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    (30)


 

 三階特別病棟は、構造自体が、他のフロアとちがいます。

 このフロア部分だけは、一流ホテルのように、大理石の廊下に、毛足の長い、ふかふかの絨毯がかれています。

 特別病棟には、いま、フソン以外の患者は入院していません。

 要するに、ここは、フソンの貸しきり状態ということです。

 フソン側からは、看護婦も部屋にはあまり来ないでいいといわれています。

 むしろ、訪室すると、迷惑そうな顔をされるので、訪室は一日一回と決まっていました。

 ナースステーションも、二階のナースステーションから来いということです。

 よほど、他人に踏み込まれるとバツの悪いことをしているようです。

 そういうわけで、今、特別病棟にいるのは、フソンたちをのぞけば、この二人だけ。

 少々荒っぽいことをしても、よさそうね、とさとみさんは、思いました。

 それならば、と、さとみさんは、ポケットから、コルトをすっと抜いて、香奈ちゃんに突きつけました。

「じゃまをするのなら、ここで、あなたの人生、終わりにしてあげてもいいのよ」

 コルトを喉元に突きつけられて、さすがに、香奈ちゃんも顔が青ざめました。

 到底、おもちゃにはみえません。

「グラニヤのフソン大統領の病室はどこ?案内して頂戴」

「撃てるものなら、撃ってみなさい。患者さんの病室は教えられないわ」

 香奈ちゃんは、毅然と言い放ちました。

「虚勢を張るのはやめたほうがいいわ。私は本気、銃は本物、本当にあなたは死ぬのよ」

「死んでも、あなたには教えない!」

「ちっ」

 さとみさんは、舌打ちをして、香奈ちゃんのみぞおちあたりに、こぶしをたたきこみました。

「あうっ」

 強烈な一撃をくらって倒れる香奈ちゃん。

 気を失った香奈ちゃんをほおって、さとみさんは、三階の特別病室のドアブザーを、一つ、一つ、鳴らしていきました。

 どの部屋も応答しません。

 しかし、さとみさんは、万能鍵をつかって、ドアを開錠して、誰もいないのを確かめて、隣の病室のドアへと、順番に部屋改めを続けました。

 そして、最後の部屋の前に立ちました。

 ブザーを押しましたが、やっぱり応答がありません。

 これまで覗いた部屋は、使用した気配がありませんでした。

 フソンがいるとしたら……、この部屋しかありません。

 慎重にドアのレバーを引きます。

 ここまでの部屋はすべて、病室の内側から鍵がかかっていましたが、レバーを引いて、動かしてみると、このドアには鍵がかかっていません。

 さとみさんは、コルトをいつでも撃てるように準備して、一気にドアを開けて、室内に転がり込みました。

 ふそん、くたばれ!とばかりに、銃をかまえました!

 かまえたのです……が!

「こっ、これは……」

 どうしたことでしょう。

 部屋はもぬけの殻でした。

 フソンのものらしい病衣が脱ぎ捨てられています。

「……フソンたちは、逃げたの?」

 思わず、独り言が口をつく、さとみさん。

 ショーツ補佐官、フリル副補佐官を失った、フソン一味は、大あわてで、荒川医大から、逃げ去ったようです。

「しまった!逃げられた!!」

 悔しがる、さとみさん。

 はたして、フソン一派はどこへ消えたのでしょうか?


    続きます

 愛のヒトオシヨロシクデス。

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ちかこ・あかがまエッチな大冒険(29)

akagama / 2007.04.18 19:25 / 推薦数 : 0

    (29)

 

 とにもかくにも、七カラットのダイヤモンドを荒川警察に預けてほっとしたあかがま。

  とりあえず、心も軽く、荒川警察署から、荒川医大に帰ります。

 その、帰り道のことです。

 一台のバイクが、あかがまとすれちがいました。

「!」

 思わず、あかがまは振り返りました。

 遠ざかるバイクライダーの後姿をみつめます。

「あのときの、バイクライダー?かな??」

 グラニヤの大使公邸に火炎瓶を投げつけて、エンリケに大やけどを負わせて、公邸自体も全焼させた、真っ赤なジャケットのバイクライダーをあかがまは、思い出しました。

「……何か、また、いやな予感がするなー」

 何もなければいいんだけど、あかがまは、ぶるぶるっと頭を振って、いやな思いを追い払おうとしました。

 さて、赤いバイクは、荒川医大付属病院の構内に滑り込んでいきました。

 駐輪場でヘルメットを脱ぐと、端正な女性の顔があらわれました。

 そう、さとみさんです。さとみさんは、バックパックを背負っていましたが、それを手にもちかえて、大学病院の玄関ホール脇の女子トイレに入りました。

 個室の中に入り、バックパックの中のものを出します、おやおや、さとみさんが中から取り出したのは、きれいにたたんだ、荒川医大病院の看護師さんの白衣です。

 さとみさんは、ジャケットのファスナーを下ろし、白衣に着替え始めました。

 あっというまに、さとみさんは、どこからみても看護師さんにしか見えなくなりました。

 ライダージャケットは、白衣のかわりに、バックパックに詰め込んで、トイレの奥の掃除道具置きにつかっている個室にかくします。

 白衣の胸ポケットには、コルトウッズマンの二十二口径を忍ばせています。

 さとみさんは、仕上げに偽造したネームプレートをつけて、トイレをでていきました。

 病院の廊下をすれ違う人は、きっとさとみさんをみても、何も不審には思わないでしょう。

 さとみさんは、すたすたと、病院の中を、ある場所に向かって歩いてゆきました。

 そうです。
 
 目的の場所は三階特別病棟、グラニヤの悪徳大統領フソンが入院している病室です。

 階段を上がって、特別病棟に入りますが、誰も、さとみさんを怪しむものはいませんでした。

 板についた、白衣姿が彼女の本性を完全に隠しています。

 しかし、ある看護師さんの前を通り過ぎようとしたときです。

「ちょっと、あなた。まってちょうだい」

 さとみさんは、その人に呼び止められました。

 一瞬、ぎくりとして、歩みをとめたさとみさん、ゆっくりと振り返って、声の主と相対しました。

 声をかけたのは、高峰香奈子さんでした。

 そう、七階北病棟、あかがまたちの医局一般内科の病棟の看護師さんです。

 この間から、特別病棟に異同をして、三階でお仕事をしていました。

「あなた、三階の看護師さんじゃないわね?何か御用」

 香奈子さんは、鋭い目つきで、じっとさとみさんをにらむようにしてみつめています。

「すみません、私、本日からこの病棟で勤務することになった、早川さとみといいます。先生にたのまれて、病室に伺うところなのですが、失礼させていただいてよろしいですか?」

 さとみさんも、涼しい顔で、香奈子さんに、相対しました。

 さとみさんと、香奈子さん、二人の間で、火花があたかも飛んでいるようです。

 香奈子さんは、一歩、一歩、さとみさんとの間合いを詰めていきます。

 そして、二人の間合いは三十センチもないぐらいに近づいたとき、香奈子さんは冷たく言い放ちました。

「出て行きなさい、この偽看護師。うまく化けたつもりでも私の目は、ごまかせなくってよ」

 プレッシャーを与える、香奈子さん。

 しかし、さとみさんは、にやりと笑いました。

「ご冗談は、およしになってくださいね。あのね、私は先をいそぎたいので、通してほしいんですけど」

 ふてぶてしく、さとみさんは答えました。

  つづきます!
 
 

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ちかこ・あかがまエッチな大冒険(28)

akagama / 2007.04.17 20:59 / 推薦数 : 0


    (28)

 さてさて、ところであかがまは、あのあと、いったいどうしたのでしょうか。

 しばらく不貞寝を決め込んでいたあかがまでしたが、医局の仕事もあり、そうそうサボリがゆるされるわけもなく、今日は、大学院生等で、実験をやっておりました。

 もちろん、マフィアの仕返しにおびえつつですが……。

「おーっす、あかがま」

 ばしっとあかがまは、頭をはたかれました。

「あーっ、亜樹子先生!何すんですか。試薬のピペッティングしていたのに!」

「おだまり。文句はこれをみてからにしなさい」

 亜樹子先生は、紙袋を机の上に、ぽんとおきました。

「まさか、亜樹子先生。この中のものは……」

「いいから、とっとと見てみなさい」

 亜樹子先生にうながされて、おずおずと中をのぞくあかがま。

「ダ、ダイヤモンドじゃないですか!」

 そうです、紙袋の中に入っていたのは、あの七カラットのダイヤモンドです。

「し、しかし、先生。デイトレに失敗して、ダイヤモンドは質草にながれたんじゃあなかったんですか」

「ふん、FX為替証拠金取引で勝ちまくりでね、取り戻してきてやったのよ」

「あ、亜樹子先生、また、マネーゲームをやってたんですかあ」

「あーもう、ぎゃーぎゃーいうんじゃないの。ダイヤモンドは返ってきたんだから」

「いや、まあ、それはそうなんですが」

「それじゃね、もう亜樹子先生を盗人扱いするんじゃないわよ」

「……」
 
 それにしても、亜樹子先生も勝手な人です。

 でも、ちょっとほっとしたあかがまでした。

「早いとこ、警察に持っていってやっかいばらいしちゃおう」

 あかがまは、実験をとっとと、切り上げて、荒川警察に走りました。

 荒川署には幼馴染の刑事、長壁勇太郎が勤めています。(哀しみを抱いて故郷へ還ろう参照)


「うーむー」

 荒川警察署の勇太郎が、難しい難しい顔をして、ダイヤモンドとあかがまを交互にみつめました。

「おい、しんた。おまえも、えらいことをしでかしたもんだなー」

「やっぱり、おいら逮捕?」

「いや、まあ、被害届けが出てるわけじゃないから、遺失物横領ってわけじゃあないんだろうけど」

「そっかー、助かったぁ」

「おい、それでだけどな、おまえとトラブッた、外人っていうのはこいつらじゃないか?」

 勇太郎が、写真を何枚か、机に並べました。

 どの写真にも、これぞという悪党面の男たちがうつっています。

 リーサン、エンリケの写真も混じっています。

 あかがまは、その二枚を勇太郎に指し示しました。

「これとこれ、でも、すげーな。警察よくわかったな」

「こら、プロをなめるな」

「こいつら、いったい何者?」

「うん、ロシアンマフィアのウーチンファミリーのメンバーだ。お前、銀座線の放射能爆弾事件のこと知ってるだろ?」

「あー、下宿で不貞寝してるときに見たよ。怖かったよー」

「ウーチンファミリーは、ロシアから流出した、核廃棄物を密輸してるって話でな、銀座線の爆破にも一丁かんでるってうわさだがな。こいつらを相手にして、おまえよく無事ですんだな」

「いや、ははは」

 あかがまは、勇太郎にも、ロシアンマフィアのメンバーを半殺しにしたことは、黙ってることにしました。
 
「で、勇太郎も、ロシアンマフィアをやっつけるの?」

「うーん?今は、警察庁の国際テロ対策課が、でばっているけどね。何かあったら、俺たち所轄の奴らも駆りださせられるんじゃねーの」

「ふーん、命だけは大事にな」

「その言葉、そっくりおまえに、返してやるよ。しかし、おまえもずいぶんとトラブルに見舞われるやつだなー。同情するよ。

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    (27)

 力なくフロアに崩れ落ちる、四人の悪党。

「お、おまへ、うらひっはな」

 腰が抜けたショーツ補佐官でしたが、恨み言を、いうにも、ろれつが回りません。

 ブチアーノ親分は白目をむいて、口から泡を吹いています。

 だらしなく失禁する、フリル副補佐官。

 コステロの奴は、のろのろと這って、逃げようとしますが、すぐに力尽きて、ぐったりとなってしまいました。

 四人とももう顔面蒼白です、唇と指先が、暗紫色に染まっています。

 佐古は、四人が苦しむさまを、冷ややかにみつめています。

 まもなく、動かなくなった、四人の股間から、脱糞と失禁の悪臭が漂ってきました。

 佐古は四人の死を確認すると、応接室のガン・ロッカーを空けました。

 中から、かくしていた自動小銃を取り出します。

 別荘の外には、ボディーガードが見張りをつとめています。

 静かに、音を立てないように佐古は玄関を開けて、別荘の外へと出て行きました。

 外にいるのは、グラニヤ国と、ウーチンファミリーのボディーガードが二人づつ。

 彼らが、異様な殺気に気づいて、こちら側を振り返った時とほぼ同時に、佐古の持った自動小銃が火を噴きました。

 乾いた銃声が海岸にこだまし、ボディーガードも次々に倒れていきました。

 月明かりに照らされた、死体から、じわじわと血糊が広がっていきます。

 佐古は「ふう」と一息をついたあと、また、携帯電話を、ジャケットのポケットから取り出し、どこかへ連絡を取り始めました。

 流暢な英語で、二言三言、話すとまた携帯電話を切ってポケットに戻します。

 数分後、一台のトラックが、別荘の前に近づいてきました。

 佐古は、マグライトを手に持って、誘導します。

 トラックから二人の作業服の男が降りてきました。

 ふたりとも、中東系の男です。

 ひとりは何と、あの銀座線で、放射能爆弾をつかった、ラダイ・アブドゥルです!

 佐古が目で合図をすると、ラダイたちは、まずボディーガードの死体を荷台に放り込みました。

 丹念に、周囲に散らばった薬莢を拾い、血を拭います。

「あと四人、中にいる」

 佐古の言葉にうなずいて、ラダイたちは、次に応接室から、四つの死体をはこびだしました。

 佐古は、マフィアとグラニヤに協力するふりをしていたのですが、実は、アル・カイダと組んでいたのでしょうか?

 ラダイたちは、死体の後始末を、済ませるとにやりと、佐古と笑顔を交わし、闇にまぎれて消えていきました。

「まずは、第一幕の終わりってことですね」

 玄関にたたずむ佐古に、一人の女性の影が近づき声をかけました。

 さとみさんです。

「まあここまでは、うまくことが運んでくれているが、まだまだわからないぜ。側近たちを失ったうえに、太陽の欠片をこの俺様に横取りされたフソン、そして、ウーチンのやつらも死に者狂いでかかってくるからね」

「これから、どうされるつもり?」

「一度、闇に紛れなければな。ウーチンの隠し口座には、二百万ドルの金が、グラニヤから振り込まれた。これも行掛けの駄賃にいただいていくつもりだ、あんたは?」

「ふふ、わかっているくせに……」

「あくまでも狙いはフソンということか。もう、ここらで、満足しようとは思わんかね」
 
「私は、両親の墓前に誓ったのよ。フソンを地獄におとすって」

「行くところまで行くってわけかい、それもまあ、よかろう。お互い、ろくな死にかたはしそうにないな」

「佐古さん、あなたは、なぜこんなことをしているの?まっとうな生き方はしようとは思わなかったの?」

「俺も、実は、あんたと同じようにわけありでね、それじゃあ、俺はそろそろ、失礼するよ。闇の中へね」


 

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   (26)


 藤江さんを挑発して、携帯電話を切った、佐古渉。

 その夜のことです。

 佐古は、グラニヤ高官、ウーチンファミリーを鎌倉材木座海岸にある、彼の秘密の別荘に誘いました。

「さくら」で謀議をもった、五人が再び、佐古の別荘の応接室で、顔をあわせたのでした。

「さくら」では一触即発の雰囲気でしたが、店内での佐古の話を信じ込んだのか、みんなにこにこしています。

 極めて私的なパーティーということで、グラニヤ側、ウーチンファミリー側も、わずかなボディーガードを別荘の周りで張り番をさせているだけです。

「ふふふ、しかし、七百人も殺して涼しい顔か?大したタマだよ、おめえはよ」

 ブチアーノ親分が、佐古の肩を叩いて笑いました。

「あれは、アル・カイダが勝手にやったことでしてね、俺は一切関知していませんがね。でも、放射能爆弾の威力は、フソン大統領も満足でしょう」

「ああ、フソン大統領も喜んでおられたよ。早く我々もあのような兵器が欲しいものだ」

 ショーツ補佐官の言葉に、ブチアーノ親分もうなずきました。

「とりあえず、残金の振込みは先ほど、俺の手下が確認した。というわけで、フソン大統領閣下へのお土産を用意した。おい、コステロ!」

「へい、親分」

 ブチアーノ親分は、コステロが恭しく差し出した、アタッシュケースを受け取り、ショーツ補佐官の前に広げて見せました。

 中には、「太陽の欠片」の詰まった円筒型の鉛のケースがはいっていはました。

「中を改めて見ますか」

 佐古はにやりと笑いましたが、ショーツ補佐官は思わず勘弁してくれとばかりに首を左右に振りました。

「いやいや、この後におよんで、ウーチンファミリーがわれわれをはめようとは、思っておらん。これはいただいていくことにするよ。」

「それはよかった。ところでですね、手付金のダイヤの分は、とりあえず、この不肖、佐古渉が責任を持って立て替えておきました。私のほうで、手付けのダイヤを奪ったあかがまというサルは始末します。よろしいですね」

「リーサン、エンリケの件は、お前の顔に免じて、許してやるよ。ただし、だ。そのサルの、耳と、指を、サルの屍体から、切り取って、俺たちに殺した証拠としてみせること。わかったな?」

「わかりました。それでは、お酒も用意しましたので、今夜は楽しんでいってください。この別荘には部屋が八つありますから、女性をここに呼んでいただいてもけっこうですよ」

「ほお。上げ膳、据え膳とはこのことだな。まずは乾杯だ、酒はどうした、はやく酒を持って来い!」

 コステロの怒鳴り声にあわてて、四人のコンパニオンの女の人が、乾杯の用意を始めました。

 おや?コンパニオンの一人は、あのさとみさんです。

 でも、あほーの四人組みは、気がつきません!
 
 今日は、佐古の接待のお手伝いのようです。

「おい、サコ。お前は飲まんのか?」

 クラブソーダだけが注がれた佐古のグラスをみて、フリル補佐官が怪訝な顔をしました。

「ちょっと、今夜はおそくに車を使う予定があるのでね。

「よしよし、それでは、グラニヤ共和国と、ウーチンファミリーの未来に乾杯だ!」

 クラブソーダを持った佐古以外のみんなはシャンパンを持って立ち上がり、乾杯と、叫びました。

 シャンパンを飲んで数分後のことです。

「な、何だからだが、からだをいうことを聞かん」

 佐古以外の四人は、数分後に、身体の異変を感じました。

 激しい痺れに四人は襲われたのです。


   つづく
 

 

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  (25)

 かつて、欧州の各地でKGBの将校が暗殺された事件がありました。

 彼らの体内から、致死量を遥かに超える放射性物質が検出されました。

 マフィアによって、放射性物質で毒殺されたという、噂もあります。

 世界をまたにかける、ロシアンマフィアは、頼まれれば、どんな禁制品でも融通してくれるという噂も良く聞きます。

 藤江さんたちは、かねてから、CIAと連携して、グラニヤ国のフソン一味をマークしていました。

 フソン一味は、もと外務官僚、佐古渉としばしば接触を繰り返していました。

 この事件の鍵をにぎる人物、その一人が佐古渉。

 佐古渉は、かつてロシア駐在の外交官。

 在任中にロシアンマフィアとのパイプを築きました。

 あげくの果てに、銃の密輸で逮捕、二年の懲役をくらいました。

 もっとも、この佐古の人生の汚点に、今泉課長たちは、ある種の疑念をもっています。

 彼のキャリアからして、罪があまりにもチンケすぎるからです。

 何らかの意図を持って、わざと犯したという捜査関係者もいますが、真相は未だに不明です。 

 さらに、勃発した、アル・カイダの爆弾テロ。

 アル・カイダが使ったのは、放射能爆弾。

 この事件の影にも、ロシアンマフィアがからんでいるのか。

 今泉課長たちは、頭をひねっています。

 そして、事件の行方を必死に追う、国際テロ対策課員たち。

 その中でも、怒りに狂ったように、走り回る、藤江さんと、夕月さん。

 匿名の情報が、藤江さんの携帯に入りました。

 彼の、公にされていない秘密番号にかけられる人間はそうはいないはずですが?

「国際テロ対策課の藤江さん、だね?」

「あんたは、何者だ」

「それじゃあ、月光仮面様とでも、名乗ろうかね。あんたらがラダイ・アブドゥルを探しているらしいのでお役にたてると思ってね」

「勿体付けるな。いたずらは、飲み屋の女の子あいてに言いな。さーて、そろそろトイレに行って、クソをせにゃならん俺はきるぞ」

「まあ、そう急ぎなさんな。知りたくないかね、フソン一派の狙いとラダイの行方を、さ」

「ずいぶんと内情にくわしいんだな、あんた」

「ちょっとは興味をもってくれたみたいだね。クソは我慢できそうかい」

「五分ぐらいならな」

「上等だ、今、フソンが欲しがっているのは、最終的には、ずばりプルトニウム239だよ。日本へ来た目的は、ロシアン・マフィアのウーチンファミリーとの商談中でね。ヤツラはロシア国内の原子力発電所から流出したものを、漁船に積んで国内に持ち込んでいるのさ」

「フソンの狙いは、原子力爆弾か?」

「ヤツラは『アフリカの太陽』とよんでいるがね、今回取引をするのは、その子分格で、低レベル核廃棄物の詰め合わせセット、名づけて『太陽の欠片』と呼ぶそうだ」

「まさか、アル・カイダの使った、放射能爆弾もウーチンファミリーが?」

「賢い。賢い。今回の絵を描いたのは、ロシアンマフィアのウーチンファミリーとアル・カイダ、グラニヤの秘密警察というわけさ」

「ふっ、ふざけるな。そいつらは操り人形に過ぎん。絵を描いた張本人は貴様だろうが、佐古!」

「……ふふ。まあ、がんばって謎を解き明かしてくれ」

 藤江さんは、この電話のことをすぐに、捜査会議の席上で、今泉課長に報告しました。
 怒りに、両手のこぶしを震わせる今泉課長。

「確かに…、確かに、奴の話はつじつまが合っている。しかし、絵を描いた人間がなぜ、筋書きを俺たちにばらしたりする」

「おそらく、佐古の奴は、我々と、マフィア、アル・カイダ、グラニヤの戦いを、手のひらで転がしながら楽しむつもりなのではないのでしょうか。戦いがでかくなれば、なるほど、佐古の懐は潤いますよ」

 夕月さんが吐き捨てるようにいいました。

 意を決したように、今泉課長は叫びました。

「戦争をするというのなら……、俺たちは受けて立つぞ!覚悟しやがれ、悪党どもめ!!」

 つづきます!

 

 

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     (24)

 警察庁、外事情報部長室。

 その、机の上のノートPCの画面では、ある動画がながれています。

 そう、赤坂見附の駅から、放射線防護服を着た消防隊員によって運び出される、無残な犠牲者の映像です。

 中東風の独特の音楽をバックにして、覆面の男が、星条旗と日章旗を敷いた床に立ち、犯行声明を読み上げます。

 アル・カイダの勝利宣言です。

 男は、アメリカの同盟国すべてに、銀座線で使用した、新型爆弾で、テロを起こすぞと、いきまいています。

 警察庁外事情報部の大山部長は、にくにくしげにPCの蓋を閉めてしまいました。

  部長の前には、今泉課長が立っています。

 机の上には、ノートPCの横に封筒が置かれていました。

 表には、「辞職願」の文字。

「今泉君、これは何かね」

 大山部長は、険しい顔で、今泉課長の提出した、辞職願に目を移しました。

「申し訳ございません」

 頭を深々と下げる、今泉課長。

「これ一通で、責任をとろうというわけかね?」

「銀座線の事件は、我々のミスがきっかけになっております。もし、私の部下が、狙撃されていなければ、あの事件は未然に防げたはずです」

「まあ、今泉君。少し、頭を冷やしたまえ。確かに、マスコミの連中の論調は厳しいものがある。七百人の犠牲者が出ているんだ。ヤツラとしても我々を叩かないわけにはいかんだろう」

「はあ」

「だからといって、君が責任をとれば、それで済むというものでもないわな、これは」

「受理をしていただけないわけでありますか?」

「今、君がここを去って、だれが、直方君の無念をはらすのだ?」

 直方さんの手術は成功しましたが、まだ危険な状態が続いていました。

「一番悔しさを感じているのは、私でも、君でもない。今、死の淵で必死で戦っている直方君のはずだ。彼が戦列に復帰した時に、君が尻尾を巻いて、アル・カイダから逃げたと知ったらどう思うかな」

「いや、しかし……」

「しかしもくそもない。ひき続き、この事件の指揮は君にとってもらう。アル・カイダの殲滅と、フソン一派の動向についてな」

「わかりました、国際テロ対策課全員、命がけでやります」

「たのんだぞ、これ以上、悪党どもの好きにさせるわけにはいかん」

 爆発事件のあとの現場検証で、事件の一部始終が明らかになりました。

 現場で検出された、放射線の異常高値の原因が明らかになりました。

 それは、爆弾の中に放射線物質セシウムを混入させた「放射能爆弾」をラダイが、爆発させていたためでした。

 核兵器ではありませんが、爆発したときのインパクトは普通の爆弾の比ではありません。

 風向きによっては、東京都心に住む住民は、放射線障害におびえて暮らさなければなりません。

 警察本体も一時、千葉もしくは三鷹に本拠を移転をするかという議論がでましたが、悪者に好き放題をさせるわけにはいきません。

 霞ヶ関、桜田門で作戦を練ることになりました。

 連日捜査会議が開かれました。

 まずひとつはアル・カイダの関係者の動向調査です。

 とくに、爆弾犯、ラダイ。

 もうひとつ、アル・カイダの放射能爆弾に使われた、放射線物質セシウムの入手経路。

 日本国内の正規ルートでは、入手不可能なものです。

 藤江さんと夕月さんたちは、まず、自分たちが追っているフソン一派の動きとともに、アル・カイダの動きのほうにも、注目をしてみることにしました。

  続きます!


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    (23)

 フソンたちが、赤坂見附で、爆発炎上した銀座線の地下鉄のニュース映像を面白がって見ていたころ、さとみさんと佐古は、横浜の中華街の老舗レストラン「葉珍楼」で、お約束のお食事の最中でした。

 食事中の二人の話題の中心はやっぱり、爆弾事件でした。

「地下鉄で核爆発テロですって、物騒を通り越しておそろしいですね」

「全く、東京で待ち合わせていなくて正解だったね」

「あら、佐古さんは、東京の都心で爆発テロがあることを、あらかじめ、知ってて、わざと私を中華街にさそったのではないのですか?」

「おいおい、君はとんでもないことをいうお嬢さんだね。まさか、私が予言者か何かとまちがえているのではないかい?」

「さあ、どうかしら。あるいは、佐古さんが、爆弾魔の一味だったりして……」

「ふうん、かつて、銃器を密輸入しようとしてとっつかまった、外務省の元官僚が、核爆発テロの一味かね。まあ、安っぽい、テレビのドラマのネタにはなりそうだがね。まあ、もっとも私は、あの事件とは全く無関係だから、もうなんともお答えのしようがないと、いったところだね」

「そうですか。それなら、そういうことにしておきましょうか。そうそう、佐古さんは私に何かお話があるのではないのですか?」

「まあね。さとみさんは『さくら』は長いの?あの店は私もちょくちょく利用させてもらってはいたんだけど、君のような素敵な女の子がいたという記憶がないんだけどねえ」

「いいえ、私はまだ、入店してから一ヶ月ぐらいです。もう、このお仕事、なれないことばかりで周りのみなさんに迷惑ばかりかけているんです」

「ふうん、そうかい。やけどの具合はどう?」

「もう大分、いいですよ。あ、そういえば、あの夜、佐古さんと一緒にいた、お客さんのことなんですけど」

 佐古の目が鋭く光りました。

「気になるの?」

「あ、いえ。皆さん、外国の方ばかりだったんですけど、もうお国には帰られたんですか?」

「今、彼らと大事な商談中でね。まだしばらくは、みんな東京にいるはずだ」

「商談に来たにしては、ずいぶんなはしゃぎようでしたわね」

「まあ、観光気分もあったんだろう。彼らのうち、アフリカ系の外国人中央アフリカの、グラニヤという国の高官たちでね、普段はもっとまじめな連中らしいんだがね」

「そうなんですか」

 にやりとわらって、佐古は続けます。

「高官だけじゃあないよ。大統領のフソンも、来日中だ。荒川医大の特別病棟に入院しているらしいがね」

 そういうと、じっとさとみさんの目をみつめました。

「俺は、もうしっているんだぞ」といわんばかりにです。

 さとみさんも、身じろぎせずに、佐古を見つめ返します。

「どういう意味でしょうか?」

「さあ、ね?『さくら』では、君は、免許はもっていないといっていたけど、本当はそうじゃないんじゃないかな」

「ふふふ、『アメリカ』の運転免許証を持ってないのは事実ですよ」

「嘘はついていないということと、いうことかね。なかなか、君は賢い子だ。そのやけども果たして、ほんとうにパスタを作っているときにどじをふんで、できたものかどうか、怪しいものだね」

「それも、うそじゃあありませんわよ。私、佐古さんたちの商談が、まとまるように心から祈ってますわ」

「ありがとう。私も、君の「思い」がとげられるように、心から祈っているよ」

 この二人、すでにお互いの正体を見抜いたようですが……。

おうえんしてね

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        (22)


  東京消防庁の先発隊、十五名が、放射線防護服を身にまとって、赤坂見附の駅地下にそろそろと入ります。

 避難命令の出された、赤坂見附の駅はがらんとしていました。

 無人の階段を慎重に下っていく先発隊。

 放射線の線量計の針が、警告音とともに跳ね上がりました。

「おいおい、こりゃあ、現場付近は大変だぞ」

 隊員駅のホームから線路に降りて、溜池山王側を確認すると、火柱が立っています。

 地上に報告をすると返事が返ってきました。

「了解した、先発隊の諸君は、即座に地上に引き返せ」

「炎上中の車両に残された乗客の救出活動は行わなくてもいいのですか?」

「たった今、内閣危機管理室から、指示があった。爆発、火災の規模から判断して、現時点にて、銀座線の乗務員、乗客は絶望と思われる。周辺への放射能飛散の恐れがあるので、放水による消火は行わず、化学消防車による消火活動を行うようにとのことだ」

「……乗客は、見殺しですか?」

「いいか、この周辺には、皇居を始めとして、官庁街や首相官邸がある。むやみに放水して、何かあったら……。それに、もう我々が、救出に飛び込んでも、誰の命も救えない可能性が高い。これは命令だ」

「……わかりました」

 先発隊は、一旦引き返し、本隊と合流。

 銀座線は、日中、炎上を続けました。

 火勢が、衰えてくるのを見計らい、科学消防車による、消火活動が再開されました。

 放射線防護服の隊員たちが、消火用ホースを抱えて地下に向かいました。

 十数時間後、鎮火。

 犠牲者の遺体は、放射能汚染の恐れがあるので、原因調査が終了するまで、そのままです。

 推定犠牲者数、約七百人。

 連絡のとれない家族が、駆けつけますが、どうにもなりません。

 現場は、怒号と、嗚咽が絶えることはありませんでした。


 
 荒川医大三階特別治療病棟。

 あかがまが、藤江さんに話していたいわくつきの病棟です。

 グラニヤのフソン大統領は、大金をはたいて、ホテル代わりに入院していました。

 その、フソン大統領は、NHKテレビをみながらご満悦の表情です。

 隣には、ショーツ補佐官が付き添っています。

 NHKの画面では、赤坂見附の交差点で、右往左往する、消防隊員が映し出されているのでした。

「ふふふ、たかだか放射能爆弾一発で、一千万人の大都会がこのザマか。おもしろいもんだのう」

 心臓病で入院中のくせに、フソン大統領は、レミイマルタンをなみなみと注いだ、ブランデーグラスを、ごくごくのみながら、ダンヒルのフィルター付に火をつけました。

 三階、特別病棟は、「治外法権区域」でもあり、「患者」さんが好きに振舞えるのです。

「もうすぐ、マフィアから、『太陽の欠片』が手に入れば、テレビの画面の光景は、アフリカ大陸の全土で、大統領閣下が楽しめるようになりますよ」

「そうだの、長生きはせんとな。ショーツよ、サコからの連絡はまだか?」

「はい。三日後に、吉祥寺で会うことになっています」

「はやく、太陽の欠片をよこせ、と圧力をかけろ。そのために、われらは、遠路はるばるこの日本にやってきたのだ」

「お任せください。大統領閣下」

「うむ、たのんだぞ」

 ショーツ補佐官は、最敬礼して、フソン大統領の病室をあとにしました。

 残金の振込みは先ほど完了したと、グラニヤ本国からの連絡はうけています。

 あとは、ウーチンファミリーから、「太陽の欠片」を受け取るだけですが……。

 

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   (21)

  直方さんは、すぐ、渋谷駅近くの救急病院のERに搬送されました。

 左肺を貫通した、銃弾は心筋に食い込んだ形で残っています。

 心臓内腔からの、出血は食い込んだ銃弾が栓をした形になっているため、大量出血は免れている格好になっています。

「これなら、助かるかもしれない。緊急手術の用意だ!」

 病院の手術室は、あわただしい空気に包まれました。

 直方さんが狙撃され、重傷をおったという連絡は当然、国際テロ対策課に告げられました。

 最悪の事態に、今泉課長は、がっくり肩を落としています。

「とにかく、ラダイの行方を追わねばならん。全員、気を引き締めて、捜査にとりかかってくれ」

 そういうのが、精一杯でした。

 渋谷駅の雑踏に、ラダイは消えていきました。

 今泉課長は、気が気ではありません。

 ラダイが、テロを決行すれば、国際テロ対策課の大失態となります。

 こうなった以上、なんとか、事前にラダイの身柄を確保したいところなのですが……。


 

 残念ながら、悲劇の一報はすぐにもたらされました。

 その日の午前八時三十分、東京地下鉄銀座線。

 まだ、四月だというのに、夏の強い陽射しがぎらぎらと照りつけて、道行く人にため息をつかせます。

 地下鉄のホームに続く階段をおりると、ひんやりした空気につつまれ、少しはほっとするのですが、ホームを行き交う人の波におされて、またうんざりした気分にさせられます。

 銀座線の電車は、小さな車両に、今日も、ぎゅうぎゅう詰めのお客さんを乗せて、都心を走っていました。

 この車両も、身動きできないほど、混雑をしています。

 お客さんはうんざりしながら、新聞を広げたり、音楽を聴いたりして、この不愉快な時間をやり過ごしていました。

 座席上の手荷物棚には、忘れ物なのか、ずーっと、ボストンバッグが置きっぱなしになっているようです。

 電車の中のお客さんたちは、乗客の誰かの荷物なのだろうと気にも留めません。

 みんな、早く、次の駅に着けよと心の中で念じていました。

 渋谷を出発した、その電車が、赤坂見附にさしかかったときです。

 乾いた、爆発音が、車内に轟きました。

 そう、ボストンバッグが破裂したのでした。

「ぎゃっ」

 すさまじい爆風は、一瞬にして電車の屋根を、吹き飛ばします。

 爆発した、ボストンバッグから、無数の、金属の破片が、満員のお客さんに突き刺さりました。

 身体を爆風で吹っ飛ばされるお客さん。

 車両に身体をたたきつけられて、気を失うお客さん。

「助けてー!」

 悲鳴を上げて、必死にこの場から逃げようとするお客さんで、大パニックです。

 多くの人が、重傷を負って倒れました。

 死傷者の流した血溜りが、車内の床のあちこちに広がりました。

 が、悲劇は、それだけでにはとどまりませんでした。

 あたりの、車内のシートは木っ端微塵にちぎれとんでいましたが、爆発した、ボストンバッグのあたりから、激しい火の手が上がったのでした。

 犯人はガソリン様の燃焼促進剤を爆弾に、添加していたようです。

 炎が一気に地下鉄の電車をのみこんで行きました。

 東京消防庁の特殊災害消防隊にも、すぐに出動要請が届きました。

 消防隊の方も、突然の大事件にどよめきました。

「地下鉄銀座線、溜池山王・赤坂見附間の地下線路上で、爆発事故発生!死傷者多数。火災も発生しているらしく、当該車両は炎上中。直ちに消火救出活動をお願いします。尚、現場付近で放射線量の異常高値が確認されています。救助活動に際しては、各自放射線防護服の着用と個人用線量計を装備の上でお願いします!」

「ええっ?ほ、放射線?地下で核爆発でも起こったというのか?」

「わ、わかりません。ただ、通常の防護服では、放射能から身を守ることは不可能だということです」

「……俺たちに、決死隊の覚悟で、消火活動にあたれというわけか、くそっ!!」

 赤坂見附交差点付近に終結した、消防車は、特殊災害対策車を含め、十七台。

 外堀通り周辺は完全に交通規制がひかれ、首都高速道路も含めて、車の通行はストップされました。

 つづきます!

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