| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | ||||
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
| 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
| 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
先日の新聞に、都立高校の入試問題と解答が掲載されていた。息子が今年受験生ということもあり、どんな問題が出ているのだろう?国語ならば今の私でも解答できるかな・・という興味本位で、国語の入試問題に目を通してみた。そして一つの問題が私の関心を惹いた。
それは「科学者という仕事」(酒井邦嘉著)という論説から取った長文読解問題で、次の文章から始まっていた。「多くの人は、科学は正しい事実だけを積み上げてできていると思うかもしれないが、それは事実ではない・・・」更に読み続けていくと、この問題文は実はとても難解なテーマを扱っているではないか!
この入試問題の解答そのものは、この「文章の文字面(もじづら)の意味」を理解すれば文脈で解ける問題だ。しかし、ここに書かれてある「テーマ」(科学者という仕事)を本当に理解することは、本来とても難解でかつ興味深く、またとても重要なことだ。例のマスコミの捏造問題を初め、「科学的論理的思考」がきちんと為されていない現実ゆえ。
私は以前、竹内薫氏(サイエンスライター、TVニュースゼロ科学解説者)から、ある科学哲学者の話しを聴いた事がある。彼の名は、ファイヤアーベント。カルフォルニア大バークレー校の教授であり、ロンドン大学・ベルリン大学などでも科学哲学について教鞭を執っていたそうだが、彼の生き方や思想は、型破りの反権威主義であり、知的反逆者であったらしい。竹内氏の講義では、ファイヤアーベントの自伝や代表的論文から、「世界を科学的に認識する方法」の歴史や飛躍を、ファイヤアーベントの視点から愉しく学ばせて頂いた。
今回の読解問題文の中に、カール・ポパーという人が“科学哲学の重鎮”(!)として紹介されている。実は、そのポパーはファイヤアーベントの指導教官であったらしい。そしてファイヤアーベントに言わせれば、ポパーは「優等生的で面白みに欠け、ラディカルさや先鋭さに欠けていた!」とのことである。本当はヴィトゲンシュタインを指導教官に選びたかったが亡くなってしまったので、仕方なくポパーを選ぶハメになってしまった、とのこと。この論説に隠された「豊穣さ」、実はこの豊穣さこそ、ファイヤアーベントを理解するキーポイントであるが・・
面白くもない入試問題の奥にも、興味深い事実がいっぱい隠されていた。たまたま今回は、それに関することを深く学んでいたから知っていたが・・日頃の何気ない事実の奥にも、本当は凄い事がたくさん隠されているのだろう。ただ人が気付かないだけで・・