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   (26)


 藤江さんを挑発して、携帯電話を切った、佐古渉。

 その夜のことです。

 佐古は、グラニヤ高官、ウーチンファミリーを鎌倉材木座海岸にある、彼の秘密の別荘に誘いました。

「さくら」で謀議をもった、五人が再び、佐古の別荘の応接室で、顔をあわせたのでした。

「さくら」では一触即発の雰囲気でしたが、店内での佐古の話を信じ込んだのか、みんなにこにこしています。

 極めて私的なパーティーということで、グラニヤ側、ウーチンファミリー側も、わずかなボディーガードを別荘の周りで張り番をさせているだけです。

「ふふふ、しかし、七百人も殺して涼しい顔か?大したタマだよ、おめえはよ」

 ブチアーノ親分が、佐古の肩を叩いて笑いました。

「あれは、アル・カイダが勝手にやったことでしてね、俺は一切関知していませんがね。でも、放射能爆弾の威力は、フソン大統領も満足でしょう」

「ああ、フソン大統領も喜んでおられたよ。早く我々もあのような兵器が欲しいものだ」

 ショーツ補佐官の言葉に、ブチアーノ親分もうなずきました。

「とりあえず、残金の振込みは先ほど、俺の手下が確認した。というわけで、フソン大統領閣下へのお土産を用意した。おい、コステロ!」

「へい、親分」

 ブチアーノ親分は、コステロが恭しく差し出した、アタッシュケースを受け取り、ショーツ補佐官の前に広げて見せました。

 中には、「太陽の欠片」の詰まった円筒型の鉛のケースがはいっていはました。

「中を改めて見ますか」

 佐古はにやりと笑いましたが、ショーツ補佐官は思わず勘弁してくれとばかりに首を左右に振りました。

「いやいや、この後におよんで、ウーチンファミリーがわれわれをはめようとは、思っておらん。これはいただいていくことにするよ。」

「それはよかった。ところでですね、手付金のダイヤの分は、とりあえず、この不肖、佐古渉が責任を持って立て替えておきました。私のほうで、手付けのダイヤを奪ったあかがまというサルは始末します。よろしいですね」

「リーサン、エンリケの件は、お前の顔に免じて、許してやるよ。ただし、だ。そのサルの、耳と、指を、サルの屍体から、切り取って、俺たちに殺した証拠としてみせること。わかったな?」

「わかりました。それでは、お酒も用意しましたので、今夜は楽しんでいってください。この別荘には部屋が八つありますから、女性をここに呼んでいただいてもけっこうですよ」

「ほお。上げ膳、据え膳とはこのことだな。まずは乾杯だ、酒はどうした、はやく酒を持って来い!」

 コステロの怒鳴り声にあわてて、四人のコンパニオンの女の人が、乾杯の用意を始めました。

 おや?コンパニオンの一人は、あのさとみさんです。

 でも、あほーの四人組みは、気がつきません!
 
 今日は、佐古の接待のお手伝いのようです。

「おい、サコ。お前は飲まんのか?」

 クラブソーダだけが注がれた佐古のグラスをみて、フリル補佐官が怪訝な顔をしました。

「ちょっと、今夜はおそくに車を使う予定があるのでね。

「よしよし、それでは、グラニヤ共和国と、ウーチンファミリーの未来に乾杯だ!」

 クラブソーダを持った佐古以外のみんなはシャンパンを持って立ち上がり、乾杯と、叫びました。

 シャンパンを飲んで数分後のことです。

「な、何だからだが、からだをいうことを聞かん」

 佐古以外の四人は、数分後に、身体の異変を感じました。

 激しい痺れに四人は襲われたのです。


   つづく
 

 

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