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昨日の朝日新聞に「消費者が選ぶ企業ベストブランド トヨタ自動車が3年連続1位」という記事が載っていた。日本消費生活アドバイサー・コンサルタント協会が企画した企業評価の結果である。トヨタ自動車は「プリウスだけでなく高級乗用車分野までハイブリッド車を投入」「国際的にも認められている商品品質の高さ」が評価されたそうだ。
実は、私の父は典型的な「トヨタマン」であった。海外ではまだ「日本車はダメだ・・」と言われていた戦後まもない頃、父はトヨタ自動車に入社し、エンジニアとして第一技術部駆動設計課に所属し、エンジン開発の仕事に就いた。そして会社からやれ!と言われるのではなく、自分の興味から「自動変速機」いわゆる「トルコン」の研究をしていたそうだ。その研究を社内の「技術会」で発表したところ、上司から「東大の先生に聞け」と後押しを頂き、東大との共同開発を行い、日本で初めて「自動変速機」の小型車量産に結びついたそうだ。そして世渡りの決してうまくない父だが、会社は父の仕事結果をきちんと評価し、第一技術部の部長に抜擢している。
この様な社員の仕事に対する姿勢は、決して父だけではなく、“トヨタ創業からの伝統”のようだ。「新しいことに前向きに積極的に挑戦し開発していこう」という社員個々の意識、そして「その社員個々のやりたいことを自由に積極的にやらせてくれる」という会社の方針。
「自分で開発していこう!」というトヨタの伝統をよく示しているエピソードを父から聞いた。戦後まだ日本の自動車開発が進んでなかった頃、トヨタ以外の自動車会社は欧米の自動車会社と手を結んだそうだ。しかし、トヨタはあくまで自社のみで技術開発を進め、自力であの高級車クラウンを世界に出した。以前、他社の人から驚かれたそうだ。「トヨタは不思議な会社だ・・・東大卒は少ないのに、出てくる車は立派だ!」
父を初め、多くのトヨタ社員が「トヨタマン」たる謙虚な誇りを持っているのを感じる。それには“トヨタ創業からの伝統”が、社員にやはり大きな影響を与えているのではないか・・・“社員個々の挑戦を積極的に支援する姿勢”。そして何より“伝統的に今でも終身雇用の原則を守っていること”・・・トヨタのトップは言っているそうだ、「社員の首を切って会社を立て直すことは、邪道だ・・」と。
そして、今回も企業ベストブランドの1位に選ばれた訳だが、トヨタのトップはそれを喜ぶどころか、逆に気を引き締めているそうだ。気の緩みやおごりを・・・
会社は父を成長させてくれた。そして父も会社を成長させた。しかし、こうした全体が一つの生命体であるかのような部分と全体の美しい調和は、個人が孤立化する現代社会では難しいのだろうか・・
アメリカ元副大統領アル・ゴア氏は、17年前、一生忘れられぬほどの衝撃的時期があったそうだ。愛する息子が交通事故であわや生命を落とすかと言うほどの大怪我をした。突然日常の時間が断ちきられ、そこで何もかもを考え直したそうだ。「自分にとって本当に大切なことは何なのか・・・」
そして2つのことを誓ったそうだ。その1つは、いつも自分の家族のことを第一に考えること。そしてもう1つが、仕事では「気候の危機」を重要な課題とすること。
それからのゴア氏の活動のひとつ、地球温暖化についてのスライドを見せながらの講演活動が、あの映画「不都合な真実」になり、その書籍版も最近出版された。地球温暖化問題の一番の核心を突いている事実が、この本の中にある次の問答によく現れているように思う。
最もよく聞かれる質問があるという。「たくさんの人たちが、まだこの危機は本物ではないと思っているのは、何故だろうか?」そしてゴア氏の答えがこれだ。「気候の危機に関する真実は、自分達の暮らし方を変えなくてはならない、という“不都合な真実”だから・・」
ゴア氏は、この地球の危機的な問題に、より多くの人たちの「意識」を向けるためのキャンペーンの一つとして、今年7月7日に地球の7大陸で24時間の地球規模のコンサートを行うことを公表している。その名も「Save Our Selves -- The Campain for a Climinate in Crisis」
コンサート開催地は、中国(上海)、南アフリカ(ヨハネスブルグ)、オーストラリア(シドニー)、イギリス(ロンドン)、日本(開催地未定)、ブラジル(開催地未定)、アメリカ(開催地未定)、南極である。
そして、100組以上の出演者と観客あわせて100万人、テレビ・ラジオ・インターネットなどで参加する人たち20億人を計画しているそうだ。
ゴア氏は声明の中で言っている。「地球温暖化の問題を解決するためには、数十億人の人と連携しなければならない。そして、前例のない息の長い地球規模の運動しかない・・」
参考:「不都合な真実」アル・ゴア著(ランダムハウス講談社)、北山耕平氏ブログNative Heart
我が家には現在10匹の猫がいる。昨春に姉妹母猫2匹からそれぞれ4匹の子猫が産まれて、計10匹という訳だ。まさに猫屋敷となっている。また我が家には4人の子ども達もいる。10匹の猫たちと4人の子ども達の微妙な関わり合いが日々生じる訳だが、その微笑ましい遣り取りには、こちらも思わず心温まることの多いこの頃である・・
ところで、猫に関する著書は多々あるが、先日偶然、面白い猫本を見つけた。猫の存在の何たるかを感ずる人には興味深い本だと思う。その本は・・・
「作家の猫」コロナ・ブックス編(平凡社)2006年6月初版
猫をこよなく愛した作家と、その猫たちの日常の機微を、美しい写真と共に味わい深く描いた本である。
そこに登場する作家であるが・・夏目漱石、南方熊楠、寺田寅彦、熊谷守一、竹久夢二、谷崎潤一郎、藤田嗣治、室生犀星、佐藤春夫、大佛次郎、アーネスト・ヘミングウェイ、幸田文、梅崎春生、椋鳩十、三島由紀夫、開高健、中島らも、等々・・・
開高健は書いている・・「猫は精妙きわめたエゴイストで、人の生活と感情の核心へ忍び込んでのうのうと昼寝するが、ときたまうっすらとあける眼には、絶対に妥協してないことを物語っている」「一切の行動の自由を持ちつつ排斥されることなく、孤高に終始しながらぬらりくらりと怠けて過ごすという、様々な矛盾を抱きつつ諸矛盾を精妙に融合させてかえってそれを魅力に転ずる・・・という具合については、ひたすらネコについて学ぶべきである」
熊谷守一は生涯を何にも縛られることなく、自由に生きることを愛した。だからこそ、人間に気をつかわない自由気ままに生きる猫を愛した・・
猫の自由孤高な生き様は、他者は勿論、自己にも執着してないかのようだ。少なくとも、過剰な自己意識はなく、淡々とそこに存在しているかのようだ。ところが人は、「私」I が「私」me を(特に人と比較して!)意識する。「私」I が「私」me を見つめている・・・それは「主観 I 」と「客観 me 」の分裂した世界である。そして、それらが解け合ったところに「涅槃」があると、古の賢人達は説いたのでは・・
その「涅槃」の境地が、自由孤高な猫の在り方にどことなく感じられるからこそ、「涅槃」に憧れた、かの孤高な文豪たちは、こよなく猫の存在を愛したのではないか・・
ここのところ、関西テレビ制作の「発掘!あるある大辞典Ⅱ」(フジテレビ系)で、捏造問題の疑われる番組が、芋ズル式に分かってきている。実験データや研究者の発言などの科学的事実を、改ざん・捏造して報道していた・・
実は最近ちょうど、「科学報道の実態」について、竹内薫さんからお話を聞く機会があった。竹内さんは専門が物理学であり、サイエンスライターとして一般向け科学書を多々出版されている。また現在では、日本テレビ系「NEWS ZERO」の科学キャスターやフジテレビ系「たけしのコマネチ大学数学科」の解説者をされている。であるから、日本の科学報道の実態を、身を持って知り尽くしている方でもある。
そのお話の中で「なるほどなぁ~」と感じたのは、番組制作の裏事情。例えば、テレビ番組「コマネチ大学数学科」を制作するにおいて、例の「あるある」と同様に、実際に番組を制作するのは、テレビ局の下請け会社の下請け会社、いわゆる「孫請け会社」である。そして連載のテレビ番組の撮影は、通常1年間通してスタジオを借り切り、セットを作って行われる。そのスタジオを借りる「資金」がまず必要となるわけだ。だからスポンサーがどうしても必要となる。そしてスポンサーを得るためには「視聴率」を上げる必要が出てくる。視聴率を上げるには、インパクトのある番組内容を制作する必要がある。だから科学的内容を改ざん・捏造してでも・・
そして、ただでさえ孫請け制作会社は収益が少ないそうだ。番組の収益は、まずテレビ局ががっちり取り、そして次にその下の制作会社が取り、最後に実際撮影した孫請け会社が貰う・・
その他に「科学報道の実態」のお話で、「そうかぁ~」と思ったのは、そもそも報道の世界で、難しい最先端の科学を一般人にわかりやすく伝える人材がとても少ないという現実。
新聞社では科学斑の科学ジャーナリストがまだいるが、出版界ではサイエンスライターはとても少なく、テレビ・ラジオでは殆どいないそうだ。さらにテレビ関係者は殆どが文系出身者で、理系出身者は殆どいなく、文化の壁がある!とのこと。例えば、多くの女性の中で男性一人がいる状況の感じ、とのこと。
更には、科学報道の一つとしての「医学・医療報道」の現状はどうだ?テレビ報道や新聞記事において、正確に実情を理解・把握して解説されているとは言い難い現実がある。社会を動かしていく力もある報道だからこそ、その「科学報道」の質の高さは、現代社会には必須であるはずなのに・・
米国や英国では、科学報道の専門職である「サイエンスライター」の地位が高いそうだ。例えば、大学では分業がはっきりしている。研究する者、教育する者、そして大学の科学研究成果を報道する者。何と大学組織の中にサイエンスライターという職種があるそうだ。大学付サイエンスライター!
日本社会では、まだまだ「サイエンスライター」の働く場さえないとのこと。科学を正確に一般人に報道する社会体制がまだまだ確立されてないのが日本の現状である・・