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親を見ていると自分の頭の程度はこれくらいでしかたないかとあきらめている人はいませんか?でもてきぱきと仕事をしている賢い人たちを見ていると、もう一度脳を作り変えることが出来たらいいなあと願いたくなりますが、そんなことは可能でしょうか?
医学の進歩というものはすさまじいもので、ついこの間まであたりまえのように思っていたことが、間違いだったということがあります。私はこれまで、多くの会場でセミナーをさせていただきましたが、セミナーで必ず入れるお話は、「脳は一度壊れると二度と再生しないから、壊れないように病気にならないように注意しましょう。」という内容のもので、禁煙や食生活の改善を強調してまいりました。しかしおよそ10年前に「脳は日々再生している」と180度考え方が変わってしまいました。
実は体の大部分の細胞や臓器などは、盛んに再生されていることが昔からわかっていました。 お風呂に入って体をこすると「アカ」が出ますが、これは死んで剥げ落ちた皮膚の細胞なのです。もし皮膚が再生しないのなら、日々皮膚はやせて最後は薄い和紙のような状態になってしまうでしょう。しかし「面の皮が厚い」ままでいられるのは、皮膚の奥のほうで盛んに皮膚を作る細胞が再生しているからです。新しく生まれた皮膚の細胞は生まれてから約2 週間で皮膚の表面に出てくることが知られています。
ところが脳だけは、生まれたときが成長の終わりで、それからは神経細胞が死んでゆくことがあっても、生まれ出てくることはないと長い間考えられてきました。しかし同じひとつの体の中で例外があると考えるほうが無理があったのですね。
お母さんのおなかの中にいるときは、脳を作る細胞(神経幹細胞)がたくさんあり、どんどん脳が作られてゆきます。おぎゃーと生まれると、この神経幹細胞が急激に少なくなり、大人ではまったく見られなくなると考えられていました。 しかし成人の脳にもたくさん神経幹細胞があり、しかも増え続けていることがわかったのです。
最近のアメリカ神経科学学会での発表では95歳の方からも神経幹細胞を培養することができたとの報告があります。
また驚くべきことに、脳以外の部分にも神経幹細胞に変わることが出来る細胞があることが分かりました。脳以外の部分とは脊髄、骨髄、皮膚そして筋肉です。脊髄は脳とつながっていますから、納得できますが、骨髄といえば血液ですし、皮膚や筋肉にいたっては全く脳と関係ない感じがします。なぜほぼ全身に脳を作る細胞が存在している必要があるのでしょうか?もちろん正確な理由は分かりませんが、これは「いざ鎌倉へ」ではありませんが、生きていくうえで一番大切な脳に問題が起こると、全身から脳を再生させるお助け部隊が集まるようになっているのかもしれません。
いつもボーっとして、頭の回転が遅い人が「頭が筋肉」と揶揄されることがありますが、本当はほめ言葉だったんですね。
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