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ゲンコツ医院/哀しい旅路(7)

akagama / 2007.03.19 16:51 / 推薦数 : 2

 十数分後、太一が正気を取り戻した時には、後ろ手にしばられて転がされていました。

 厳しい顔で、にらみつける先生。「おい、俺の親父は与党の幹事長だぞ。こんなことをしてただですむとおもってんのか」

「ただじゃすまないってのは、こっちのセリフだ。親父の権力をかさにきて、悪行三昧しやがって。こら、女はどこだ」

「女?」

「しらばっくれちゃあいかん。この雅が全部吐いたんだ。加嶋香織という女を買ったろう」

「ああっ、雅、テメエ。裏切りやがったな」

「若先生、すみません。へたうっちゃいました」

「さあ、女はどこだ!ここでおまえが悪さをしてるのはこの雅がげろってるんだよ」

「香織って女は、しらねえよ」

「まあだ、しらばっくれるつもりか!」

 先生は、太一の顔をポカポカと殴りつづけます。

 太一の顔はみるみるうちに腫れあがってきました。

「まあだ、痛い目にあいたいのか」

 今度は、先生のサッカーボールキックが、太一の顔となく腹となく、全身に炸裂します。

 さすがにこれはききました。

 おもわず、音を上げる太一。

「許して、許してください、これ以上やられたら死んでしまいます。お話します。香織は奥の部屋です」

 先生が奥の部屋のドアを開けるとそこには……。

 逃げられないように手錠を嵌められた女性がいました。

 口には声が出せないように、猿轡をかませられていました。

「あんたが、香織さんかい」

 先生の問いかけに、ぐったりしながらも女性は頷きました。

 香織さんは太一の部屋に監禁されてからは、ろくに食事を与えられなかったようです。

 かなり、脱水症状が見られているので、入院が必要のようです。

 先生は掛川さんに電話をしました。

 これぐらい、証拠が集まれば大丈夫。

 中諏訪太一と、砂川雅は、掛川さんに現行犯逮捕され、留置場行きです。

 二日後、男の子の意識が戻りました。

 今は、大学病院の部屋で、親子仲良く、療養生活を送っているようです。

 さて、拳骨医院の診察室では、先生と弁護士さんが話しています。

 香織さんの借金の問題のことです。

 香織さんはすでに法律に定められた分の、お金は払っていて、過払い分のお金を返してもらう請求をすすめる事になりました。

 また、香織さんの新しい仕事も決まりました。

 みのる先生のいる荒川医大の医局の秘書さんに欠員がでているので、退院をしたらそこで勤めることになりました。

 母子二人なら、十分生活が出来そうです。

「しかし、もうちょいとあばれたかったなぁ」

「勘弁してくださいよ、先生。警察に先生が連れて行かれたら困るのは患者さんですからねえ。掛川さんもあきれてましたよ」

 たしなめる珠代さん。

「警察かあ。それはおれも勘弁してもらいたいなあ。おとなしくしといたほうがいいかねえ」

 といいつつ、もの足りなそうなゲンコツ先生でした。

    (了)

 

 お忙しい中、何時も御訪問誠に有難うございます。御慈悲の一押しお願い頂ければ誠に幸いでございます。 にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ

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