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2006.10.05 15:13 |  老い・物忘れ・ぼけ  |  yuka_tetsuya  | 推薦数 : 8

『やる気』がぼけを防ぐ

第三の人生を如何過ごすか

 定年退職後の人生を「第三の人生」と呼び、特に団塊の世代に対して新しいライフスタイルを提供しようとする流れがあります。戦後の高度成長を支えて働きに働いてきた疲れを癒すために、マイホームでのんびりしようと思っていた、家内からは粗大ごみ扱いされ、たまに街を歩いても近所の人から不審者のように見られて、落ち込む人が結構たくさんいたりします。しかたないので家で一日ボーっとテレビを見ていることになりますが、これはまずいです。

こんな人がボケない
 当たり前のことですが、年齢を重ねることとボケてしまうことは同じではありません。ご高齢の方でも死の直前までかくしやくとされて、知的な生活を送られている方もたくさんいます。これらの方はボケに誘い込もうとする誘惑(脳の病気と脳のさぼり)に打ち勝った人なのです。
 老いてもなおかくしゃくとされている方の生活パターンを見ますと共通点が見えてきます。総合人間研究所の早川一光先生はぼけない人の特徴として以下の項目を挙げておられます。

(1)本を読む人、新聞を読む人。
(2)物忘れを気にしない人。
(3)書く人、語る人。
(4)人の世話をする人。
(5)感動を忘れない人。
(6)いくつになっても張りと甲斐を求める人。
 
皆さんは当てはまる項目がいくつありましたか? やはりぼけない人は頭をよく使う生活をしていることが分かります。
(1)と(3)は昔から「読み・書き・そろばん」と言われているように脳を鍛えるのに一番重要なことです。ここに「テレビを見る」は入っていないことに注意して下さい。 テレビは流れてくる映像と音を受身でとらえるだけですので、あまり脳の活性化には役立ちません。

趣味が第三の人生を助ける
 自ら本を読み、考え、書いて、人に語るという能動的な姿勢が脳を一番活性化します。また趣味は能動的な行動以外のなにものでもありません。この能動的な姿勢は当然ながら「やる気」に支えられています。 皆さんのこれまでの人生をちょっと振り返ってみて下さい。 「やる気」にあふれているときは、何をやってもうまく行くし、たくさんの事を同時にできていませんでしたか。 「やる気」がしないときは何をやってもうまく行かないし、一日中ぼーっとして困ったはずです。

やる気のホルモンTRH
 「やる気」も脳が作り出すものです。脳は「やる気」さえあればどこまでも能力を伸ばしてゆくことが出来ます。もちろんぼける暇もありません。 1969年に甲状腺を刺激するホルモンを脳から放出させる作用がある物質が発見され、「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン」という長い名前が付けられました。英語では簡単にTRHと呼ばれています。
 当時は余り注目されていませんでしたが、発見から15年経って、ある研究者がTRHをひよこの脳内に注射してみたのです。そうするとひよこは眠気が吹っ飛んで覚醒し、心臓の動悸は激しくなり、攻撃的になって勝手に走り回るという「やる気満々」の状態になったのです。つまり脳を覚醒し、活動させる(「やる気」を出す)ことがわかったのです。
 それ以降「やる気」物質としてのほうが注目されるようになりました。このTRHはわずか3個のアミノ酸からなっている非常に小さな物質です。これが入ったドリンクがあれば買って飲んでみたい“疲れたお父さん”がいらっしゃると思いますが、10年も前から注射薬として作られていて、頭部外傷や脳卒中などでリハビリの意欲が出なかったり、軽い意識障害を来していたりする患者さんには使っています。

「やる気」の脳は側坐核
 それではこのTRHを受け取る受容体が一番多いところが「やる気」の脳という事になりますが、調べてみるとそれは側坐核(そくざかく)でした。側坐核は、尾状核(びじょうかく)という部分にもたれかかるようにして垂れ下がっていて、直径が2mmで、重さが0.2グラムという小さい脳です。
 おでこと耳の間くらいにあります。側坐核は意志・創造の脳(前頭連合野)、好き嫌いの脳(扁桃核)、記憶の脳(海馬と側頭葉)、欲の脳 (視床下部)、生命維持の脳(脳幹)と密接な連絡を取っています。
 「やる気」がでてくるともっと工夫してやりたくなる(前頭連合野)、やっていることが好きになる(扁桃核)、好きなことは試験がなくてもしっかり記憶している(海馬と側頭葉)、もっと何回でもしたくなる (視床下部)、ご飯の時間になっても大丈夫(脳幹)という状態になりますが、これらはすべて側坐核がそれぞれの脳を活性化しているためです。

好きなことをやることが「やる気」の素
 それでは側坐核を働かせるにはどうすればよいのでしょうか? 「やる気」 「やる気」と呪文を唱えていても始まりません。詳しく調べてみますと、側坐核に一番影響を与えている神経が発見されました。以前より中脳という部分に大きな神経細胞の塊が三種類あることが分かっていて、それぞれA系列、B系列、C系列と呼ばれていました。
 A系列の中で10番目の神経細胞群(A10 :エーテン)が一番たくさんの神経線維を側坐核に送っていたのです。しかもこのA10神経は側坐核のみならず、先程述べた視床下部、前頭連合野、海馬などにも神経線維を伸ばしていることが分かりました。この神経線維が運んでいるものは快楽を起こす物質である「ドーパミン」なのです。すなわち好きなこと・気持ちのいいことがA10神経の働きを強くすることになります。
 まさに『好きこそものの上手なれ』なのです。好きなことから何かを始める。それを好きなだけ続ける。まずは簡単で最も効果がある方法からはじめてみませんか。

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