秘を来たす。栄養障害で貧血、血中アルブミン量低下が生じ浮腫や筋力低下、心不全に繋がる。消炎鎮痛剤使用では大きな胃潰瘍を生じ易い。症状を訴えない事も多いので定期的検査、症状観察が必要である。吐血、下血で気付くこともしばしばである。H2受容体遮断剤、プロトンポンプ阻害剤の内服を行う。便秘は高齢者介護現場ではありふれた症候であるが機能的な便秘か癌などの機械的狭窄かなど鑑別が大切である。下痢と便秘の繰り返しや急な便習慣の変化があれば大腸検査を依頼する。慢性肝炎、肝硬変はB型、C型肝炎ウイルスに起因、輸血歴などがある。高齢ではインターフェロン治療よりミノファーゲン靜注など肝庇護療法。肝硬変では肝不全の予防、肝癌の治療が主体。腹水、浮腫、食道静脈瘤、肝性昏睡の治療。感染対策として水平感染では針刺し事故を防ぐ、滅菌器具・ディスポ製品使用。

④泌尿器

  腎血流が減少し糸球体ろ過機能が低下す る。水分摂取量の減少、嘔吐、下痢からすぐ脱水状態に陥り易い。腎排泄の薬物の血中濃度が上昇して薬の副作用が出やすい。

急性腎不全は脱水、心不全、薬剤(抗生剤、鎮痛剤、利尿剤)、両側尿路閉塞などが原因。体液の恒常性が保てず老廃物排泄が悪くなり高血圧、乏尿、浮腫、体重増加、悪心、嘔吐の症状。慢性腎不全には糖尿病性腎炎、慢性糸球体腎炎がある。治療として透析、食事療法、高血圧制御。

尿閉は前立腺肥大、癌で起こりやすい。癌は前立腺外側に出来るので症状が出難い。PSA検査が有用。風邪薬の抗ヒスタミン剤や検査に使うブスコパンで尿閉が起こりやすい。

 

内分泌・代謝

高齢者ではインスリン分泌が低下する。糖代謝機能を低下させ糖尿病になり易い。糖尿病にはインシュリンの絶対的不足の1型、インシュリン抵抗性が低下したⅡ型がある。口喝、多飲、多尿がある。血糖コントロールは食事、運動、薬物、インシュリン療法を組み合わせる。摂取カロリーは25Kカロリー/kg。3大合併症。末梢神経・自律神経障害、網膜症、糖尿病性腎症。末梢動脈硬化で下肢壊疽が生じやすい。フットケアが大切。高脂血症は血中コレステロール、中性脂肪の増加。一次性は遺伝、二次性は食事、糖尿病、甲状腺機能低下、腎臓病が原因。動脈硬化症の危険因子。高齢者は甲状腺機能も低下する。粘液水腫を生じ認知症に関係することも有る。

水・電解質

全身水分量は少なくなり、すこしの脱水で臓器の循環障害で機能不全をまねく。高齢者の身体機能にとって脱水の影響は大きい。介護現場では脱水による発熱、譫妄は良く遭遇する症候なので念頭に置いて置くべきである。

免疫

細菌やウイルス侵入に対する免疫機能は低下しておりインフルエンザなどの感染症に罹り易くまた治癒し難くなる。

骨関節・筋肉 

骨中カルシウムは減少して転倒などの少しの外力で骨折し易くなる。女性に多い。関節軟骨が摩滅して関節変形し変形性関節症の原因になる。膝に多い。四肢筋力も低下する。運動習慣、仕事の種類、日常生活状況の影響が大きく影響して個人差が顕著。

感覚器・精神機能 

眼球の水晶体混濁が65才以上で85%、75才以上では90%を超える。視力の低下の最大原因となる。高い音の聴力が低下し、話しているのは解っても内容が聞き取り難くなる。

皮膚感覚が鈍り低温熱傷の原因になる。皮膚皮脂腺・萎縮による老人皮膚掻痒症。水痘ウイルス再燃による帯状疱疹と疱疹後神経痛に留意する。介護施設における疥癬にも知識と対策の必要がある。

高齢者の精神機能は家族・人間関係、喪失体験、転居など環境に左右され、抑うつが前面に出やすい。自殺念慮に注意が必要。意識変容から興奮、幻覚、妄想状態に陥る譫妄は脱水、発熱、不眠、入院などの場所の移動による見当識障害、不安などが切掛けに成る。身体的、環境的要因を考えて対応する。認知症は記憶障害、見当識障害を核として生活に支障。早期発見、早期治療に適切なケアが重要と成る。 

⑩神経・運動機能 

歩行,階段の昇り降り、逃避行動,はねる,身体バランス、自転車・自動車運転などの運動機能は中枢・末梢神経,感覚器それに骨関節・筋肉の複合的な機能であえい加齢変化で低下する。瞬発力や機敏性は早い時期から鈍くなる。安定な姿勢での体位保持や重心の動揺も大きい。動作緩慢で不安定になり転倒しやすい。骨折等の外傷を招き易い。

脳血管障害は運動機能、感覚・知覚機能を傷害する。動脈硬化からの脳梗塞、脳出血、心房細動など心由来の血栓から脳塞栓、脳動脈瘤破裂のくも膜下出血、頭部外傷後の硬膜下血腫がある。動脈硬化の危険因子のコントロールが発生・再発予防に大切である。急性期における治療では頭蓋内圧亢進の軽減、血圧コントロール、呼吸循環管理、血栓融解療法などが慢性期にはリハビリテーションや介護が主体と成る。脳変性疾患のパーキンソン病は震顫、筋固縮、動作緩慢、姿勢歩行障害を主体とする神経疾患で薬物療法とリハビリが重要。

⑪口腔・歯

口腔粘膜は萎縮して唾液分泌減少し粘稠となり口が渇きやすい。歯の摩耗と変形,位置移動,歯数の減少が認められる。不適切な歯の管理や治療による場合も少なくない。

⑫その他

 女性の場合、更年期の女性ホルモン分泌能低下による骨粗しょう症と骨関節変形と易骨折、高コレステロール血症にも注意。骨盤底支持組織脆弱からの子宮脱、帯下、尿閉、失禁も問題となる。

高齢者の日常生活動作(ADL)と身体機能。

.視力

焦点調節機能の低下や白内障での視力低下が多い。緑内障による視野狭窄も少なくない。糖尿病性網膜変性での視力障害も多い。

2.聴力

聴神経の老化により高い音が聞こえ難くなる。発語は聞こえても内容理解が難しくなる。外耳道の垢で閉塞して聞こえが悪い事も多い。

.発語

脳血管障害からの失語・構音障害は発語障害を来たす。歯や義歯の状態は発語を不明瞭にする。

.咀嚼

経口摂取は咀嚼で始まり食べる楽しみでもある。歯や義歯が大きく関係する。

5.嚥下

嚥下には口腔筋、食道、胃の平滑筋、神経が関与し脳血管障害による嚥下障害が多く食道癌、食道裂孔ヘルニアの場合がある。嚥下機能を評価し残存機能に応じた食餌形態と摂食介助が欠かせない。食事場所、雰囲気等の環境も咀嚼に関係する。

6.四肢の運動

歩行、移動、食事、排泄、更衣、入浴などADLには四肢の運動が大きく関係する。四肢の運動は神経、筋肉、骨、関節などの状態で変わる。脳血管障害からの片麻痺が多い。変形性脊椎症による下肢筋力低下や運動麻痺も多く、不活発な生活からの廃用性筋力低下もある。大腿骨頸部骨折など四肢の骨折の後遺症によるものもある。変形性膝関節症などの関節可動域制限や疼痛による拘縮による運動制限も有る。知的活動、意欲なども関与して、うつ状態では運動活動低下、認知症の失行による運動機能低下もある。

7.排尿

中枢神経、膀胱、尿道括約筋が関与し大脳からの知的機能も関わる。

失禁は脳血管障害に多く、排尿をコントロールする神経の障害からの機能性失禁、脳血管性認知症の知的機能低下による場合も多い。

男性では前立腺肥大症の尿道狭窄による溢流性失禁、女性では膀胱括約筋機能低下の切迫性失禁が多い。

膀胱炎では頻尿がある。不安・鬱の精神症状として心因性頻尿も多い。

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平成21年6月29日現在


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ケアマネジャーの「元職」には医療職もいれば福祉職も居り様々です。医師や看護師の医療職以外のケアマネージャーは、病気の診断や治療はしていません。しかしケアマネージャーとして利用者のADLを高めたり、維持するサービスは何かを考えたり、利用者の健康状態に注意して訴えを聞いたり症状を確認する必要はあります。異常が有れば医師や看護師に連絡して診断を求め適切な処置が受けられるよう手配する必要が有ります。何らかの異常のある場合に自己判断は避けるべきです。高齢者は症状が現れ難く発見の遅れることもあり、症状が消えたからと言って治ったとは限らないのです。いつもと違い、なんとなく元気がない等の場合は疾患の進行が潜行していることもあります。最近転びやすいなどの訴えは、脳梗塞の初期段階だったり硬膜下出血等のこともあります。 目に見える症状に限らず普段の健康状態と体調不良の状態が分かるように利用者の全般的な健康状態に気を配る必要があります。かねてと変わったことが有れば受診をしたほうがよいでしょう。

1.元気がない
2
.気分が悪そう
3
.食欲が無い
4
.不眠、不穏
5
.熱発
6
.咳、痰が出る
7
.頭痛
8
.胸痛、腹痛
9
.動悸、息がきつそう
10
.下痢あるいは便秘
11
.体が痒い
12
.手足の麻痺、腰の痛み

13.顔色が悪い

 などの場合は医療につなぎましょう。

 

ケアマネジャーの基本テキストを見ると、かなり細かい医療知識が載っています。知識としてテキストに載っている程度のことは知っておいたほうがよいということです。しかしケアマネジャーが標準的医療知識を持つことはかなり困難でしょうし知識としては持ったとしても、それを支援経過の中で活用するには、やはり豊富な臨床体験が必要でそうでなければ「受け売り」としか伝わりません。だから、福祉職のケアマネジャーが医療職並みに医療知識を持つことはしなくてもよいと思います。例えば、サービス担当者会議などで、医師や看護師が疾患の説明をしたときに、何を言っているのか分からないようではケアマネジャーとしては失格です。しかしケアマネジャー自らが疾患の説明を医師のように出来なくても良いと思います。医療職の話が理解できて、それを利用者や家族に分かりやすく説明できることが重要です。そのためにある程度の医療知識は不可欠です。むしろ気をつけなければならないことは、医療知識が豊富になるとケアマネジャーが疾患や治療の説明を、医師の診断を飛び越えてしてしまうことです。一所懸命支援すると、利用者や家族はついケアマネジャーに頼ってきます。そこで期待に応えようとして、ついつい疾患の「診断もどき」をしてしまったり、「今後の治療方針」のようなことを説明してしまったりすることが危険です。不安ならば医療職に頼る事が大切です。それを繰り返していくうちに、ケアマネジャーとして持つべき程度の医療知識は備わって来ます。そのために多職種の連携が求められているのです。ケアマネジャーは万能ではありません。大切なことは、この利用者にはどのような専門職の支援が必要なのかを、ある程度の知識に基づいて的確に判断できることです。そして、それ以降の対応はその専門職に任せればよいのです。

 

指宿の道の駅 さかな館の垣木

鹿児島の水族館 いよワールドの水槽の鰯

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新型インフルエンザの日本の感染者は1000人を超えた。感染者の年齢は10歳代53%と最も多く、20歳代14%、10歳以下13%と70%が若者層です。新型インフルエンザとは、もともと動物のインフルエンザウイルスが人に感染して人の体内で増えるように変化して、人から人への感染する様になったものです。WHOは今年4月、メキシコやアメリカなどで確認された人から人に感染する豚インフルエンザ(H1N1)を新型インフルエンザと位置づけました。通常の季節性インフルエンザと新型インフルエンザの症状は似ているため見分けるのは難かしく流行地への滞在歴や感染者との接触歴等の聴取が参考になります。新型インフルエンザ感染が疑われる場合にはPCR遺伝子検査を行い確定診断が出来ます。全ての人が新型インフルエンザに対する免疫を持っていないため、通常のインフルエンザに比べて感染が拡大しやすく、多くの人が感染します。今回の新型インフルエンザは毒性の強い鳥インフルエンザと違い中等度で呼吸器など一部の器官でのみウイルスが増殖する毒性を有するが感染力は強い様です。感染経路は通常のインフルエンザと同様、咳やくしゃみとともに放出されたウイルスを吸い込むことによっておこる飛沫感染にウイルスが付着したものをふれた後に目、鼻、口などに触れることで、粘膜を通じて感染する接触感染です。現在のところは、新型インフルエンザを予防するためのワクチンは存在しません。現在、感染株を使い製造の準備をしています。厚生労働省は7月中旬から製造が始められるとしています。秋には接種出来る様になる予定です。ウイルス感染を予防するには、手洗いやうがいをしっかりすることが大切です。発熱や咳の症状がある場合、これまでは封じ込めのために直接医療機関を受診せず、電話で問い合わせて感染した可能性のある場合は保健所等に設置された発熱相談センターに相談する事になっていました。すでに感染は全国に広がって仕舞いました。そこで一般の医療機関を受診するようになりました。その場合、他の人にうつさない為に医療機関の指示に従って下さい。夏に向かい日本を含めた北半球では小康状態ですが、これから冬に向かう南半球で猛威を振るっています。北半球では秋以降に再燃し大流行する事が心配されています。今、国はそれに備えてどのように対応するかを検討しています。治療薬は感染後48時間以内であれば季節性インフルエンザに有効なタミフル、リレンザが有効です。

◇運用指針の要旨

 厚生労働省が6月19日に発表した新型インフルエンザ対策の運用指針の要旨は次の通り。


 ■地域における対応

(1)患者と濃厚接触者への対応

 患者は原則として自宅で療養する。基礎疾患がある患者は軽症でも抗インフルエンザ薬を投与し入院を考慮。濃厚接触者には外出自粛などを求め、発熱などがあった場合は保健所への連絡を求める。基礎疾患がある濃厚接触者で感染が強く疑われる場合は、医師の判断で抗インフルエンザ薬を予防投与する。

(2)医療体制

 発熱外来だけでなく原則として全医療機関で患者を診察する。発熱患者と他の患者の待機場所や診療時間を分けるなど注意を払う。重症者の入院は、感染症指定医療機関以外でも受け入れる。都道府県は地域の実情に応じ病床を確保する。

(3)学校・保育施設など

 患者が発生した場合、都道府県などは必要に応じ臨時休業を要請。感染拡大防止に必要と判断した場合は、患者が発生していない施設を含め広域での臨時休業を要請できる。

 ■サーベイランスの着実な実施

(1)感染拡大の早期探知

 保健所は全患者(疑い例含む)を把握するのではなく、大規模な流行となる可能性のある学校などの集団について重点的に把握。地方衛生研究所は、これらの疑い患者の一部の検体の検査を実施し、新型と確定すれば医師が保健所に届け出る。

(2)重症化やウイルスの変化の監視

 入院した重症患者の数を把握。病原体定点医療機関から患者の検体の提出を受け、地方衛生研究所と国立感染症研究所で病原性や薬剤耐性などウイルスの変化を監視する。結果は対応に反映させる。

 ■検疫

 全入国者に健康カード配布などで注意を呼びかけ、発症した場合の医療機関受診を求める。検疫で判明した有症者は原則、遺伝子検査をせず、マスクを着用し可能な限り公共交通機関を使わず帰宅(自宅療養)させる。

目に見えない敵に対する機動的短時間検査はタイムラグを作った。

新型インフルエンザ対策で厚生労働省は26日、都道府県や政令市の担当課長らを集めた初の全国会議を東京都内で開き、19日に改定した国内対策の新たな運用指針の内容を説明した。

 全国の担当者約200人に、上田博三(うえだ・ひろぞう)・厚労省健康局長が「これからが本当の勝負時。社会的混乱を最小限にするためにも国と地方自治体が共通認識を持ち、一体となって態勢を整えることが必要だ」とあいさつした。

 厚労省は今秋にも予想される流行の「第2波」に備え、重症者への対応に重点を置いた改定指針を策定。(1)患者はすべての医療機関で診療し、軽症者は自宅療養とする(2)サーベイランス(監視)は感染者の全数把握をやめ、集団発生の早期探知に絞って詳細(PCR)検査を実施する-などの方針を打ち出している。

 会議では、サーベイランスは7月中旬に全国一律で運用方法を移行するとの方針が示されたほか、医療体制については地域の病院などの状況に応じて移行日を決定できることが説明された。

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2009.06.24 08:17 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  生活 / くらし  |  その他(一般)  |  その他(医療関連)  |  でんさん  | 推薦数 : 0

はしか

ポリオ、天然痘、麻疹などウイルス感染症はワクチン接種で防げる病気です。日本の麻疹ワクチン接種率は70%で先進国の中では低い方で、今でも流行があります。しかし昔ほどの流行がなく、現代の父母は麻疹の怖さの認識が有りません。様々な合併症で重症化ししばしば致命的になります。因みに日本の平成20年での感染者は1万人を超え、合併症の肺炎、脳炎などで50人以上の子供が亡くなっています。ワクチン接種が100%に近いアメリカでの感染者は1年にたったの56人です。この現状から日本は世界から麻疹輸出国と非難されています。麻疹は空気感染でうつります。感染力が強く流行が一気に広がります。平成19年に10代、20代の高校生、大学生の間で大流行しました。幼児期1期1回の麻疹ワクチンを受けたにもかかわらず麻疹になってしまったのです。アメリカでは麻疹ワクチンを2回接種しておりWHOもそれを推奨しやっと日本でも平成18年から2回接種になりました。一回だけでは年月と供に免疫が弱く成ってしまい平成19年に大流行が生じたとの反省から、1回接種のままで2回接種を外れた若い年代に平成20年から5年間の限定で2回目の接種を行うことにしたのです。中学1年生対象が第3期接種で高校3年生対象を第4期と呼び定期接種を始めています。この期間に受けると接種料金は全額補助されます。それを外れると自己負担です。しかし平成20年は第3期が60%、4期は50%台と低迷しています。自分のためだけでなく社会のためにも必ず受けて日本からはしかを絶滅する必要があります。毎年接種の必要なインフルエンザと違い麻疹ウイルスは変異する事が無いので、一度麻疹に罹るか、生涯2回のワクチン接種ではしかに罹らないのです。

◆ 麻しん 2009年 第1~24週(2009年6月17日現在)
 わが国における麻しんの流行状況の把握は、1981(昭和56年)年7月に厚生省実施の事業により定点把握調査として開始された。1999年4月からは感染症法制定に伴い、法のもとで定点把握調査が続けられていた。定期予防接種によって麻しんの患者数は着実に減少し、2006年には過去最低の定点当たり累積報告数となっていたが、2007年に10代、20代を中心とする流行が起こり、多数の学校が休校措置を行うなどの社会的問題が生じた。世界保健機関では、日本を含む西太平洋地域において2012年までに麻しんを排除するという目標を掲げており、わが国においてもこの目標に向け、予防接種については、追加接種の実施による2回接種の徹底が図られるとともに、発生状況の把握については、より正確な把握のため、2008年1月1日から全数把握調査に変更された。
 2008年第1~52週(2008年1月1日~12月28日診断のもの、2009年1月21日現在)の累積報告数は11,007例であった(2008年の発生状況については、 2009年第1~24週(2008年12月29日~2009年6月14日診断のもの、2009年6月17日現在)に報告された麻しん累積報告数は405例であった〔2008年の同期間(第1~24週)は9,485例〕。週別では、報告がなかった週はないものの、最多報告数は第18週(4月27日~5月3日)の26例にとどまっている(2008年のピークは第7週の567例)
 都道府県別では42都道府県から報告されており、東京都58例、千葉県55例、神奈川県52例、大阪府38例、埼玉県26例、福岡県16例、愛知県15例の順となっている。患者発生がない県は、秋田県、島根県、高知県、熊本県、宮崎県の5県である。
 病型別累積報告数では、臨床診断例184例(45.4%)、検査診断例130例(32.1%)、修飾麻しん(検査診断例)91例(22.5%)と検査診断例が過半数を占めている。臨床診断例が61.8%と過半数を占めていた2008年と比較して、検査診断例の割合は増加した。特に修飾麻しん(検査診断例)の割合が2008年(9.3%)と比較して増加した。 年齢群別累積報告数では、1歳69例(17.0%)、2~4歳43例(10.6%)、10~14歳39例(9.6%)、0歳および15~19歳37例(9.1%)、35~39歳35例(8.6%)、20~24歳34例(8.4%)の順に多かった(図4)。年齢別では、1歳69例、0歳37例、2歳19例、4歳15例、14歳13例、12歳11例、16歳、20歳、35歳各10例の順であった。0歳児と1歳児で全体の1/4以上を占め、また15歳未満で1/2以上、30歳未満で約3/4を占めている。2008年の累積報告数では、10代と20代で報告数全体のおよそ2/3を占め、年齢群では15~19歳、10~14歳、20~24歳の順に、また年齢別では15歳、16歳、1歳、0歳、17歳の順に多かったのと比較して、患者の年齢分布には大きな変化がみられている。 麻しん含有ワクチンの接種歴別報告数では、接種歴なし87例(21.5%)、1回接種195例(48.1%)、2回接種17例(4.2%)、接種歴不明106例(26.2%)であった。1回接種者が最も多く、ついで接種歴不明者、未接種者の順であった(図5)。2008年においては接種なし(未接種者)が約半数を占めていた。この変化については、予防接種率が上昇したことによって未接種者の割合が減少し、結果的に1回接種者が増加し、患者数においても多数を占めるようになったことが理由の一つと推察される。この点については、まもなく実施される2008年度(2008年4月~2009年3月)における定期予防接種率調査の結果も踏まえて評価し、さらに今後の対策について検討しなければならない。 麻しんの重篤な合併症である脳炎の報告はなかった。肺炎の合併例は13例(0歳1例、1歳4例、2歳1例、3歳1例、4歳1例、9歳2例、10代2例、40代1例)が報告され、10歳未満の小児が約77%を占めていた。また、発生届に記載されている症状・合併症の中で、腸炎が15例(10歳未満3例、10代3例、20歳以上9例)、クループが5例(0歳1例、1歳2例、2歳1例、3歳1例)報告された。死亡の報告はなかった。(※届出後の合併症の発症や死亡は十分報告されていない可能性があるので、確認された場合には追加報告を自治体に依頼しています。麻しんは年齢に関係なく命に関わる重篤な疾患である。2009年第1~24週の麻しんの累積報告数は405例であり、昨年同期間の20分の1以下となっているが、麻しん排除に向け、さらに麻しん患者発生を抑制しなければならない。

 そのためには、まず麻しん予防接種率の向上が必要である。すなわち、定期予防接種第1期の高い接種率の維持であり、2回目接種の徹底である。自分自身の予防のため、また、周囲の人々、特に、重症化しやすいにもかかわらず定期予防接種の対象前の0歳児や基礎疾患などのため予防接種を受けらない人を感染・発病から守るためにも、麻しんにかかったことのない方や不明な方で、麻しん予防接種が未接種あるいは1回のみの接種の方、予防接種歴が不明の方は、積極的に麻しん予防接種を受けていただきたい。

 また、患者数の減少した状況下では、臨床診断のみでは診断が困難な例の増加が懸念される。適切な拡大防止対策に繋げるため、確実に検査診断することが今後ますます重要である。

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2009.06.23 07:21 |  趣味  |  グルメ / お酒  |  その他(一般)  |  その他(医療関連)  |  でんさん  | 推薦数 : 0

トップ動く

タバコ産業の盛んなアメリカで、ささやかな段階ではあるがトップのオバマ大統領が動きだしタバコ規制法を制定した。ブッシュ前大統領時代と比べ画期的なことである。その内容はタバコ産業に対してマイルドなど若者の好きそうな香りを入れたタバコを作る事を禁じた。その理由は18歳以前にタバコを吸い始めるとなかなか止められなくなるからである。オバマ大統領自身喫煙者で止める苦労を知っていると述べた。

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2009.06.21 16:57 |  診療  |  生活 / くらし  |  その他(一般)  |  その他(医療関連)  |  でんさん  | 推薦数 : 0

愛を忘れないで

新型インフルエンザが発生した直後には健康被害の軽重は分からない。それなりの対応が必要だったのは了解できる。問題は各国から罹患の際の症状は軽いとの情報が有ったにも拘らず新型鳥インフルエンザ発生を想定したままの日本政府の対応である。かたくなな対応がパニックを招来し、あたかも殺人ウイルスが上陸したかのような過剰反応を国民に生じさせ日本人全ての総マスク姿は第一次世界大戦時のガスマスクシーンを見るような映像を世界に流した。海外の人の目には科学の進歩した日本でコントロールの出来ない大変な流行が起こっているとの印象を与えた。そして日本に訪れる外国人の減少に結びついた。観光業界や日本経済に大打撃を与えている。国内でも発生患者の出た高校には日本各地から同胞の仕打ちとは考えられない薄情な中傷の電話が鳴り止まなかったという。

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日本の人権を無視した悲惨なハンセン病政策の反省を込めて感染症予防法は2007年に改正された。その中には人権意識の高まりから「人権尊重」や「最小限度の措置の原則」が明記されている。今回の新型インフルエンザもこの観点からも検証されなければならない。

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5月31日は世界禁煙デーである。この日、世界各地で地球上の全てのタバコ喫煙を無く使用と様々なキャンペーンイベントが開かれる。今インフルエンザでその存在を世界に知らしめている世界保健機関WHOは1988年から1997年までの2期10年間を日本の中島先生が総長を勤めた。その後、ノルウエーのブルントラント女史が継いだ。彼女は医師であるとともに有能な政治家で後にノルウエーの総理大臣になった人である。彼女はWHO総長の任期中「たばこ規制枠組み協定TCTA」の制定に努力して2003年世界保健機関総会に提出して、全会一致の賛成に漕ぎ着け協定は成立した。そして2年後には発行、現在日本を初めWHO加盟国中164カ国が批准をしている。制定過程で陰に陽に足を引っ張ったのがたばこ産業の発達したアメリカ、ドイツそれに日本で、当時、世界からはタバコ喫煙の3大悪の枢軸と言われた程で有ったがその後、健康意識の高まりから日本では健康日本21や健康増進法が定められ2005年にTCTA協定を批准した。驚いたことにはタバコの吸殻が道路のあちこちに投げ捨てられ散らばるドイツで最も困難な受動喫煙防止法が制定されたのである。一方、ブッシュの時代のアメリカは到底無理であったがオバマになって期待は持てる。そのドイツで一人の政治家が科学者の喫煙の健康被害に関する正確な検証とエビデンスを武器に1914年から100年以上にわたりたばこ産業界と国家政策により形作られマインドコントロールされたタバコの健康神話とたばこに対するイメージを崩し去ったのである。たばことスポーツを組み合わせ青空の下で吸うタバコのイメージを健康的と思わせる操作がずっと続いてきた。しかしその陰で例えば、マルボーロのたばこの宣伝に使われているカーボーイのふたりはタバコによる癌で47歳と50歳で死んで居た。長いキセルをくゆらせて素敵に装う銀幕の美女ヘップバーンの55歳の顔は皺だらけでどす黒く変わり果てている。タバコがビタミンCを奪い皮膚のヒアルロン酸が失われた為である。最後にはタバコに健康被害で死んだ。そのほか喫煙シーンがかっこよいとされたマリリンモンローも大腸がんで死んでいる。ところで鹿児島では新鮮な魚の事をブエンと言う。交通機関の発達していない昔、海岸沿いの部落では新鮮な魚を口に出来たが、山間部では保存の関係で塩漬けでしか食べられなかった。その関係で刺身になる新鮮な魚のことをブエン(無塩)と言った。新鮮なことがブエンである。たばこは空気を汚す。新鮮さが損なわれる。ドイツでは部屋に満ちた煙を冷たい煙と呼ぶ。その部屋の冷たい煙から逃げられない非喫煙者に膨大な害を及ぼす。たばこの煙が漂う飲食店で刺身を食べても美味しくない。たばこはブエンの鮨や刺身には似合わない。無煙でなければならない。いま全世界で受動喫煙防止が大きく取り上げられている。これまで日本でも超党派の議員連盟が受動喫煙防止法を提案国会でも議論されたが政局の具にされつぶされた。人々の集まる公共の場所での喫煙が周りの人に多くの健康被害を与えている。公共の場所で働かなければならない非喫煙者の中には妊娠した人、喘息の人も沢山居る。言い出せないで居る。ドイツでは受動喫煙で年間3千人もの非喫煙者が死んでいる。喫煙者に至っては13万人と言う。日本でも喫煙者の夫のタバコで非喫煙者の妻が肺がんに掛る率が多くなった居る。父の日の今日、タバコのみの旦那さんは禁煙を決意すべきである。タバコのみのおじいさんには可愛いイ孫も近づかない。孫が出来た機会に禁煙を決意し私の禁煙クリニックを訪れる人も多くなった。もともと日本人は伝統的に人に迷惑を掛けてはならない事を旨として来た。しかしたばこに税収を求める行政は喫煙は善行であるとして、喫煙とスポーツ、娯楽など他の楽しいイメージとのセットで宣伝し、たばこの魔の手である依存性から抜け出せない状況を利用して国民の導徳心をなくさせた。神奈川県は民主党を中心にした議員の働きで、日本で初めての受動喫煙防止条例に漕ぎ着けた。因みに民主党々首の鳩山さんの選挙区は神奈川県である。日本の倫理、道徳に向けて。

 

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