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< ただただ哀しい | メイン | 24時間の神話 >

  

    (30)


 

 三階特別病棟は、構造自体が、他のフロアとちがいます。

 このフロア部分だけは、一流ホテルのように、大理石の廊下に、毛足の長い、ふかふかの絨毯がかれています。

 特別病棟には、いま、フソン以外の患者は入院していません。

 要するに、ここは、フソンの貸しきり状態ということです。

 フソン側からは、看護婦も部屋にはあまり来ないでいいといわれています。

 むしろ、訪室すると、迷惑そうな顔をされるので、訪室は一日一回と決まっていました。

 ナースステーションも、二階のナースステーションから来いということです。

 よほど、他人に踏み込まれるとバツの悪いことをしているようです。

 そういうわけで、今、特別病棟にいるのは、フソンたちをのぞけば、この二人だけ。

 少々荒っぽいことをしても、よさそうね、とさとみさんは、思いました。

 それならば、と、さとみさんは、ポケットから、コルトをすっと抜いて、香奈ちゃんに突きつけました。

「じゃまをするのなら、ここで、あなたの人生、終わりにしてあげてもいいのよ」

 コルトを喉元に突きつけられて、さすがに、香奈ちゃんも顔が青ざめました。

 到底、おもちゃにはみえません。

「グラニヤのフソン大統領の病室はどこ?案内して頂戴」

「撃てるものなら、撃ってみなさい。患者さんの病室は教えられないわ」

 香奈ちゃんは、毅然と言い放ちました。

「虚勢を張るのはやめたほうがいいわ。私は本気、銃は本物、本当にあなたは死ぬのよ」

「死んでも、あなたには教えない!」

「ちっ」

 さとみさんは、舌打ちをして、香奈ちゃんのみぞおちあたりに、こぶしをたたきこみました。

「あうっ」

 強烈な一撃をくらって倒れる香奈ちゃん。

 気を失った香奈ちゃんをほおって、さとみさんは、三階の特別病室のドアブザーを、一つ、一つ、鳴らしていきました。

 どの部屋も応答しません。

 しかし、さとみさんは、万能鍵をつかって、ドアを開錠して、誰もいないのを確かめて、隣の病室のドアへと、順番に部屋改めを続けました。

 そして、最後の部屋の前に立ちました。

 ブザーを押しましたが、やっぱり応答がありません。

 これまで覗いた部屋は、使用した気配がありませんでした。

 フソンがいるとしたら……、この部屋しかありません。

 慎重にドアのレバーを引きます。

 ここまでの部屋はすべて、病室の内側から鍵がかかっていましたが、レバーを引いて、動かしてみると、このドアには鍵がかかっていません。

 さとみさんは、コルトをいつでも撃てるように準備して、一気にドアを開けて、室内に転がり込みました。

 ふそん、くたばれ!とばかりに、銃をかまえました!

 かまえたのです……が!

「こっ、これは……」

 どうしたことでしょう。

 部屋はもぬけの殻でした。

 フソンのものらしい病衣が脱ぎ捨てられています。

「……フソンたちは、逃げたの?」

 思わず、独り言が口をつく、さとみさん。

 ショーツ補佐官、フリル副補佐官を失った、フソン一味は、大あわてで、荒川医大から、逃げ去ったようです。

「しまった!逃げられた!!」

 悔しがる、さとみさん。

 はたして、フソン一派はどこへ消えたのでしょうか?


    続きます

 愛のヒトオシヨロシクデス。

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 ちょうど30話!原稿用紙100枚で、まだおわってねーというあかがま史上最長エピソードになりましたので、インターミッションいれます。
 しばらくは、ヨタブログでお楽しみください。
 資料いじりと、ブレーンストームが終わり次第再開です。
written by akagama / 2007.04.20 13:33

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