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 ういっす。

 

 今日のお題です。 

 

   2006年に 発表された、ハーバードの「謝罪」マニュアルが、一部の日本のお医者さんも利用することになったというお話です。

 

 

「某」公益系病院グループが、これをもとにした、マニュアルを導入するそうですが、

 

 

 ちょっと普通のジャーナリストも伝えないような、エロい記事を、英語で、世界中に配信して、いやいや「謝罪」した、国辱新聞、毎日新聞が、報じています

 

 

 ここで、大事なことは、ハーバードの元のマニュアルに、

「何かあったら」まず「土下座」すべしということが載っているわけでは、ありません。

 

 

 つまり、まず、こちら側にあきらかに過失がなく、患者さんが残念なけいかをたどった時に、無条件に、

 


「お許しください、患者さま」とばかりに、土下座せよといってるわけでは、ありません。

 

 >「何が起こったかを直ちに説明し、遺憾の意を伝える」

 

 ということです。

 

 毎日新聞が見出しで、

  

「まず患者に謝罪…全社連が採用」

 

 などと勝ち誇ったようにさらしていますが、

 

 実際はそうではありません。

 

「また、毎日新聞が、『うそ』報道だよ~」

 

 と記事と、ハーバード「土下座」マニュアルをみた、お医者さんたちも苦笑ですから。

 

 まあ、

 

 

 m9(`●ω●´)> 医者みたいなウジ虫を一生ムショにブチ込んでやること、それが俺の究極のスリルだ!

 

 というような、ことを毎日考えてる新聞の連中ですから、 

 

 

 この程度は捏造でもなんでもないと思っているのかもわかりません。

 

 では。 

  

 しかし、このタイトルの翻訳も、意訳というか、違訳ぢゃないんか?と思うakagamaです。

 

 

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帝都東京最期の日!(16)暁の逆転

akagama / 2007.02.28 21:34 / 推薦数 : 1


   (16)暁の逆転

「ちくしょう!」

 おもわず、おいらは叫びました。

 その瞬間のことでした。

 バラバラバラという音が遠くから聞こえてきました。

「な、なんだ。あの音は、まさか……」

 事務所の窓から、手下が頭を出して外をうかがいました。

「ボス、へ、ヘリコプターだ!け、警察のヘリコプターです」

「なにい!警察だと?どうして、この場所が…」

 唖然とする、剛と玉原。

 続いて、ヘリコプターに先導されるように、けたたましいサイレンを鳴らし、十数台のパトカーが到着し、工場の周りを完全に包囲しました。

「剛辰巳、玉原一男。こちらは警察庁の国際テロ対策課だ。君達は完全に包囲されている!速やかに人質を解放して、武器を捨てて外に出て来い」

 今泉課長の声です。

「しんちゃん、助けが!」

 もはや、剛達は多勢に無勢です。

 七人の悪者たちは、踏み込んできたテロ対策課員に皆、逮捕されました。

 おいらと智佳子先生は、藤江さんと直方さんに抱えられ、工場から外に出ました。

 外で、おいらたちを、亜樹子先生、遠藤、今泉課長が待っていました。

「無事だったかい。間に合って、よかった、よかったー」

 亜樹子先生は涙ぐんでいました。

「でも、何でこの場所がわかったんですか」

 亜樹子先生は、笑っておいらの胸元を指差しました。

「それは、昨夜あげた、お守りのおかげさ。中をみてみな」

 おいらは、お守りの中を覗いてみました。

 中には、フラッシュメモリーのような電子チップを組み込んだ部品が入っていました。

「外の袋はお守りだけど、中には、高性能の超小型GPSチップが入ってる。田熊はこういうのが大好きでね。これで、あんたらの位置はコンピューターでチェックすれば、ばっちりというわけ」

 医局にも戻らず、携帯、PHSがつながらなくなったことで、異変を知った亜樹子先生は、今泉課長にすぐに連絡をとってくれたのでした。

 このGPSからの信号をキャッチし、テロ対策課のヘリコプターが青梅の廃工場を発見したというわけです。

 お守りが、その名の通り、二人を守ってくれたわけです。

 そして、おいらの、お守りをひょいととりあげた、亜樹子先生。

「じつはね、これには音声感応型ボイスレコーダーもついててね。昨夜の間、あんたと智佳ちゃんが話してたことが全部記録されてるんだよね。さあ、どんな会話をしてたのか、これからじっくりきかせてもらうよー」

 うー、まずいです。

 けさの二人の会話をきかれると、とっても恥ずかしいです。

「まってー、それ、かえしてー」

 逃げる亜樹子先生、追う二人。

 結局、マラリア原虫も、感染したハマダラ蚊も、テロ対策課の手で、無事押収されました。

 その後、剛と玉原の一派は起訴され、裁判が続いていますが、連中の死刑は免れないでしょう。

 次は、剛達を操って、日本を乗っ取ろうとしたアメリカのハゲタカファンドもやっつけてやると、今泉課長もやる気満々です。

 さて、こんどの事件で沢山の尊い命が失われ、沢山の人が傷つきました。

 その中で、たった一人、命が救われた人がいました。

 そう、マイアミで心臓移植を受けた南村ちすずちゃんです。

 ちすずちゃんは手術が成功し、現在は、お母さんと実家のある金沢でひっそりとくらしているそうです。 

 そして、この国を見捨てて、アメリカに逃げた総理以下、この国の指導者は、いつの間にか帰国して、また知らん振りで、相変わらず、張りくさっています。

 遠藤と中臣教授は今日も、竹馬大臣に呼び出されたそうです。

 帰ってきた遠藤の話では、竹馬は、また横柄な態度に戻っているらしいです。

「ありがとう」の一言も言わない、帰りのタクシー代とお弁当代も出さないとぼやいていました。

 しかし、おいらは今度ばかりはもうだめかと思いました。

 もう、生物テロは勘弁してください。

 それではまた…。


     Themes for this story

  Doubleback(ZZtop/Recycler)
  Danger Zone(Kenny Loggins/TOP GUN Soundtrack)

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帝都東京最期の日!(15)絶体絶命!

akagama / 2007.02.28 13:17 / 推薦数 : 0


    (15)絶体絶命!

 手下が、おいらと智佳子先生をひっぱり出しました。

 おいらたちは、後ろ手に縛られたまま、ピストルで小突かれながら、保冷車をでて、古い自動車修理工場の中に連れていかれました。

 工場の事務所では、南村さんが、手下にささえられながら、悔しそうに、部屋の奥に置かれた、小さめの箪笥ほどの培養器の前に立っていました。

 剛は培養器の扉を開けるように、南村さんに命じました。

 扉は、ダイヤルロックのうえに、南村さんの生体指紋認証のロックがかかっているので、生きた南村さんをここに連れてくる必要があったのです。
 
 手下が、ピストルで南村さんの頭をこづきながら、ダイヤルを聞き出し、数字をあわせました。

 続いて、南村さんの指を無理やりスキャナ装置に、合わせました。

 かちっと音がして、扉のロックが外れました。

「ようし、お宝ゲットだぜ、と、ガキなら叫ぶところだな。南村さん、あんがとさーんだな。死ねや」

 手下は、南村さんの後頭部に、銃口を押し当て、容赦なく引き金を引き絞りました。
 
 乾いた銃声とともに、南村さんの頭ががっくりとうなだれました。

「おい、かたづけときな、ごみを」

 南村さんの屍体を突き飛ばして、手下が、他の者に命じました。

 一方、剛と玉原は培養器の中に手を突っ込みました。

 中から、クッキーの缶ほどの、容器を二つ取り出しました。

 一つに、はいっているのは、マラリア原虫の培養液。

 人の血液から作ったその培養液には無数のマラリア原虫が育っているはずです。

 血液餌といわれるものです。

 そして、もう一つの容器には、この血液餌を吸わせて、マラリアに感染させたハマダラ蚊をいれた、プラスチック容器が数個入っているようです。

 玉原の手下の組員達が、地下鉄で密かに、これらの容器を開封し、電車の乗客にマラリアを感染させたのでした。

「アメリカさんが、この日本をのっとりたいんだとよー。でよお、こんどは、これを、ラッシュアワーの山手線で、ばら撒けーだとよ」

 容器をもって、剛がうれしそうに笑います。

 こいつらは再度、マラリア事件を引き起こし、日本の経済をパニックに陥れ、その隙に、アメリカのハゲタカファンドに日本の経済を乗っ取らせるという計画を立てていたのでした。

 ラッシュアワーの山手線で、大量のハマダラ蚊がばら撒かれると、もはやどれくらいの患者が発症するか検討もつきません。

 もうすでに、夜が明けていました。

 手下の連中がそろそろ、そわそわしてきました。

「剛先生、もうそろそろあっちのほう、いいですか」

 手下がおいらたちを指差して言いました。

 なぶり殺したくてうずうずしているようです。

「よし、玉原。手下のあんちゃんがごほうびをほしがってるぜ」

「わかった、おう、おめえらこのチビども、好きにしていいぞ」

「待ってました。おい、メスのチビからいくぜ」

 手下の手が智佳子ちゃんの白衣に手がのびました。

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   (14) たとえ二人に明日はなくとも 

 

「さあて、南村には、青梅までの道案内をしてもらうとして、剛、このチビ二人はどうする」

 玉原がにやにやしながらいいました。

「まあ、俺たちの秘密を知っちゃあ、生かしておけねえわな。後ろのコンテナにぶち込んで、ついたら向こうで始末しよう」

 剛が、答えました。

「そうだな、おい剛。でもな、メスのチビの方は、はなかなか、器量よしだぜえ。あっちのぐあいもよろしそうだし、なんかうちの若いヤツラもむらむらきてるみたいだしよ。始末するのは楽しんでからにさせてくれや」

 玉原がにやにやしながら言いました。

 おいらは口惜しさに、唇をかみしめました。

 向こうについたら、三人ともなぶり殺しにするつもりのようです。

 撃たれてもいいからとびかかってやろうかと、ぐっと下半身に力をこめました。

 でも、智佳子ちゃんは、動かないでと耳元で小さくささやいたのでじっとこらえました。

 七丁のピストルが狙いをつけています。確かにここで暴れても、ピストルのえじきでしょう。

 手下が、おいらたち三人のポケットから、携帯電話とPHSを取り上げます。

 そのとき、手下が、智佳子先生の、胸元に手を突っ込みました。

「きゃっ」思わず、悲鳴をあげる智佳子先生。
 
 にたにた笑う、手下を玉原がたしなめます。

「こら、お楽しみは青梅についてからだ、さっさと、チビ共を縛り上げて、後ろにぶちこめ」

「はい、すみません。おら、おとなしくはいれ!」

 おいらと智佳子ちゃんは後ろ手に縛られて、保冷車のコンテナにぶち込まれました。

「おい、青梅につくまでチビ共を少し虐めてやろうぜ」

 手下が、小型保冷車のコンテナの温度設定をいじくりはじめました。

「今日は暑いからなあ、氷点下四度に、コンテナの室温を下げといてやるよ。へっへっへっー」

 車が動き出しました。

 コンテナの中は真っ暗でしたが、少しすると、闇に目がなれてきました。

 智佳子ちゃんは、おいらの隣でぐったりしています。

 真夏だというのに、コンテナの中はどんどん冷えていきます。

 手下のやつらが、コンテナの室温を氷点下に設定したからです。

「智佳子ちゃん、大丈夫。ごめんね、こんなことになっちゃって」

「仕方がないよ。あのとき、しんちゃんと一緒にいくと決めたのは、智佳子なんだから、でも、とっても…寒い、しんちゃんもっと近くに寄ってきて」

 身体が冷えるのを防ぐ意味もあって、二人は身体を密着させました。

 智佳子先生の心臓の鼓動が、おいらの身体に伝わってきます。

 バレンタインデーの夜のことを思い出しました。

 あの時は、おいらたちの命に危険が及ぶという状態ではなかったのですが、今度ばかりはもうしゃれになりません。

 相手は、何百人も罪もない人々をマラリアに感染させて、殺した大悪人たちです。

 むこうについたら、三人ともなぶり殺すと名言しています。

 おいらたちの命は、もうあと、二時間か、一時間か。

 いずれにしても絶体絶命の状態です。

「しんちゃん、智佳子は、しんちゃんと一緒だったら、このまま死んでもかまわない。天国でもしんちゃんと一緒にいられるなら、怖くない」

 智佳子ちゃんは泣きながら言いました。

「智佳子ちゃん、最期まで、あきらめちゃだめだ。でも、二人はどこまでも一緒でいよう、何がおこっても……」

 やがて、キキっとブレーキ音がして、保冷車が停まりました。

 コンテナの扉が荒々しく開け放たれました。

 いよいよ、最期の時がきたようです。

 

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帝都東京最期の日!(13)憤怒と絶望と

akagama / 2007.02.27 21:23 / 推薦数 : 0


  (13)憤怒と絶望と

 大学の夜間出入口の前に行くと、電話のとおり、白いクラウンが止まっていました。

 車の中には、南村さんが、真っ青な顔でぐったりして運転席に座っていました。

 全身血だらけです。

 とんとん、と、車のサイドウインドウを叩くと、南村さんは気がついたようでした。

 窓をあけ、力なく笑いました。

「いやあ、おれ一人で何とかしようとは思ったんだけど、だめみたいだ。もう、体がガソリン切れみたい」

「南村さん、何とかするっていうのは、マラリア原虫や、マラリアを感染させたハマダラ蚊を処分するということですよね。今、持っているのですか」

「ここにはないよ。青梅に、昔、おれの親戚がやっていた廃工場があってね、南北線の事件のあと、茅場とこっそりうつしたんだよ。剛と玉原、テロリストたちは血眼になってさがしているがね」

「テロリストはあなたではないんですか」

 智佳子先生が厳しい口調で尋ねました。

「マラリアを、培養して、ハマダラ蚊に感染させたという意味でなら、そうだ。ただ、おれは、剛達に、命令されて、マラリアを培養しただけだ。黒幕は剛達だよ」

「なぜ、そんな恐ろしいことを」

「仕事がなくて資金繰りに困っていたつぶれかけのラボを、大分前から、やつらに援助してもらってた。それに、娘をアメリカで手術をうけさせるためには、大金がいる。だから断りきれなかったんだよ」

「そんな、悪いことをして稼いだお金で、手術をして、助かったとしても、お嬢さんが喜ぶと思いますか。あなたのおかげで、大事な人を失って泣いているご家族がたくさんいるんですよ」

「わ、悪いことをしたとは思っているよ。でも、手術をしなきゃ、娘は死んじまってたんだ。あんたも人の親になればわかるよ」

「……では、悪いことをしたと思ったんなら、なぜ警察に自首をしなかったんですか」

「まさか、あそこまで、死者がでるとは思わなかったんだよ。せいぜいで、下痢か発熱ですむと思ってたんだ。これだけの騒ぎになったんだ。捕まったら死刑は、間違いないからな。そうこうしているうちに、また、やつらが、研究所に押し入って、マラリアをばら撒くから、隠したマラリア原虫とハマダラ蚊を出せといいだしてな。もういやだといったら、剛と玉原に、茅場が撃ち殺された。おれは、足を撃たれたが、何とか逃げ出せたんだ。」

 おいらは、頭がかーっと熱くなってきました。

 第一号患者の男性の、奥さんとお嬢さんの泣き叫ぶ声は、今も耳の奥に残っています。

「何というおろかなことを…。それなら早く、青梅の廃工場に行きましょう。警察庁の今泉課長にも知らせなきゃ。なんとかしないと大変なことになる」

「半分は、おれたちも賛成だな」

 背後で声がしました。

 振り返ると、剛辰巳と玉原一男、そしてその手下が五人ばかり、ピストルを構えて、おいらたちを取り囲んでいました。

「声を出すと、ずどんといくぜえ、よお、南村、元気…ではなさそうだな。たぶん、おまえも荒川医大に泣きついて来るんじゃあないかと思って張りこんでいたのが正解だったようだぜ。ここはマラリアテロ対策本部がおかれているところだからな」

 玉原がにやにや笑って言いました。

 南村さんは、クラウンから引きずりだされて、玉原たちの用意した、小型保冷車の助手席に乗せられました。
 

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帝都東京最期の日!(12)死の来訪者

akagama / 2007.02.27 13:45 / 推薦数 : 0


    (12)死の来訪者

 そして、その夜、荒川医大寄生虫学教室。
 
 まだ、何が起こるかわからないので、不測の事態に備えて医局では、毎晩誰かが泊り込みで留守番をしていました。

 今夜はおいらが泊まり番です。

 もう、時計の針は午前零時を回っています。

 医局でボーっとしていると、医局のドアを誰かがノックしました。

 ドアを開けると、智佳子先生と亜樹子先生が立っています。

 差し入れを持ってきてくれました。

「よっ、今夜も、がんばってるね。智佳ちゃんが、おまえのためにクッキーを焼いたらしいんでね、私は、コーヒーをもってきてやったよ」

 亜樹子先生が笑いながら。ポットを見せてくれました。

 今夜の一般内科の当直は、亜樹子先生だそうです。

 そういうわけで、おいらは、カモミールティーを、お返しに、亜樹子先生にお出しします。

「もう、仕事はおちついたんでしょう?あれから、新しいマラリア患者も出ていないし」

 智佳子先生がコーヒーをカップに注ぎながら言いました。

 おいらはコーヒーを一口飲んで答えました。

「そうだね、大体犯人の目星もついたらしいし。今泉課長は、剛辰巳の周囲をあたっているらしいよ」

「へえ、あの三千億のお金持ちがねえ。まあ早く解決させて、内科に帰ってこいよ」

 亜樹子先生がぽかりとおいらの頭をはたきました。

「おいらが、解決するわけじゃないです。今泉課長に聞いてください」

 話の最中に、医局の電話が鳴り響きました。

「こんな夜に一体誰が?」

 おいらは、不安な気持ちで受話器をとりました。

「もしもし、荒川医大寄生虫学教室です」

 受話器の向こうから苦しげな声が聞こえました。

「お、おれは、南村、三郎だ。知っているだろ」
 
「南陽メトロバイオの南村さん? 」

「そ、そうだ。あんたらに渡したい、いや、渡さないといけないものがある」

「渡したいもの? 」

「そうだ、マラリア事件の証拠だ。テロリストはこれを使って、もう一回、騒ぎを起こすつもりなんだ」

「南村さんいま、どこ?怪我を、されているんじゃないんですか」

「すまん、荒川医大の時間外出入口前に停めたクラウンの中だ。左足をやられて、車から外に出られそうもない」

「わかりました、すぐにおりて行きます」

 受話器をおいて、おいらは電話の内容を二人に話しました。

 亜樹子先生は心配そうにおいらにたずねました。

「おい、大丈夫か?向こうの罠じゃないのか」

「今泉課長の話では、南村もかなりの深手を負っているそうです。わなにはめるようなそんな余裕はないと思います」

「そうか、気をつけていきな。じゃあ、これをおまえにあげよう。御守りだ、持ってけ」

 亜樹子先生は、白衣のポケットから、御守りを取り出し、おいらの首にひっかけました。

「先生が、こんな神頼みグッズを使っているとは思いませんでした…」

「ひょっとすると、意外と、役に立つかもしれないよ。世の中何が起こるかわからないからね」

 その時、亜樹子先生のPHSが鳴りました。

 病棟で患者が急変したようです。

「それじゃあ、私は病棟へ戻るからね。あんたには、またカモミールティーを入れてもらわないといけないからね、早く戻ってくるんだよ」

「はい。じゃあ、智佳子ちゃん。おいら、時間外出入口に行ってくるから。もう遅いから智佳子ちゃんは帰ったほうがいいよ」

 しかし、智佳子先生も立ち上がりました。

「私も一緒に行く」

「え、もしものことがあると危険だよ」

「もし、南村さんが重傷なら、応急処置をしてあげないと。医者は一人いるより、二人いたほうがいいに決まってるわ」

「わかったよ、でも、危ないと思ったらすぐに帰ってもらうからいいね」

「いいわ、では、急ぎましょう」

 智佳子先生は、医局から、応急処置用の、ドクターバッグをひっぱり出して、おいらの手を引っ張って、走り出しました。

 

 

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帝都東京最期の日!(11)悪魔のシナリオ

akagama / 2007.02.27 06:42 / 推薦数 : 0


     (11)悪魔のシナリオ

 七月三十日、荒川医科大学、寄生虫学教室。

 新しい、マラリア患者はあれから出てはいません。

 しかし、いつまた、恐ろしいマラリア騒動が起こるのか、それだけで東京中がおびえているようです。

 おいら、中臣教授、遠藤、今泉課長、藤江さん、直方さんの六人が集まって、これまでの整理をしました。

 マラリア原虫を培養した犯人はおそらく、南陽メトロバイオの、南村、茅場コンビ。

 黒幕に、剛辰巳、玉原一男といった、癖のある連中がいるようです。

「気になったので、ちょっと、剛と玉原たちについて調べてみました。マラリア事件の直前にこいつらは、先物を大量に売り飛ばして、同時にTOPIXを始めとする先物のプットオプションを大量に購入しています。マラリアパニックで株価が大暴落したので、結局、この相場で、連中のグループ総額で七百億円近い含み益をつかんでいます。更に、この暴落に乗じて、アメリカのヘッジファンドが、現在、日本企業の株を買い捲っています」

 直方さんが淡々と調査結果を報告します。

「さらに、丸の内線、南北線に乗っていて、マラリアにかかって死んだ玉原組の組員が三人います。ふだんは地下鉄など使う必要のないやつなんですがねえ、死ぬ前に、地下鉄に乗っていたことを、ERの医師に話しています」
 
 直方さんも、調査結果を報告します。
 
 剛や、玉原たちが、南村に命じて、マラリアに感染したハマダラ蚊を使って、電車の中でマラリアをばら撒きパニックを誘い、それに伴う株価暴落に乗じて、大金をせしめたというシナリオが、見えてきました。

 更にこの裏には、海外のヘッジファンドも関係があるのかもしれません。

「南陽メトロバイオの捜索令状を請求しよう」

 今泉課長は決断しました。

 八月一日、梅雨は既に明け、暑い夏の朝となりました。

 捜索令状が裁判所からおりたので、ついに、捜査のメスが、南陽メトロバイオにはいることになりました。

 今泉課長を乗せた捜査車輌が、南陽メトロバイオに到着しました。

 すでに、たくさんの捜査員でごった返しています。
 
 先についた、藤江さんたちが中の様子を調べていました。

「課長、鍵はかかっていません。争ったあとがあります。そして、中に屍体が」

 建物から出てきた藤江さんが、緊張した面持ちで、捜査車輌に近づいて、今泉課長に耳打ちしました。

 中に踏み込む、今泉課長と捜査員たち。

 入り口付近で倒れている男性を見つけました。

 茅場副社長の屍体です。

 頭部を撃たれていました。

「課長、廊下に滴下血痕があります。形状からみると、屋内で負傷して、左下肢から出血しながら外へ出て行ったものがいるようです」

「脱出した負傷者がいるというわけだな。しかし、大量の出血だな。へたすれば死んでるぞ」
 
「社長の南村は、中にはいません」

「わかった、負傷者は南村の可能性もある。周辺の病院に、左の下肢に不審な外傷を負った患者が来ていないか聞き込みを進めてくれ」

 いわくありげだった、鍵つきの管理区域には、感染防止服の捜査員が入り込みましたが、何もみつかりませんでした。

 一足遅かったようです。

 今泉課長は口惜しがりましたが、もうあとの祭りです。

  ここで、何らかの、仲間割れがおこったのか?

 捜査は新しい局面を迎えていました。

 今泉課長たちは、いくつかのグループに分かれて、捜査に乗り出しました。

 剛辰巳や、玉原一男の事務所も慎重に捜査するそうです。
 

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帝都東京最期の日!(10)疑惑の男

akagama / 2007.02.26 22:18 / 推薦数 : 0


   (10)疑惑の男
 
 南陽メトロバイオの、創業は平成二年。

 ニッポンアクト製薬の動物実験施設として作られました。

 平成十年に、ニッポンアクト製薬は、外資系製薬会社に買収されたため、この動物実験施設は売りにだされ、南村三郎という人が買い受け、南陽メトロバイオという会社に変わったわけです。

 南村三郎さんは四十歳。東京大学の微生物学の大学院を終了した後、アメリカでポストドクターとして研究を続け帰国後、間も無くこの会社を始めたということですが、最近数週間姿を隠しています。

 南陽メトロバイオには、副社長に茅場哲也という人がいましたが、この人も目下行方不明です。

 彼らが、姿を消した、詳しい事情はまだわかりません。

 ただ、気になる事実が浮かびました。

 南村さんの一人娘、五歳のちすずちゃんが、マイアミで心臓病の治療を受けているということです。

 移植手術を受けないと助からない、拘束型心筋症という病気で、心臓移植の手術をうけるためだということです。

 手術費用は、一億円。

 二ヶ月ほど前には、業務を停止しなければならないほど経営が苦しい状態だったのに、一億円のお金をぽんと用意できるのは極めて不自然です。
 
 藤江さんと、直方さんというテロ対策課員が、以前、南陽メトロバイオに、勤めていた大森義男さんという男性に会うことが出来ました。

 三十五歳、男性の会計課長です。

 今は、北品川の事務機器販売会社で、経理をしています。

「会社は、研究所としては、ほとんど稼動してはいませんでした」

「仕事が全然なかったというわけですか」

 藤江さんが尋ねました。

 直方さんは、まめにメモを取っていきます。

「まあそうです。社員もほとんどアルバイトでした。彼らがやらされていたのは、ほとんどラットの世話とかウサギの世話ですね」

「それで、よく八年間も、研究所が持ちましたね」

「ええ、私も不思議に思っていたのですが、なぜか、金に困ると社長はどこからか、社員の給料を調達してきましたねえ。あれはいったいどこで、稼いでくるんだろういう話を社員の間で、かわしたものです」

「その他に、勤めていて気になったことはありますか」

 藤江さんの問いかけに大森さんは、ああそういえば、と前置きして、

「南陽メトロバイオの研究室には、南村さんと副社長の茅場さん以外に社員が入れない、鍵つきの管理区域がありました」

 また、生物学の学位を有する、南村さんは、マラリアの原虫にたいする知識もあるようです。

「すごく、くさいな」

「南村の行方を知りたいもんだな」

 二人の課員は、南村さんに焦点を絞りました。

 南村さんは、茅場さんを連れて、よく六本木のクラブに出入りしていたようです。

 二人は、贔屓の店の一つに行きました。

 六本木三丁目、「倶楽部恵理奈」という、かなり高級なお店でした。

「仕事もろくにしていないのに、ずいぶんと高い店に通ってたんだな」

 店の支配人にはあらかじめことわりの電話をいれて、開店前に関係者に店に来てもらうようにお願いしました。

 お店が始まってからだと、他のお客さんに迷惑をかけるかもしれないと考えたからです。

 もっとも、六本木の夜の街も灯が消えたように静かな夜が続いており、開店後に来てもらっても何も差し障りないですよと、支配人も苦笑していました。

 恵理奈では、南村さんの接客を担当していた、ホステスさんから、話を聞くことが出来ました。

 理香さんという、ホステスさんは、南村さんのことを良く覚えていました。

 足繁く、通っていたそうです。

 研究所の茅場さんを連れて、よく外部の人物たちと、飲みにきていたそうです。

 主な面子は、、ビックゴー投資ファンド代表、剛辰巳、広域指定暴力団山王組若頭、玉原組長、玉原一男。

 剛辰巳は、今、ベンチャーの寵児としてもてはやされる、ビックゴー投資グループの黒幕です。

 派手なパフォーマンスと強引な企業買収の手法が話題となり、毎日、テレビのワイドショーを騒がしています。

 また、玉原組の玉原といえば、泣く子も黙る、暴力集団、山王組の最高幹部の一人であります。

 経済ヤクザの代表格といわれています。

 その時、飲み代ををいつも払っていたのは、剛辰巳でした。

 その他、闇社会の黒い紳士達の名前が何人も出てきました。

「これは、当たりを引いたかもしれないぞ」

 そういう思いで、二人の課員の頬は自然と紅潮してきました。

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帝都東京最期の日!(9)混沌の中で

akagama / 2007.02.26 11:55 / 推薦数 : 0

 

  (9)混沌の中で

 とにかく、早く、マラリアをばら撒いた、テロリストを捕らえなければなりません。

 また奴らが、熱帯熱マラリアを、ハマダラ蚊をもちいて、ばら撒けば、また、たくさんの犠牲者がでます。

 もうすでに国内では、社会不安が高まっています。

 東京の証券市場は、情勢不安を嫌った投資家の煽りを受けて、大暴落をし続けています

 TOPIXも下がり続けています。

 東京から脱出する人が群れをなして続きます。

 そして、それに対して、避難民の受け入れを断固拒否する姿勢の、隣接県の知事達。

 県境で、東京から地方へ避難しようとする都民と、それをやめさせようとする隣県住民の間で、殺し合いまでに発展するこぜり合いが、あちこちで起こっています。

  そんな混沌の中、警察庁の今泉幸人国際テロ対策課長が、荒川医大の中臣教授をたずねて来ました。

 警視総監を始めとする、警察の最高幹部も、日本を見捨てて、アメリカに逃げて行っちゃったので、彼が、この事件解決を任された形になってしまいました。

 マラリアを使ったテロのデータが、警察庁にはほとんどないので、今泉課長は途方にくれています。

「中臣先生、如何ですか、手がかりはつかめんですか」

 課長は、おいらのいれた昆布茶をずずーとすすりながら、泣きつきました。

「天下の警察庁の課長殿がそんなていたらくでは困ってしまうの。情けないことじゃて」

 中臣教授は、安楽椅子に座り、天井をみつめたまま、答えました。

「いじめんでください、先生。被害発生からすでに二週間、まだ、テロリストからの要求とかは全くないのですよ。いったい何のために犯人はこんなことをしでかしたのでしょう」

「単なる愉快犯でやったわけではなかろう。そもそも、熱帯熱マラリア原虫を、ハマダラ蚊に媒介させて、東京でばらまくなんて芸当をするとなると、それなりの、技術と施設が必要になるからな、実行できる者はサイエンスをかじったことのある、大バカモノに限られる。そうなると、容疑者は大分絞られるはずだがな」

「はあ……。うちには、そういうデータはありません」

「そうかい、じゃあ、我々の持っておる、主要なマラリアの研究者、研究機関のリストを調べてあんたにあげよう。あやしいものがその中にいないかをじっくり、調べてみるが良い。あかがま君、今泉君の手伝いをしてくれたまえ」

「わかりました」

 さっそく、おいらは、テロ対策課の課員の人たちと、マラリア関連の研究所をリストアップして、ひとつづつ調査を開始しました。

 一軒一軒、電話をして、マラリアが紛失していないか、不審な職員はいなかったか、尋ねていきます。

 根気の要る作業ですし、相手が、嘘をつけばそれまでですが、これをまずやっていかなければなりません。

 ほとんどの製薬会社や、大学の研究室からは、予想通り、マラリア原虫の管理には不審な点はないとの、回答でした。

 しかし、ただ一箇所、気になる研究所が見つかりました。

 東京都、大田区蒲田にある、南陽メトロバイオという、民間治験検査会社です。

 二ヶ月ほどに、会社は業務を停止しているはずですが、最近になって、また電気を使い始め、業務停止前と同じぐらい、使い続けています。

 社員は全員解雇したはずなのに、会社の建物は、夜になると電気がついているという話です。

 遠藤とおいらはこれあやしいとにらみました。

 実は、この会社は、以前から他の薬品会社の感染症治療薬の開発の為に病原体の培養、保存を行っています。

 その薬の中には、マラリア治療薬も含まれていました。

「一度この会社を洗ってみましょう。何かわかるかもしれません」

 おいらとテロ対策課の捜査員は、南陽メトロバイオを、調べてみることにしました。

 

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帝都東京最期の日! (8)悪魔の正体

akagama / 2007.02.26 06:44 / 推薦数 : 0


   (8)悪魔の正体 

 ついに、マラリア騒動は、二次暴動まで引き起こされるほどの事態となったのでした。

 この事件がきっかけになり、本当に、この国には、まともな予防薬の在庫がないのだということを東京中の、皆がしりました。
 
 その影響なのでしょうか、インターネットのオークションでは、「マラリア予防薬」がどんどん出品されています。

 ワケワカラン、マラリア封じのパワーストーンとか、お守りグッズも飛ぶように売れてるようです。

 どこまで、予防効果があるのか、とてもあやしいところです。

 また、ワイドショーでは、バカタレント女医の人が、耳学問で身につけた、いい加減なマラリアの予防法をぺらぺらと話しています。

 さて、ところ変わって、千代田区永田町、首相官邸。

 国家的危機を察知した政府首脳達が、集合していました。

 無能な彼らには、この国家的危機を克服する、知恵も勇気も能力もありません。

 これから、自分達の保身をどうするかのためだけの、会議が行われていました。

 官房長官が緊張した面持ちで、現状を報告します。

「阪大微検に協力をいただき、SE36マラリアワクチンを相当数、確保しました」

 竹馬厚生労働大臣が話を継ぎました。

「ただ、まだ、このワクチンの量産は不可能な段階ですので、全都民に投与は出来ません。しかもトライアル中のものですからマラリアに対する抗体ができるかどうか、それに、もはや、すでに流行中の、マラリアの予防にはならないでしょうし。こちらにお集まりの先生方には、今から、接種させていただきますが」

 総務大臣も報告をします。

「皇室の方々はすでに日本を脱出し、海外某所にて休養中ですので問題はないとして、我々の他、与野党の幹部、中央官庁および都庁の要人の方々のみに、ワクチンの接種を行うことにします」

「とにかく、この国を導く立場の我々が倒れてはどうにもならん。できるだけ早く、日本を脱出しなければな。すぐに専用機の用意を頼む」

 一般都民の口には絶対入ることのない、マラリアの予防薬を口に入れたまま、首相は言いました。

 さて、首相以下、与野党の幹部、高級官僚、都庁の幹部は、この会議の終了後間も無く、この「美しい国」を見捨てて、政府専用機でアメリカ、ワシントンD.C.へ向かって飛び立ったのでした。

 東京は、国の指導者が不在となり、指揮系統を失い、機能麻痺をおこした首都になりつつあるのでした。

 治安の維持の為に、東京の街角、あちこちに警官が立つようになりました。

 さて、あちこちの病院で、自分はマラリアにかかったんじゃないかと、心配になった患者さんが診察にきて、外来はごった返しになりました。

 荒川医大も例外ではありません。

 テレビで、もう今の東京では、有効な予防薬は手に入らないのだ、ということをさんざん流してくれたおかげで、予防薬をよこせという患者さんはほとんどいませんが、マラリアの検査をしてほしいという患者さんはいっぱい来ています。

 一般内科の医局員はもう、みんなぐったりです。

「くそう、あかがまのヤツ、寄生虫学教室で、楽しやがって」

 怒る、うー先生。

 とんでもありません。

 おいらは、患者の血液中の、マラリアの遺伝子検査を、徹夜でやっているのです。

 智佳子先生がたしなめます。

「うー先生、しんちゃんも徹夜で、マラリア原虫の遺伝子検査をしてるんですよ。そんなことをいっちゃ可愛そうですよ」

 そんな、内科医局でのやりとりも知らず、おいらは、徹夜で行った、患者血液中のマラリア原虫の遺伝子検査の結果を、中臣教授、遠藤と確認していました。

 患者血中の、マラリア原虫のPCR法による遺伝子の塩基配列が、丸の内線と南北線で発症した全ての患者において、一致していました。

「やはり、人為的に、引き起こされた可能性が高いですね」

 おいらは、遺伝子のデータを教授にみせていいました。

「うむ、偶然が二つ重なれば、もはやそれは、偶然とはいえない。想像はしていたが、大変なことになったぞ。これまで、この国はこのような生物テロを経験したことはないからな」

 

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