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知り合いの名前が出てこなかったり、用件があって部屋に入ったとたんに何をしに来たのか忘れたりすると、『俺もいよいよか!』と心配になることがあります。もちろんぼけは取り返しのつかない脳の病気でも起こりますが、脳の使い方が悪くてもおきてきます。
ぼけの原因をもう一度まとめると、
(1)病気で脳の働きが落ちた場合。
(2)脳の使い方がよくなくて脳が働かなくなった場合。です。
脳の病気でぼけてしまうと聞くと、アルツハイマー病を思い出す人がほとんどだと思います。欧米ではこの病気の人が多くて、ボケの原因の半数を占めています。 アルツハイマー病の原因はいくつかの遺伝子や蛋白質の働きがおかしくなることによることが分かっています。遺伝子の病気だと今の医学ではちょっと治せません。しかし幸いなことに日本ではこの病気になる人は、欧米ほど多くはありません。
日本人の脳の病気で多いのは脳の血管が動脈硬化を起こして切れたり(脳出血)、詰まったり(脳梗塞)、血の流れが悪くなったり(慢性脳循環不全)するものです。 これを防ぐ方法は先ず脳の病気にならないことであることは言うまでもありません。
しかしこれらのはっきりとした原因がないにもかかわらず、ぼけてしまう方がいます。それは脳をうまく使わなかったことによるのです。
例えば風邪を引いてしばらく寝込んでいると、立ち上がったときふらふらして足の筋肉が落ちているのにびっくりしたご経験があると思います。人間の体は使っていないものはどんどん縮んでしまう性質があります。これを医学用語で「廃用萎縮」 (はいよういしゅく)と言います。生きがいをなくして、ある期間ぼんやりと脳を使わないでいると廃用萎縮が起こって脳が痩せてしまい、いざ使おうと思っても働かない状態、すなわちぼけた状態になります。 この場合の「やせ」は実際に脳がちじんでしまうというのではなく、働きが落ちるという意味です。
話は変わりますが、糖尿病・高血圧などを生活習慣病と呼ぶことは皆さんご存じと思います。私はこのタイプのぼけは脳の生活習慣病であると思います。
多くの患者さんを見ていますと、ぼけた人の性格・生活様式・人生の取り組み方などに共通点があることに気付きます。
それを5つにまとめられたのが早川一光先生の「こんな人がぼける」です。ここに引用してみます。
【こんな人がぼける】
(1)人の言い分を開かず、自己中心にしか物事が考えられない 『頑固』な人。
(2)すぐ腹を立てて怒鳴ったり、いらいらする『短気』な人。
(3)仕事一本に打ち込んできて、楽しみを持てなかった 『無趣味』の人。
(4)人と和せない、人の輪の中に入れない『友達のない』人。
(5)人を信じられず、『物』しか頼れない人。
(6)『笑わない』人。
どうでしたか?「あ、自分のことだ」と思われたお父さんもいらっしやることでょう。
上記以外にも多くの研究者がぼけやすい条件を提示しています。そこで私はぼけに関する本を何冊か読んで、ぼけやすい生活の条件を以下の4つにまとめてみました。
①ぼんやりタイプ
若い頃からぼーっとしていて勉強に身が入らず、大人になっても仕事にも趣味にも興味がなく、一日中ぼーっとしている人です。このタイプはすんなりとぼけてゆきます。これは納得できます。
②バリバリタイプ
それとは逆に若い頃から勉強に打ち込み、仕事一辺倒で趣味やスポーツに無関心な人もぼけやすいのです。仕事が命の人は、定年退職後、仕事がなくなると何をしたらよいのか分からなくなり、ぼーっとしてしまいます。
③ぜいたくタイプ
お金に困らず、時間の余裕がありすぎる人も自分で脳を使うことが少ないのでぼけやすくなります。ここを読んで自分は大丈夫と思った人はちょっとさみしいものがあります。
④さみしいタイプ
非社交的で、親しい友人がなく、いつもひとりぼっちでいるとぼけてしまいます。性格的に頑固、自閉的、ねくらな人、自己顕示欲が強い人などもこのタイプに入ります。
最近は一人暮らしのご老人がたくさんいらっしゃいます。さみしいタイプの人にさせないために、地域社会が取り組まないといけないと思います。
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