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首を絞めるというのは、推理小説で犯人がよく使う手段ですが、なぜ首を絞められるだけで人は死んでしまうのでしょうか? それは脳が常に大量の酸素と栄養を必要とする大食漢だからです。脳は約1400グラムですから、体重60キロの人でわずかに2.3%を占めるに過ぎません。しかし必要とする酸素と栄養の量は体の他の部分に比べて5から10倍にもなります。
首を絞めて首の血管が圧迫され、脳にゆく血液の量が少なくなると、とたんに酸索と栄養が不足し意識がなくなります。このように脳にとって酸素と栄養を運んでくれる血管はまさに命綱なのです。
そのために脳の表面には細い血管が、あたかも葉っぱの裏にある葉脈のように張り巡らされています。従って血管が傷んでしまうような病気。例えば高血圧や糖尿病などで動脈硬化がすすんでしまうと、脳の血管が細くなって脳梗塞になったり、血管の壁がもろくなって脳出血を起こしてしまうのです。脳の病気になりたくなかったらこれらを予防ないしは治療することです。
脳を壊す恐ろしい生活習慣といえば、ずばりタバコです。 25才から脳の老化が始まると言いましたが、 25才から一日に神経細胞が約10万個死ぬといわれています。しかしもともと神経細胞の数は140億個と多いので、一生で数パーセントしか死にません。しかも全体の8割以上は使っていないのですから、普通はあまり影響が出ないはずです。
しかしタバコを吸うと一日に死ぬ神経細胞数が5から10倍にもなります。これでは働いている神経細胞も死んでしまいます。
脳の老化を防ぐためには一日も早く禁煙をしなくてはなりません。禁煙は3日では全く効果がありません。肺に溜まったニコチン、タールが血液の中に溶けこんできますので、それが消えてしまうためには少なくとも2年くらい要すると考えられています。
頭の血の流れを良くする薬も、タバコを吸われると全く効果が無くなってしまいます。 タバコを止めてくれれば医者の薬はいらないくらいです。禁煙はタバコ代と薬代とを節約できる一挙両得の策です。
タバコを吸う人の反論として「タバコを吸うと頭がすっきりして物が考えやすくなる」というものがあります。 しかしこれはイライラする禁断症状が緩和されて落ち着くだけで、脳の働きは確実に落ちていることが多くの実験結果より明らかにされています。
また最近タバコを吸っている人に痴呆やパーキンソン病の人が少ないという報告がでましたが、タバコを吸っている人は肺癌・喉頭癌、心筋梗塞そして脳卒中などの重大な病気で死亡して、痴呆やパーキンソン病にかかる年令まで生存していないだけなのです。ある研究ではタバコ1本で寿命が15分縮まる計算になるようです。
「医者もタバコを吸っているではないか」という反論もあります。恥ずかしながら、日本の医療従事者の喫煙率は世界のトップクラスです。私も学生時代に喫煙していましたが、肺癌の講義をしてくれた先生の情熱あふれる説得でやめることができ、大変感謝しています。タバコの害を本当に理解する努力が医者の側にも必要でしょう。
また「体に悪いといっても自分が納得して吸っているのだし、周りに迷惑を掛けていないのだから関係ない」という反論があります。
イギリスで離婚裁判がありました。奥さんが自分が癌になると嫌なので、主人にタバコを止めるように言いました。しかし主人は止めてくれないので、自分の健康が心配だから離婚したいと訴えたのでした。結果は奥さんの勝訴で、離婚が認められました。その理由は本人がタバコを吸わなくても、その人が吐き出したタバコの煙を吸っているだけで、肺癌に羅る確率が4から5倍の頻度になることが医学的に証明されたからです。
ですからタバコを吸いたければ家の外で吸わせて下さい。雨が降ろうが、風が吹こうが泣いても吸い終わるまでは家に入れてはいけません。
最近私が最も危慎するのは、わが国の女性の喫煙率の増加が先進国の中でトップであるということです。信じられないことに妊婦さんがタバコを吸ったり、小さい子供の前で平気で煙を吐き出している人がいることです。今でも不用意に置いていたタバコ1本を、幼児が誤って食べて死亡するケースがあります。 子供はタバコに関しては、大人の10倍から20倍感受性が高いと言うことを覚えておいて下さい。子供の脳の発育を止めるもののトップもタバコなのです。
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