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<子供の頭痛の大部分は片頭痛>
(A子)私の6才になる娘が最近よく頭が痛いというのですが、私の片頭痛が遺伝したのでしょうか?
(医師)残念ながらその可能性が高いと思います。
子供の善玉頭痛のほとんどは片頭痛だからです。もちろん熱がある場合は感冒や髄膜炎を考えなくてはいけません。
<大人の片頭痛とはかなり違う>
(A子)でも詳しく聞いてもズキズキ拍動しているような感じではないし、いつも両方痛がるので私の片頭痛と少し違うような気がするのですが。
(医師)子供の片頭痛と大人の片頭痛とは大きく違っています。
まず片頭痛は女性に多いと言いましたが、10才以下の小児に限って言えば男児に多いようです。
一般に4~5才から始まるといわれていますが、それより小さい子供はうまく頭痛を訴えられないだけかもしれません。
1才未満の子供が突然泣き出すといういわゆる「疳(かん)の虫」は片頭痛の可能性があると考えられています。
(A子)このまま片頭痛がずーっと続いてゆくのでしょうか?
(医師)約2割の方が成人になるまでに消失しますが、その他の人たちは大人の片頭痛になってゆきます。
<朝方に頭痛が多い>
(A子)その他の違いは何ですか?
(医師)大人は午後から夜にかけて多いのですが、子供は朝から頭痛が出ることが多いようです。したがって登校前に頭痛を感じることが多いので、「学校をいやがって、ずるやすみをしている」と親が思いがちです。
特にお母さんが片頭痛の時には、まず子供の頭痛が片頭痛ではないかと考えることが大事です。
大人はすぐに精神的な問題点がないかどうか探そうとしますが、片頭痛の可能性が高い場合は、大人が過常に反応しないことが大切です。
<左右差と前兆がない>
(医師)また大人と違って、右とか左とかに頭痛が偏っていません。
頭痛の前兆も出ないことが多いので、突然に頭痛を訴えることになります。
また痛みはあまり拍動感がなくて、持続性の頭痛であることが多いようです。
(医師)嘔吐やめまい感が大人に比べてより強く出やすいので、頭ではなくて「おなかが痛い」と訴えることがあります。
頭痛の続く時間はせいぜい2~3時間で、午前中のうちに良くなることが多く、頭痛がなくなったらケロッとして遊んでいます。
いったん頭痛が出ると何日も繰り返すことがあることも大人と違います。
<小児片頭痛の治療>
(A子)治療はやはりスマトリプタンですか?
(医師)どの薬もある程度そうなのですが、薬を使ってよいかどうか国に申請するときには、子供のデータは集めにくいので、大人のデータだけで申請してしまいます。その結果、「小児には投与経験がないので使ってはならない」という表示がなされます。それで医師は処方してくれません。私は経験がないのですが、知り合いの医師の情報では少量であれば効果も高く、副作用もないようです。
幸いなことに一般の鎮痛薬でも効果があります。それは完全に痛みが取れることを目標にするのではなく、何とか学校に行ける程度でよいからです。
薬で落ち着いたり、もともと頭痛がそれほどひどくないときは積極的に学校に行かせてください。学校へ行くことによって精神的緊張が高まり、頭痛が消えるのが早くなります。これは大人で「気合を入れる」のと同じ理屈です。
<片頭痛以外の頭痛>
(A子)片頭痛以外で注意する必要がある病気を教えてください。
(医師)まず風邪を引いてから高熱が引かずに、頭痛を強く訴えるときは髄膜炎の可能性があります。
朝方の頭痛がかなり長期間続くときは脳腫瘍の可能性を考えなくてはいけません。脳腫瘍のお子さんでは頭痛以外に他の症状が現れていることが多いようです。私が経験した患者さんでは、「最近かけっこの時につまずくことが多くなった」「テレビを近くで見るようになった」「右手をあまり使わなくなった」などの症状がありました。
全く原因不明の場合は脳波異常が潜んでいることがあります。特に頭痛に前後してボーっとしたり同じ行動を繰り返したりすると、その可能性が高くなります。
心配なことがありましたら、悩むことなく一度脳の専門医を受診してください。
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<特効薬スマトリプタン>
(医師)片頭痛の特効薬としてはスマトリプタンという成分が入った薬があります。商品名はイミグランが有名です。
(A子)それは私にも出してくれますか?
(医師)もちろんです。片頭痛だけでなく後で述べる群発頭痛にも効果があります。これまでも片頭痛の薬(エルゴタミン)はありましたが、頭痛が起こりそうな初期に飲まなければならず、飲むタイミングがかなり難しいものでした。
スマトリプタンはセロトニンが血管に作用して収縮させる場所(セロトニン受容体)をブロックして血管の収縮を止めることで片頭痛を止めます。
副作用を防ぐためには飲んではいけない人(心臓梗塞や脳梗塞を起こしたことがある人、血圧が高い人など)がいたり、飲み方にも特徴がありますので、神経内科や脳神経外科の先生に聞いてください。
<片頭痛の予防薬>
(A子)頭痛自体を予防する薬はないのですか?
(医師)カルシウム拮抗薬、ベータアドレナリン遮断薬、抗セロトニン薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などがあります。
しかしこれらは頭痛のひどさや、頻度を四割程度しか下げることができませんし、最低1ヶ月以上は飲み続けなくては効果が得られません。
<週末頭痛の予防法>
(A子)それならやはり、ふだんの生活で頭痛を予防したほうがいいですね。私の週末頭痛はどのようにすればよいのですか?
(医師)忙しさの程度を週の中ほどに持ってきて、休みの前はなるべく忙しくしないで下さい。精神の緊張を急に強めたり、解放したりしないようにするためです。
週末に遅めの夕食をとったり、夜更けまでビデオを見たりして生活のリズムを崩さないで下さい。
このときにアルコールを飲み過ぎたり、朝寝坊をしたりしてはいけません。
(A子)ウィークデーからストレスを徐々に発散させることが大事なのですね。
(医師)そうです。またコーヒーは血管を収縮させる働きがありますので、朝いつもどおりに起きて、コーヒーを飲むのもひとつの手です。
またチョコレート、赤ワイン、チーズがお好きな方は控えてください。
<片頭痛の予防法>
(A子)夜更かしや暴飲暴食などは避けれそうですが、仕事がどうしても忙しくなったり、昼間に人ごみの中で過ごさないといけないときもありますよね。
(医師)そうですね。頭痛が起きそうな原因が重なったときは、もっと積極的な予防策をとっても良いかもしれませんね。週末などは氷枕をして寝ると効果がありますよ。
温まると血管が拡張して片頭痛が起きますから、シャワーですませることもいいでしょう。
夏は日差しが強いので、日光で片頭痛が起きる人はサングラスをかけて外出してください。どうしても人ごみの中に入らないといけない場合は、外出前にエルゴタミン製剤を飲んでおくのもひとつの方法です。
血圧を下げる薬など血管を拡げる薬を飲んで片頭痛が起こる場合は医師と相談してください。
仕事中に頭痛発作が起きそうで、薬を飲むことができないときには「気合をいれる」と交感神経系が緊張して血管が収縮するので、効果が期待できます。
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<週末に起こる片頭痛>
(A子)今月は毎週日曜日の朝に頭痛がして、せっかくの休日がだいなしになるので、日頃の行いが悪いからと夫に冗談を言われるのですが。。。
(医師)A子さんの場合は「週末頭痛」と言って、仕事や家事が忙しくてストレスがたまっている状態で、週末になってやれやれと急に緊張状態からリラックスの状態になったときに、血管が拡張して頭痛が起こりやすくなるのです。
<女性ホルモンと片頭痛>
(A子)生理の前にも頭痛がすることがあるんですが、これも片頭痛でしょうか?
(医師)女性ホルモンのエストロゲンは血管の緊張を調節する働きがあります。
生理の前後はエストロゲンが急激に変化し、血管の緊張の程度が変わるために片頭痛がおきやすくなります。
妊娠中はエストロゲンが高値のまま安定するために、頭痛が軽くなります。
(A子)そういえば、最初の子供を妊娠したときに頭痛がしなくなって不思議に思っていました。
(医師)昔のようにたくさんの子供を産んだお母さんは、経験的にこのことを知っていて、頭痛が軽くなって妊娠が分かる人もいたようです。
<チョコレートと頭痛>
(A子)他に頭痛を誘発するものはありますか?
(医師)片頭痛の人はお酒をお好きでない方が多いのですが、それはアルコールが血管を拡げる作用があるために、経験的に頭痛がひどくなることをご存じなんでしょうね。
チョコレート、赤ワインそしてチーズに入っているチラミンやフェニルアラニンが血管を拡げます。
ビタミンEも血管を拡げるので、これを含む健康食品には注意をする必要があります。
<人と音と光>
(医師)人ごみの中に入ったり、騒音を聞いたり、まぶしい光を見ても頭痛が起こることがあります。
<片頭痛の応急処置>
(A子)頭が痛いときは、薬を飲んで頭を冷やして寝ているだけなのですが、なるべく早く直すにはどうしたらよろしいでしょうか?
(医師)A子さんのしていることは正しいです。
まず発作が軽いうちに市販の頭痛薬を飲んでください。そうすると血管周囲の炎症が少し抑えられて、片頭痛の発作が軽くなります。
あとは暗い静かな部屋で横になり、こめかみや目のまわりを冷やしてください。そうしながら一寝入りすると発作が治まっています。
<市販薬との付き合い方>
(A子)最近市販の薬があまり効果がなくなってきて困っているのですが。。。
(医師)現在100種類を超える痛み止めが販売されていますが、その化学成分はアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェンの3種類です。
大部分の市販薬はそれらの合剤で、配合の程度が商品によって異なっているだけです。
効能書きを無視して大量に飲む人がいるので、量を低めに設定しています。ですから、痛みを抑えられても、完全にゼロにすることはできません。
薬を飲んで2時間安静にしていても痛みが治まらない場合は、効果がないものと思ってください。
あと1~2種類は試してみる価値がありますが、それでもだめな場合は専門医の診察を受けたほうが良いでしょう。それは片頭痛の特効薬があるからです。
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<セロトニンが引き金>
(A子)どうして頭痛の前に目の症状が出るのですか?
(医師)片頭痛は頭の血管の拡張により、血管の周りの神経が刺激されて起こる頭痛ですが、実は血管の拡張の前に血管が収縮するのです。これが目の症状の原因です。
まず最初に何らかの原因で血小板からセロトニンという物質が出てきます。蜂に刺されると転げまわるほどの痛みがありますが、これは同じセロトニンが起こす痛みです。
このセロトニンが血管を収縮させます。収縮する血管が視覚に関係する脳を栄養するところですと、先ほどの目の症状になります。
手足を動かす脳を栄養する血管に起こると手足の動きが悪くなります(片麻痺型片頭痛)。
眼球を動かすところの血管ですと、ものが二重に見えます(眼筋麻痺型片頭痛)。
体のバランスをとるところの血管ではめまいやふらつきが起きます(脳底型片頭痛)。
<いろいろな前兆>
(A子)私の母親はまず首筋や肩が張ってきて、しばらくして頭痛がしますが、そのようなものも前兆といえるのですか?
(医師)その通りです。筋肉が硬く収縮して起こる肩こりからの頭痛は、マッサージをすると軽くなるのですが、片頭痛の前兆として起こるものはマッサージをすると返って悪くなりますので、ご注意ください。
そのほかに生あくびが出る。なんとなく頭痛が起きそうな気がする。やる気がなくなる。眠気がする。耳が詰まったような感じがする。便が柔らかくなったり、下痢をしたりする。おなかが少し痛くなる。などがあります。
人によってそのパターンが違いますが、何回も経験すると「これは必ず頭痛がくるぞ」と細木数子よりも確実に予言が当たるようになります。
<セロトニンがいなくなると血管が拡がる>
(A子)血管が縮んで症状が起こることは分かりましたが、それがなぜ頭痛になるのですか?
(医師)血管を収縮させたセロトニンは、血管の周りの神経を過敏にして、軽い頭痛が起き始めます。そしてセロトニンの影響により血管の周りの神経からP物質というものが放出され、神経を敏感にし、炎症を引き起こします。
このような間にも血液は流れていますので、セロトニンがどんどん洗い流されて、濃度が薄くなります。そうなると血管を縮めていたものがなくなるので、血管が拡がりますが、このとき反動が起きて、元の幅よりも拡がって拍動します。
この拍動を過敏になった周囲の神経が感知して、ズキズキと脈打つような頭痛となるのです。
(A子)私の友達にも似たような頭痛の人がいるのですが、女性に多いのでしょうか?
(医師)片頭痛は男性で20人に1人、女性で10人に1人と、女性の患者さんが2倍多くなっています。特に40才代では女性は男性の4倍にもなります。
女性では20~50才の妙齢の女性に多い病気です。片頭痛は頭痛の原因の2~3割りを占めています。
(A子)一生この頭痛と付き合っていかないといけないと思うと、落ち込んでしまいますね。
(医師)落ち込むことはありませんよ。更年期を過ぎると頭痛が起きなくなるか、おきてもその程度が軽くなります。
「片頭痛としわは反比例する」と昔から言われています。歳をとると血管が動脈硬化で硬くなりますので、反動で膨らもうとしても血管が膨らまなくなるためと考えられています。これは喜んでよいのか、悲しんでよいのか分かりませんね。
(医師)世界的な統計では70才を過ぎても片頭痛がまだ出る人は脳梗塞を起こす頻度が低い事が分かっています。
片頭痛が起きるというのは血管がまだ若いですよという証拠なのですね。
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<両側でも「片」頭痛>
(医師)A子さん、どうぞお入りください。今日はどうされましたか?
(A子)日曜日の午前中に右のコメカミがズキズキ痛くなり、気分が悪くなって吐いてしまいました。買ってあった頭痛薬を飲んでも全く効きませんでした。頭に悪いものができていないかどうか心配で、調べていただきたくて受診しました。
(医師)ズキズキ痛んだのは脈拍のように脈打つ感じでしたか?
(A子)そうです。こんな頭痛が月に1~2回起きていました。最近では週に1回くらい頭痛がありました。
(医師)あなたの頭痛はおそらく片頭痛(へんずつう)と思います。
(A子)私の場合は両方の頭が痛む時もあるのですが、それでも『片』頭痛なのですか?
(医師)「家庭の医学」などでは、「偏」頭痛と書いてあります。いずれの字も頭痛がどちらかに偏っていることが多いということから名前がつけられています。
これは偏るという傾向があるというだけですので、両側に痛みが起こっても良いのです。今では「片」の字を使うことに統一されています。
<片頭痛は遺伝します>
(A子)私の母親も同じような頭痛が若いときからあったと言っていますが、これは遺伝するのですか?
(医師)片頭痛は確かに遺伝性の病気です。しかし原因の遺伝子はまだはっきりしていませんし、多くの遺伝子が関与しているようです「遺伝性の病気」と言っても「体質が似る」とうい程度のことですので、ご心配されないで下さい。遺伝子の異常によって起こるほかの病気で片頭痛を伴うものがいくつかあり、この観点からの研究が進んでいます。
母親が片頭痛の場合約70%、父親が片頭痛の場合約30%の確率で、子供が片頭痛を発症するとの統計があります。両親が片頭痛の場合はなんと約90%の確率です。
<片頭痛の前兆>
(医師)頭痛がする前になにか前触れのような症状がありますか?
(A子)目の前にチカチカした光が現れて、これがだんだん大きくなって、見えにくくなります。
(医師)それは閃輝暗点(せんきあんてん)というもので、片頭痛の前兆としては非常に特徴的です。約2割の患者さんに見られますが、10~20才代までで中年以降はあまり出なくなります。
(A子)そのような状態が30分くらい続くものですから、このまま目が見えなくなるのではないかと心配なのですが。
(医師)この前兆があるからと言って失明することはありませんから、ご安心ください。
しかし運転中にこの発作が起こったときは、危険ですので、すぐに停車してください。
人によっては指が電信柱のように伸びたり、人がろくろ首のように見えたりすることがあります(錯覚発作)。
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