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災いは忘れた頃にやってくる
お年よりは足腰がしっかりしていない人が多く、ちょっとしたものにつまずいたり、机や戸など自宅の中で軽く頭を打つことが多くなります。若いときにはそれくらいはなんでもないことなのですが、お年寄りが頭を打った場合は特別に注意することがあります。それは頭を打ったことすら忘れた頃に病気になる場合があるためです。
すっきりしない頭痛が続きます
それは慢性硬膜下血腫といいます。頭を打ってから1~2ヵ月間かけて徐々に頭蓋骨の下の硬膜と脳との間に血液がたまってくる病気です。普通は片側だけに血液がたまってきますので、それが脳を圧迫し、反対側の手足の動きが悪くなります。あまり激しくはありませんが、頭痛が一日中続きます。脳腫瘍ではありませんが、たまっている血液の量が徐々に増えてゆきますので、頭痛も徐々に強くなってゆきます。
ボケの症状で発症することもある
両側に出来ると物事を考える脳である前頭葉が強く圧迫されますので、ボケてきます。「まあ年が年だから」仕方ないとあきらめていると治療の時期を失ってしまうことになります。
治療は穴を開けて吸い出すだけ
診断はCTですぐに分かりますし、治療は頭蓋骨に10円玉くらいの穴を開け、血液を除くだけの比較的簡単な手術です。麻酔も局所麻酔(皮膚の切開するところだけを麻酔する)なのでご高齢の方でも手術が受けられます。
慢性硬膜下血腫は“治療可能な”認知症の代表です。治療可能な認知症を見逃して回復不能な状態になってしまうことだけは避けなければいけません。
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頭を打った子どもを病院に連れて行かなければならない時
子どもが外で遊んでいて、たんこぶを作って帰ってきました。「病院につれてゆかなくても大丈夫、これくらいのことは。」と思っても姑さんから「そんなこと言って、もし何かあったらあなた責任持てるの?」などど責められると不安になります。しかし子どもはよく頭を打ちますから、そのつど病院に連れて行ったのでは大変です。そこで絶対に病院に連れて行かなければならない状態かどうかを下記で判断してください。
1) しばらく意識がなかった。
2) 嘔吐を繰り返す。
3) だんだんぼんやりしてくる。
4) けいれんが起きる。
大人の場合は強く頭を打っても笑ってこらえている人がいますが、子どもは正直ですし、脳に強いダメージがあると必ず吐きます。そこで、頭を打っても意識がはっきりしており、1から2時間経っても吐かない場合はまず大丈夫です。
家で様子を見る場合に気をつけること
その場合は家庭で様子を見ることになりますが、いつまで気に留めておかないといけないかといいますと、だいたい頭を打ってから24時間は注意を向けて置いてください。その間に上記のような症状が出てくればすぐに病院に行ってください。24時間以内に後で述べる急性硬膜外出血が起こる場合があります。
外見がきれいで意識がない場合は怖い
大きなたんこぶが出来ていたり、頭の皮を切ってたくさん血が出ていたりすると、びっくり仰天して親はおろおろしてしまいます。しかし同じ強さで頭を打ったのなら、頭の傷がひどい場合のほうがよいこともあるのです。それは外傷のエネルギーが大きなたんこぶを作ったり、皮膚を切ったりすることで消費され、脳にダメージを与えるエネルギーが少なくなるからです。頭を打っているのに外見はきれいで意識がない状態が脳神経外科医としては一番恐ろしい状態です。
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