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皆様、大変にお久しぶりです。種々の事情で長らく休載していましたが、半年振りに復活します。
その間、飛行機頭痛のコラムにたくさんの方から体験コメントをいただきましてありがとうございました。私も大変に参考になることが多く、皆さんからいただいたコメントを参考にすると飛行機頭痛の頻度が少なくなったような感じがします。
本年4月、アメリカ癌学会に参加してまいりました。その際のトピックなどからいくつかお知らせします。
まず第一弾はentosisです。これは癌細胞が隣の癌細胞を食べてしまう現象です。アポトーシスという細胞死の最後は、細胞が死んだ後小さい塊に分かれます。それが隣の細胞の食べられる現象は良く知られていました。entosisはそれと違って、なんと【生きたまま】食べるのです。食べられたほうはそのまま生きていて、なんと細胞分裂までして自分を複製することまでやってのけます。時間がたてばやがて取り込んだ細胞の体内で消化されます。 しかし体内に溜め込んだ染色体の量は2倍、3倍となりますから、ますます癌は悪性になりそうです。
癌組織というジャングルの中では、生きるか死ぬかの厳しい生存競争が起こっています。それを勝ち超えてきたものが弱いわけはありません。まだまだ癌から学ぶことがたくさんあります。
たばすこ様から詳しい体験を寄せていただきました。ご本人の了解を得てブログ内で掲載させていただきます。
たばすこ様、掲載が遅くなって申し訳ありませんでした。
<以下たばすこ様の体験です。そのまま掲載させていただきます>
私は27歳、男性、学生です。
学校は北海道ですが、実家は栃木県と離れているため、里帰りには毎回札幌の新千歳空港から福島空港まで、飛行機を使っています。
私の場合、頭痛は無く、眼窩の周囲、特に眼球の上や眼窩下神経(特に眼窩下孔の辺り)が痛くなります。神経が膨張して破裂してしまうのではないかとすら思ってしまいます。
実は本日、8月22日も飛行機に乗り、福島空港から北海道へと帰ってきたところです。
今回症状は出ませんでした。
本日は飛行機搭乗前にビールを飲み、食事もお腹一杯頂きまして、機内でもコンソメスープを飲みました。
搭乗率30%くらいで、私は後ろから2番目の席でリラックスして帰ってきました。
着陸前はトイレに行き、席に戻ってからは首の体操などをして様子をみていました。
水分が多い程症状が出易いと思っていたのですが、まだお腹に水分が残っている感じがあったので、
それも疑わしくなってしまいました。
ただ、トイレに行ったことでリラックスはしましたし、そのとき出そうな分は出したので、
トイレに行くことはやはり予防になるのではないかと考えています。
また、症状は「北海道→実家」のときに多く、「実家→北海道」のときは少ないような気がします。
「北海道→実家」のときは、実家に戻る緊張感のようなものがあり、若干神経質になっています。
時間は17:45札幌出発→19:00福島空港着です。
一方、「実家→北海道」のときは、一人暮らしの家に帰るので気が楽で、時間は19:30福島出発→20:50札幌着です。
栄養のバランスでいえば、「北海道→実家」のときはあまりよくないかもしれません。
「実家→北海道」のときはばっちりです。
機内ではどちらの場合も大体勉強するか新聞を読むか、そのどちらかをして過ごしています。
最近症状が出たのは、今年2007年の8月6日に「北海道→実家」のときで、機内は満員、
翼近くの席で3人がけの通路側に乗り、新聞を読みながらも少し窮屈さを感じていました。
着陸前はトイレに行かず、症状が出てから脚の曲げ伸ばしや伸びなどを行いました。
症状は少し和らいだと思いましたが、実はその日の夜まで右の眼窩下神経は痛んでましたし、
翌日も違和感が残っていました。
もしかするとマッサージと思いながら眼窩下孔を押し過ぎたのかもしれませんが、
痛みがこれ程長引いたのは今回が初めてです。
ネットでこれらの症状を検索しようと思ったのも、この8月6日の症状が酷かったせいです。
症状と水分との関係や、脚の曲げ伸ばしなどはロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)の
予防策からヒントを得てやってみました。
激痛ですが圧痛はないので、眼窩周囲も闇雲にマッサージしてみています。
しかし、やはり効くのはトイレとストレッチな気がします。
初めて症状が出たのは21歳のとき、イタリアのローマからフィンランドのヘルシンキへ行く飛行機の中で、
そのときも満員の飛行機の通路側に座っていました。
フィンランドに姉が住んでおり、やっと一人旅から解放されると思い、比較的リラックスして眠っていました。
とはいえ、自覚が無いだけで緊張感は「北海道→実家」の比ではなかったと思います。
眠っていたら突然眼球周囲に激痛がきて、そのときは頭痛も少しあり、眼に涙がたまっていきました。
何が起きたかよくわからず、機内が乾燥しているのかとも思いましたが、とにかくわからず耐えていました。
余談ですが、母に相談したところ、それは眼圧上昇で、確か鼻の頭が赤いのも標準体重がオーバーしているとなるんだとか、
ラジオで福島県郡山市にある漢方薬局の人が言ってたよ、などと言っていたので、
インターネットでその薬局を検索したりして調べたのですが、結局よくわかりませんでした。
wakuwakusky様から下記のような飛行機頭痛の体験を寄せていただきました。ご本人の許可を得てブログ内で紹介させていただきます。
年齢・性別:40代、男性
発生時:着陸時・高度を下げ始めたとき
空港:羽田空港
頭痛の場所:右眉尻からコメカミにかけてと右目の奥
頭痛の性質:皮膚が破裂しそうなずきずき感。血管が破裂するような感じ。右目奥は鈍痛。
頭痛以外の症状:鼻づまりあり。着陸後鼻をかむと血の塊が出てきた。
経過:CAに頼んでバファリンを飲み、20分位し着陸してから回復。帰宅後も眉尻からこめかみの間に痛みの余韻が残った。
既往:7~8年前に2回ほど、同様の症状があり、いずれも羽田空港。鼻に関する疾患の既往はない。
誘因と思われること:仕事が多忙で、睡眠不足と軽い疲れを感じているとき。搭乗前にビールを飲んだこと。
その他:コーヒーは好きであるが、機内ではコーラを飲んだ。タバコは15年前に禁煙している。
<コメント>これまでの論文では鼻の奥の粘膜の腫れた感じがあった症例が1例報告されています。着陸後鼻をかむと血の塊が出てきたという事実はこの頭痛のメカニズムを推測する上で大変に参考になります。
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以前このブログで『飛行機頭痛』について書きましたところ、数人の方からコメントをいただきました。私自身も最近始めて経験し、ひょっとして頭痛の原因がわからず、不安なまま飛行機に乗っている方が多いのではないかと思い、最近の論文などを読んで詳しく病気について書いておこうと思います。
飛行機頭痛は英語ではairplane headacheといいますが、これで医学文献を検索したところ主要な論文は3編しかありませんでした。それらをまとめても現在までに論文で報告されている症例数は10例以下です。しかしそれは病気になる頻度が低いというより、後述しますようにすぐによくなるために病院を受診しない人が大半であるからだと思います。
MainardiらはJournal of Headache Pain (2007)の中で、飛行機頭痛の特徴を8点にわたって記述しています。
①これまで報告された症例はすべて男性である。(しかしこれは症例が少ないために男性の病気だとは断定できません。実際、キャビンアテンダントの方が同様な頭痛を経験され、私のブログにコメントを送ってくださっています。ビジネスマンなど飛行機を利用する頻度が男性のほうが圧倒的に多いからかもしれません。)
②痛みの起こる部位は片方に偏っている。(なぜかこれまで報告されている部位は圧倒的に右が多いのですが、これも症例数が少ないため、断定的なことはいえません。しかし再発するときのいつも同じ側の同じ場所であることがほとんどです。)
③痛みの起こる部位は目の周り(眼の奥、眉毛のあたりなど)が大部分である。
④痛みの持続時間は20分以内であり、突然スーッと良くなる。
⑤頭痛以外の症状は伴わないことが多いが、鼻が詰まった感じや同じ側から涙がでるなどの症状が報告されている。
⑥発症年齢は平均31歳で、20歳~40歳である。
⑦痛みは大部分が着陸時に起こる。(頻度は少ないですが離陸時にも起きます。)
⑧必ずしも頭痛持ちの方に起こるとは限らない。
原因は正確にはわかりませんが、一番考えやすいのは副鼻腔の問題です。副鼻腔の中でも頭痛が起こる場所から考えて目の奥にある篩骨洞が関与していると考えて間違いないと思います。着陸および離陸時に大気圧が変化しますが、そのときに篩骨洞の中の圧力がうまく開放されないと、篩骨洞内の圧と大気圧との間に格差を生じてこれが篩骨洞の粘膜を刺激し、そこに分布している三叉神経を痛めて神経痛のような激しい頭痛が起こるというメカニズムが最も考えやすいです。篩骨洞に一番関係している三叉神経の枝は上眼窩神経ですが、この神経が分布している領域はまさに頭痛の起きる場所と一致しています。
なぜいつも同じ側なのかということについては篩骨洞の構造に右と左で個人差があることによると思われます。
またなぜ飛行機に乗るたびに毎回起こらないのかということについては、その時々で篩骨洞の粘膜の状態や圧力の変化のスピードが異なっているためではないかと想像されます。
また私が一番興味を持ったのはほとんどすべての症例は海岸沿いに位置する空港に着陸するときに頭痛が起きており、内陸の都市に着陸するときには起きていないことです。下が海と大陸とでは圧力のバランスが異なっているのではないかと素人の私には想像するしかありませんが、事実としてそのようなことがあります。
飛行機頭痛は痛みはひどいのですが、最大20分我慢すれば自然にうそのようにスーッと痛みが消えてゆきます。痛んでいるときには重大な病気があるのではと心配し、病院にいってみようと思います。しかしのどもと過ぎればなんとかで荷物を受け取ったりしているといつの間にか忘れてしまいます。
飛行機に乗る回数が少ない人は忘れてしまっていいのですが、ビジネスで飛行機に乗るチャンスが多い人には予防策が必要です。飛行機頭痛の対処法として着陸あるいは離陸の30分前に鎮痛剤を服用してくださいと以前のブログに書きましたが、闇雲に飲んでいると鎮痛剤によって体が悪くなりそうです。そこで私なりの対処法を下記のように提案いたします。
①海岸沿いの都市に着陸する場合は予防的に薬を飲んでおく。内陸の都市に着陸するときには服薬しないで様子を見る。
②風邪を引いているとき、アレルギー性鼻炎がひどいときなどは副鼻腔全体の粘膜もはれていますので、心配なときには予防的に服薬しておく。
③これまで報告されている症例はヘビースモーカーが多いことが指摘されています。脳の健康のためにもこの際、禁煙する。
以上です。
しかし飛行機頭痛の本体は報告されている症例が少ないため、研究が進んでいません。そこで『頭の知恵袋』をご愛読いただいている皆さんから体験談を募りたいと思います。ブログのコメントとしていただければ、それを症例報告としてブログで取り上げさせていただきます。カテゴリーに『飛行機頭痛』を加えさせていただきましたので探しやすくなると思います。
これからの時代、飛行機に乗るチャンスはどんどん増えてゆきます。皆さんのお力をお借りして、何とかこの病気のより効果的な対処法を見つけ、安心して飛行機に乗れるようにしたいものです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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わき目もふらずに働いてきて「さあこれから」という時に、くも膜下出血で倒れる大黒柱のご主人。全精力を育児に費やし、やっと手を離れて「やれやれ」という時に体調を崩す一家の太陽、お母さん。こういう話を聞きますと、 「やっぱり厄年だからね」という同情の声がよく聞かれます。
女性の厄年は19才と33才、男性の厄年は42才と、昔からいわれていることは皆さん良くご存じのことと思います。しかし、19才のピチビチの女子大生に向かって「かわいそうに厄年なんですね」と言うとほっぺたを叩かれます。 42才の男性といえばまさに職場の中核で、いちばん脂がのりきった年代ですよね。少し実感と厄年の間にずれがあるように思うのは私だけでしょうか?
実はこの厄年は現代の私たちには当てはまらないんです。織田信長の時代は『人生五十年、下天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり』。と舞をまったように平均寿命が50年程度でした。
現在の男性の平均寿命は男性で約79歳、女性で約86歳ですので、戦国時代からすると約1.5倍寿命が伸びていることになります。従って厄年を現代の我々にあてはめようとすると、19才は29才、33才は50才、42才は63才と5割増しで考えないといけないことになります。
女性の29才は子育てで戦争です。女性の50才。更年期の真っ最中です。一番体調を壊しやすい時期です。
男性の63才はどうでしょうか?63才といえば定年退職の年齢になります。
50歳前後の女性といえば、閉経に前後して女性ホルモンの分泌が少なくなるために体の更年期障害が起きます。更年期障害といえば女性の特権のように考えられてきましたが、男性も50才頃から男性ホルモンが減少して徐々に若いころの体力を失い、さらに定年退職を迎える年令になると、心の更年期障害も加わってきます。
以上から考えますと、更年期障害こそが現代の厄年そのものとも言えるのです。
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高度の高いところに行くと酸素が薄いため、脳が酸素をたくさん確保しようと脳の血管が拡張しますので、片頭痛が起きます。満員電車で長時間人ごみにもまれたり、パチンコを長時間したときなどに頭痛がするのは、この酸素不足が関係しています。
また酸素を運搬するのは赤血球ですので、強い貧血があると頭痛が起きてきます。中年のご婦人が最近頭痛がひどくなったので検査を受けたら、子宮筋腫による貧血がみつかったということがあります。
群発頭痛がひどいときに純酸素を吸うと改善する場合があります。しかし20分以上吸い続けないと効果がないことが多く、大量の酸素が必要です。スポーツ店で売っている程度の酸素では足りませんので、これもやはり病院を受診するほうがよいでしょう。
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<質問>
最近子どもが起こした信じられないような事件が相次いでいます。わが子がそうなったらどうしようかと思ったら夜も寝られず「あたまがいたいです」。また今の成績だと先が思いやられます。どうすればわが子を頭がよくて優しくて強い子どもに育てることが出来るでしょうか?ちょっと欲張りですが。。
<回答>
自分の学生時代の成績を考えたら、子どもの今の成績もしかたないかとあきらめる必要はありません。知能は遺伝よりも育ち方で育まれます。知能指数の成績が世代ごとに約5程度上昇している現象のことをフリン現象といいますが、これは知能指数が純粋に遺伝的なものではなく、文化的な学習からも大きな影響を受けていることを示すものです。
学校の成績を必ず上げる方法というのがあれば、私のほうが知りたいくらいですが、子どもを勉強が好きな子にする方法はあります。それは国語の力をつけさせることです。
私たち人間はお母さんのお腹の中にいるときには『子宮の海』で、生まれてからは『言葉の海』の中で育ってきました。私たちは物事の記憶や判断そして想像力も含めてすべて言葉を使って知的な活動をしています。その意味では国語はすべての学問の基礎であり、人生の基礎であると言ってもいいと思います。
国語力をつけるためには「読書好き」になればいいです。「読書好き」になるためには「言葉好き」になればよいのです。ヒトの脳はヒトの声に最も反応するように出来ています。決してテレビやビデオから流れてくる声ではありません。テレビに子守をさせてはいけません。
「言葉好き」にするために一番大事なのは、言葉でわくわくするような体験をさせることです。それは絵本の読み聞かせです。お母さんの口から出てくる情緒豊かな語りと想像力を書き立てる絵とがあいまって、きっと子どもは知らない世界を垣間見せてくれる言葉の魔力に取り付かれるでしょう。
さて学校に通い始めたら絶対に守ってもらいたいことがあります。それは『早寝・早起き・朝ごはん』です。脳はブドウ糖が唯一のエネルギー源です。血液中にブドウ糖が少なくなると、脳はうまく働いてくれません。寝ている間は食事をしていませんので、朝起きたときは血糖値が下がっていて、脳にとっては苦しい状態です。もし朝ごはんを食べないで学校に行けば、いくら先生からありがたい授業を受けても全く頭に入りません。朝ごはんは脳の最高のご褒美です。
脳の活動は起床後2時間経った辺りがピークになります。したがって授業開始時間の少なくとも2時間前に起きたほうが勉強のためには理想的です。早起きをするためには当たり前ですが早寝をすることです。早寝をするためにはとにかく早起きを始めることです。といいますのは体内時計は目が覚めたときにその14~15時間後に眠りに入るように準備をするからです。
食事の内容は「頭に悪い薬、頭に良い薬」のところで述べましたように、『マゴワヤサシイ』を基本にしてください。
現代は知識があるだけではあまり社会では認められません。それは知識はインターネットを検索すれば何処までも詳しい情報が得られるからです。現代で求められている能力はコンピュータに出来ない創造力です。
同じ研究所の同僚である茂木健一郎博士は「知っているんだけれど思い出せない状態」すなわち『ど忘れ』を大事にして欲しいと話しています。「ど忘れ」を思い出そうと努力しているフィーリングとなにか新しいことを頭から生み出してゆこうと努力しているフィーリングとは同じであると説明しています。「わからないからもういいや」ではなく「もうちょっと考えてみよう」というわずかな差が、創造力を育む上で大きな差となってきます。
また大人も子どもの脳の成長をじっと待ってやる忍耐が必要です。能力の向上はちょうど石畳の階段のように、一見成長していないように見える時期があります。しかしこの時期に脳は配線を組みなおしているのです。配線が出来上がれば、すっと能力が向上します。
優しい子どもに育てるには自分に自信をもたせることです。自分に余裕があれば、他人にやさしくできます。『しかるは初心者、ほめるは有段者』という言葉がありますが、自信を持たせるためには叱るのではなくて、ほめて育てることが重要です。自信はすべての物事に対して持つ必要はありません。またそんなことはスーパーマンでないと出来ません。まず『一芸に秀でる』ことです。それが自信となって、他のことも積極的に挑戦しようと言う気力が出てきます。
一寸先は闇の世界です。「頭がよい」とはそのような不確実な世の中で「自分で問題の解決法を見つけて行動できる能力」のことを言います。簡単に言えば「自分で考えて行動する」ことです。未知の領域に踏み込むのは誰も不安です。しかしその不安を引き受けてくれる心の安全地帯があれば、未知の海に漕ぎ出すことが出来ます。考えるということはいわば人間の本能ですので、本当は誰でも得意なはずです。問題は考えることを厭わない勇気です。
第1次世界大戦後に有名な実験が行われました。戦争でたくさんの孤児が収容されました。愛情に飢えている孤児と愛情豊かに育てられた子どもの目の前に、いつも使っているおもちゃの笛と、見たことがないサキソフォンが置かれました。子どもたちはどちらに興味を示すかを見たものです。結果は孤児はいつも使っているおもちゃに、愛情豊かに育てられた子どもはサキソフォンに興味を示しました。このことからボルビーはヒトは心に安全地帯がないと新しいことに挑戦できないと主張しました。結局頭のよい子を育てるためには一見遠回りのように見えますが、たっぷりと愛情を注ぐことです。子育てに重要なのはテクニックではなくて愛情です。
自分の愛情は本当に伝わっているのか不安なお母さんも多いと思います。数年前に大変に評判の良かったCMが流されました。それは公共広告機構の「抱きしめる、という会話」というものです。自分の子どもなのに愛し方が分からない。まず、子どもを抱きしめてあげてください。と訴えるCMは多くの共感を得ました。
脳と皮膚は同じ細胞から生まれた双子です。脳は皮膚を通して外界を理解しています。他人に実態のない「思い」を伝えることが難しいことであることは恋をしたことがある方なら分かると思います。スキンシップで愛情を伝えると言うのは最も基本的な幼児教育です。
最近の子どもが起こした事件を見ると、ささいなことでキレて大変なことをしてしまうことが多いようです。子どもはなぜキレるのか、その理由は昔行っていたロボトミーという手術後の患者さんから推測できます。ロボトミーとは物事を考える脳である前頭葉を病気の治療のために切除するものです。患者さんは術後、次のような症状が出てきます。現在と自己のみに関心が限られる。すぐヘラヘラする。社会性がない。批判を受け入れない。無遠慮で分別がない。感情反応は突発的で表面的。などなどです。これはまさにキレる子どもと一緒です。
私たちの脳は生きている脳(脳幹)、たくましく生きる脳(大脳辺縁系)そしてうまく・よく生きる脳(大脳皮質)の三つからなっています。本能むき出しの大脳辺縁系を大脳皮質がコントロールしながら、具体的行動を取っています。この具体的行動は大脳辺縁系と大脳皮質が連携をとりながら作られてゆきます。その時に重要なのは本物の体験をすることです。具体的な行動のプログラムは具体的な情報を元にしないと正しいものにならないからです。
しかし現代の情報は、テレビから与えられるものが多く、それらは本物ではなくて仮想(バーチャル)です。バーチャルな世界はいわばゲームのようなもので、相手の実態がつかめませんので、痛みなどは実感できません。そのような中で育ってしまうと、自分の本能に突き動かされて相手のことを考えずに突拍子もないことをしてしまうことになりかねません。
これを防ぐためには子どもに本物を見せることです。触れさせることです。本物の感覚をもとに出来上がった脳はどんな状況でも頑健な行動が出来るように出来上がります。
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のど仏の下にある甲状腺からは甲状腺ホルモンという体のすべての細胞の代謝に関係するホルモンを出しています。このホルモンの産生が少なくなると甲状腺機能低下症になります。体がだるい、寒さに弱い、朝が起きられない。ぼけたような行動をとるなどの症状があります。頭痛もよく見られます。
甲状腺ホルモンは脂肪の代謝にも関係しますので、このホルモンが低下するとコレステロールの代謝が悪くなり、血清コレステロール値が高くなります。肥満でもないのに、コレステロール値だけが高い場合には疑ってください。甲状腺ホルモンを補うことで症状は軽快します。
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<質問>
私の母は頭痛持ちでよく寝込んでいます。ただいまのところ『ヤバイ』頭痛ではなさそうなので、いいのですが、いざというときには救急車を呼ばないといけないと思います。初めてのことなので、うまく呼べるかどうか心配です。
<回答>
自宅で急病人発生! !気を落ち着かせてまずは119番を回します。そこまではいいのですが、そこから先があわててしまって失敗する人が多いようです。救急隊員に話を伺うと「皆さん救急車を呼ぶのが下手です。 『ハイ、 119番です』と言って電話に出ても、 『なんでもいいから早く来て、ガシャン』これじゃ逆探知もできません。」とのことです。
ご存じのように119番でもう一つの車も呼べますね。そう消防車です。苦しんでいる人の鼻先に水をかけられては大変ですから、119番を回して、先ず一言「救急です」と言って下さい。そうすると目の前にあるボードの救急のボタンがすぐに押されます。
それから皆さんは、自分の家くらい世界中で有名なところはないと思っているでしょう。それはそうですね。夜中に酔っぱらっていてもきちんと帰ることが出来るんですから。
しかし自分の家が有名なのは自分だけです。救急隊員は全然知りません。ですから住所だけじゃなくてもっと具体的に、例えば「国道○○号線の○○交差点のセブンイレブンを左に入って、最初の交差点を右に折れて3軒目の右側の家です。」くらいに説明して下さい。 最近はGSPというカーナビで使われている方法である程度の位置は分かりますが、火事と違って目立ちません。
わかりにくいところでは、待ち合わせ場所を目立つところにして、そこで救急車とドッキングして自宅まで案内するのも良いと思います。 その次は名前、年令、性別、発作を起こしたときの様子などを言ってもらえば百点満点です。
一度救急車を呼ぶ練習をしておくと、いざというときにあわなくて済みます。といっても実際に119番に掛けると叱られますので、 117番に掛けてください。相手方は『只今より午後7時11分30秒をお知らせします。』ですから、それに向かって一方的に話をします。これらが 30秒で言えたら合格です。
さて今、救急車が練習した通りに呼べたとしますね。じゃ「もう安心。正しく救急車を呼んだから、もうしばらくの辛抱ね」で手をこまねいて見ていていいのでしょうか?実はここに非常に恐ろしい話があるのです。これに比べれは四谷怪談なんか笑い話に聞こえます。
救急車が患者さんをすぐに病院に連んでも救命できなかった場合の原因の8割は呼吸停止です。呼吸が停止してから再開するまでの時間と、命が助かる確率をグラフにしたドリンカーの曲線というのがあります。横軸に呼吸が停止してから再開するまでの時間を、縦軸に命が助かる確率を示したものです。
呼吸が止まってから3分後に再開すると、 75%の人の命が救えます。 1分延びて4分になると、 4人に2人しか助けられないんですね。 5分になると25%ですから、 4人中3人は死んでしまうんです。九死に一生を得るという言葉がありますが、9人死んで1人しか助からない。これは7分です。 8分経ったら全員死亡です。
恐い話はここからですが、皆さんは119番に掛けるとすぐにでも救急車が来てくれると思っていませんか。救急車が到着するまでの平均時間は、実は8分なんです。ということは救急車を呼んでも、皆さんが何もしなければ、ほとんどの方は死んでしまうということです。呼吸が止まっている患者の命を救うのは救急車ではなくて、救急車が来るまでの8分間の皆さんの行動であることを肝に銘じておいてください。
それでは次はどうすれば息をさせることが出来るかを考えてみましよう。帰宅してなにか変な臭いがする場合はどうしますか? 「何の臭いだろう。どこから臭って来るんだろう」と鼻を突き出すようにしませんか?実はこの姿勢をとると、鼻と喉と胸が一直線になって空気がスムーズに通るようになっています。胸が痛い、お腹が痛い、息が出来ないなど苦しいときに「あー苦しい」といって胸を張る人はいません。 みんなエビのように丸くなります。それはのどを締めて呼吸が出来にくい姿勢なんです。顎を上げて空気が通りやすくしてやることが大切です。
その次は息を吹きかけてやります。あたり前ですが息は耳たぶではなくて口の中に吹きかけて下さい。いわゆる口移しです。 しかしそのまま何も考えずに息を入れてると、歯槽膿漏の臭い息だけが入って、かえって苦しんでしまうかもしれません。吐く息というのば肝心の酸素が少ないんですね。その人の分まで息を吸ってやらないといけません。思いっきり相手の分まで深呼吸をして、ふ一っと息を吹き込んで下さい。
①顎を上げて、 ②深呼吸をして、 ③思いっきり口移し。これが呼吸をしていない人を救う最良の方法です。
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