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シーンとした夜は妙に頭が冴えていて、自分の世界に浸れるので学生時代は完全な昼夜逆転でした。古い言葉ですが『深夜族』は私の学生時代の代名詞でもありました。親に読まれると問題がありますが、日中は講義中に熟睡し、テストの前に友達のノートのコピーにほとんどの時間を使っていました。若いときはまだ何とかなっていましたが、医師になって夜間の緊急手術などで徹夜をすると数日間からだがボーっとしてしゃんとしない状況が続くようになりました。これは私の体内時計が狂っていたからです。
私たちは体の中に体内時計という時計を持っています。このリズムを作っているところは、人間の場合は脳の視床下部にある「視交叉上核」と考えられています。 ただし、この体内時計がつくるリズムは1日がおよそ25時間になっていて自然環境の1日より約1時間長くなっています。
私たちは1日25時間サイクルの体内時計を、毎日いろんな同調因子によって調整し、自然環境の1日24時間のサイクル(体外時計)に合わせて生活をしています。
その生体時計が刻む生体リズムに基づいてその人の生活スタイルが決められており、その基本となっているのがほぼ24時間を周期にしたサーカディアン・リズム(概日リズム)です。個人差はありますが、ほぼ24.7時間といわれています。
体内時計を調節する作用を持つものを「同調因子」といいますが、それには次のようなものがあります。明暗(光)・食事・運動・社会的因子・環境などです。これらの同調因子をうまく働かせて、自分にあった生体リズムを刻むことが一番の基本的な健康法となります。
以下に田村康二先生の『「時間医学」で読む=病気の時刻表(青春出版社)』から生体リズムを守る健康法のポイントを7つ述べてみます。 1日24時間の地球で過ごすための健康時計の使い方です。
1.早起きで体内時計のずれを修正
太陽が昇る前に起床し、日の出前の青白い光に触れることをお勧めします。 30分ほど当たるだけで、対外時計との差である0.7時間ぶん体内時計が進みます。これは朝寝坊の人には大変なことです。昼間の光のほうが強いので、それを浴びるだけで十分な感じがしますが、残念なことに昼間の黄色い光には時計を進める働きが備わっていませんので、あきらめましょう。 ヨーロッパでは『牛乳を飲む人より牛乳を配達する人のほうが健康』ということわざがあります。
2.起床直後は行動のエンジンを徐々に
目覚めてから数時間は「魔の時間」です。心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などが午前6時から10時の時間帯に集中しています。体が完全に眠りから覚めていない状態なので、行動は出来るだけゆっくりとしましょう。車でも急発進、急停車は危険ですよね。従って朝ギリギリまで寝ていて、朝食抜きであわてて出勤するお父さんは大変危険なことをやっているのです。
3.朝食は脳を目覚めさせる和食中心で
体内時計は朝食でリセットされ、その後昼食、夕食が決まった時間に取られることでしっかりと固定されます。心身の目覚めはまず脳から始まります。ぼんやり状態を出来るだけ早くはっきり状態にするにはエネルギーが必要です。それは糖分に限ります。具体的には和食中心の朝食が望ましいといわれています。
4.人間の緊張は90分サイクル
私たちの眠りの1サイクルは90分です。実はこの90分リズムは目覚めている間も基本的に続いており、人間の緊張感は90分のリズムで繰り返されています。このことから勉強や仕事は90分ごとに休むと言う方法が一番良いことが分かっています。職人さんは昔から午前10時と午後3時に休憩していますが、これは生体リズムから考えると大変理にかなっています。
5.夕食より昼食を主に
私たちは夕食をしっかり摂っていますが、胃腸の消化吸収の速度が夜に比べて昼間の方が2倍速く、活動期が続く昼間にエネルギーが必要なことを考えると、昼食をしっかり取った方が良いと思います。これは肥満防止の点からも有効です。
6.夕方、戸外で太陽光に触れよう
夕方の太陽光は朝とは逆に体内時計を時差の0.7時間を戻す作用があります。たそがれ時の光を浴びながら、のんびりした散歩するのは非常に効果的です。 また夕方4時頃は、心筋梗塞の発生に第二のピークがある魔の時間です。行動の活力を徐々にダウンさせましょう。
7.入浴は夕食前が効果的
眠りの中枢は体温が下がった状態で初めて働き出します。就寝直前に一風呂浴びるとかえって寝つきが悪くなります。それは体がほてり、眠りの中枢が刺激されなくなるためです。入浴は夕食前に済ませておくほうが生体リズムにかなっています。
夜勤などで生活が不規則になる場合はできるだけ本来の自分の生体リズムを崩さないようにしましょう。そのためには夜勤は何日も続けない。夜勤の間に1時間でも良いから仮眠を取るということが大切です。 また勤務時間帯のシフトを急に動かさず徐々に時計回りに動かすことも重要です。例えば日勤、準夜勤、夜勤などです。夜勤をした翌日は充分に休息をとり、疲労をためず、速やかに本来の自分の生体リズムを取り戻してください。
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