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    (2)奴隷共の墓場医局


 智佳子ちゃんの、叫び声がなければ、ぼーっと、よそみをして歩いていたおいらは、轢き殺されているところです。

「ばっきゃろうう!どこをみて歩いてやがるんだよおお!」

 ベントレーのドライバーが、窓から顔を出しておいらを怒鳴りつけました。

 それだけでは、気がすまないのか、火のついた葉巻タバコをおいらたちに向かってなげつけます。

 レイバンのサングラスをかけた五十歳ぐらいの男の人です。

 わき見をしてた、おいらも不注意ですが、ベントレーで、駅前のロータリーをぶっちぎる人も相当なもんです。
 
 捨て台詞を残すと、ベントレーの男の人はまた、車を急発進させて、医療センターの敷地の中に消えていきました。

「ああ、怖かったあ」

「あんまり、周囲の景色に見とれるからよ。さあ、私達も医療センターに急ぎましょう」

 おいらは、智佳子先生に背中を押されるように、医療センターの建物に向かいました。

 エントランスから病院の中に入ってみると、中は、とてもきれいです。

 医局の場所がよくわからないので、受付のところにいきました。

 コンシェルジュと、英語で書かれたデスクに、三十歳ぐらいの、イケメンの男の人が座っています。

 おいらたちが、すみませーん、というと、愛想よく応対をしてくれました。

「いらしゃいませ、患者様。今日はどちらを御受診ですか?」

「いえ、荒川医大の内科のものなんですけど、診療支援に来たんですが」

 おやおや、智佳子先生がそう答えるや、コンシェルジュの男の人の表情が、あぁんという表情に変わりました。

 ごみをあさる、野良犬のような汚いものをみるような目つきに変わりました。

「ああ、医者は裏、荒川医大は三階の第一医局」

 あごをしゃくって、さししめしたのは奥のドア。

「す、すみませーん」

 お礼を言って、奥のドアに向かうおいらたちの背後で舌打ちをするような音が、聞こえました。

 何かあまりいい感じはしませんでしたが、おいらたちはだまって、奥のドアから中に入っていきました。

 ドアを開けると、受付のスペースとは、全く趣の異なった薄暗い階段がありました。

 コンクリートむき出しの階段です。

 電球ひとつついてないので非常に暗く感じます。

 階段の手すりには、矢印を引いて、マジックで「第一医局」と書いた。プラスチック板が貼り付いています。

 このかび臭い階段を三階まで上がると医局につくのでしょうか。

 すると、「第一医局」と書いたプレートが貼られた鉄のドアが見えてきました。

 智佳子先生がノックをすると、ぎぎーっと、音がして、ドアが開かれました。

 薄暗い医局の中から、四十歳くらいの、青白い顔をした、先生がぬーっと顔をだしました。 

「あの、荒川医大の内科から、来たんですけど……」

「ああ、聞いてますよ。私、診療部長の和光貢です。循環器科を担当しています。津村智佳子先生と、赤河しんた先生ですね。ようこそ、美多摩医療センターへ」

 おいらたちは、薄暗い部屋を見回しました。

 医局の壁に、男の人の写真が、かけられてられているのがみえました。

「あーっ、さっきの!」

 写真に写っているのは、さっきおいらを轢き殺しかけた、ベントレーのドライバーです。

 胸に勲章をぶら下げて、竹馬厚生労働大臣と握手しています。

「世古山淳一院長ですよ、美多摩医療センターのカリスマと呼ばれています。面識あるんですか」

「いや、面識というか、殺されかけたというか……、ははは」

「現場医師の我々からすれば、天上人ですよ、彼は」

 お忙しい中、何時も御訪問誠に有難うございます。御慈悲の一押しお願い頂ければ誠に幸いでございます。 にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ

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コメント一覧

インチョセンセは苗字から性格が推測できそうですね。
written by トトロ / 2007.03.08 21:50
せんせ。会議お疲れ様でした。病院も3月は決算月ですか?それだと、いつもより厳しいですね。イヤな患者様でも笑顔で応対、って本当にお医者さまはサービス業になってますね。ただでさえ、勤務が厳しいのでお体御自愛ください。

今回の、お話はスリラー的になるような。。。
 マイケルジャクソンのスリラーが聞こえてきそう。
written by J / 2007.03.08 23:15
はい!みなさんするどいですね。

病院も3月決算です!
もう赤字黒字の答えはでてます。シクシクシク。

今回は、ミステリー仕立てでイキマス。
written by akagama / 2007.03.09 08:39

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