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最近、「火星の人類学者 脳神経科医と7人の奇妙な患者」脳神経科医オリヴァー・サックス著(早川書房)を再び手に取る機会があった。一般人の病気観を覆す全米ベストセラーの医学エッセイ、読まれた方も多いと思う。
自閉症で生物学者であるテンプル・グランディン。「脳に障害を持ち、不可思議な症状に悩まされる7人の患者」の一例として描かれてある。
「・・“単純で力強く、普遍的な”感情なら理解できるが、複雑な感情やだましあいとなるとお手上げだという。“そういうとき、私は火星の人類学者のような気がします”と彼女は言った・・」
「私は恋に落ちたことがありません。恋に落ちて、有頂天になるということがどんなことか、わからないのです。」
「夜空の星を見上げるとき、“荘厳”な気持ちになるはずだというのは知っていますが、でもそうはならないのです。・・・頭では理解できます。ビッグバンや宇宙の始まり、私たちは何故ここにいるのだろうといったことを考えます。・・」
そう、彼女は人や自然に心動かされることはない。人として、きめ細やかな感情を感じることはない。そして彼女自身、その脳障害について鋭い考察をしている。
「脳の“感情の回路”が損なわれている思いが強い・・・この回路が、扁桃体(大脳辺縁系)と前頭前野とを結びつける役割をしているのではないか・・」
確かに彼女はそうした脳の障害を持っている。しかし、驚くべきことを、彼女は感じ信じている。
「私が本当に悪いことをしたら、神の罰がくだり、空港へ行く途中で車の操縦系統が故障してしまうかもしれません・・」
サックスも解説している。「法律は彼女にとって単なる国法ではなく、はるかに深い意味のある神聖な、あるいは宇宙的なもので、違反すれば破壊的な結果をもたらし、自然の流れそのものすら崩れかねないのだ。・・」
彼女は「普通の人」以上に、“宇宙の摂理、因果応報の真実”を絶対的真理として感じている。
最後に再び彼女の言葉を・・「遠く離れた空間の運動、量子論などについてお読みでしょう。私は食肉プラントに出かけるときはいつでも、とても慎重でなければならないと感じます。神が見ているからです。量子論に触れるかもしれないからです。」
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