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帝都東京最期の日!(10)疑惑の男

akagama / 2007.02.26 22:18 / 推薦数 : 0


   (10)疑惑の男
 
 南陽メトロバイオの、創業は平成二年。

 ニッポンアクト製薬の動物実験施設として作られました。

 平成十年に、ニッポンアクト製薬は、外資系製薬会社に買収されたため、この動物実験施設は売りにだされ、南村三郎という人が買い受け、南陽メトロバイオという会社に変わったわけです。

 南村三郎さんは四十歳。東京大学の微生物学の大学院を終了した後、アメリカでポストドクターとして研究を続け帰国後、間も無くこの会社を始めたということですが、最近数週間姿を隠しています。

 南陽メトロバイオには、副社長に茅場哲也という人がいましたが、この人も目下行方不明です。

 彼らが、姿を消した、詳しい事情はまだわかりません。

 ただ、気になる事実が浮かびました。

 南村さんの一人娘、五歳のちすずちゃんが、マイアミで心臓病の治療を受けているということです。

 移植手術を受けないと助からない、拘束型心筋症という病気で、心臓移植の手術をうけるためだということです。

 手術費用は、一億円。

 二ヶ月ほど前には、業務を停止しなければならないほど経営が苦しい状態だったのに、一億円のお金をぽんと用意できるのは極めて不自然です。
 
 藤江さんと、直方さんというテロ対策課員が、以前、南陽メトロバイオに、勤めていた大森義男さんという男性に会うことが出来ました。

 三十五歳、男性の会計課長です。

 今は、北品川の事務機器販売会社で、経理をしています。

「会社は、研究所としては、ほとんど稼動してはいませんでした」

「仕事が全然なかったというわけですか」

 藤江さんが尋ねました。

 直方さんは、まめにメモを取っていきます。

「まあそうです。社員もほとんどアルバイトでした。彼らがやらされていたのは、ほとんどラットの世話とかウサギの世話ですね」

「それで、よく八年間も、研究所が持ちましたね」

「ええ、私も不思議に思っていたのですが、なぜか、金に困ると社長はどこからか、社員の給料を調達してきましたねえ。あれはいったいどこで、稼いでくるんだろういう話を社員の間で、かわしたものです」

「その他に、勤めていて気になったことはありますか」

 藤江さんの問いかけに大森さんは、ああそういえば、と前置きして、

「南陽メトロバイオの研究室には、南村さんと副社長の茅場さん以外に社員が入れない、鍵つきの管理区域がありました」

 また、生物学の学位を有する、南村さんは、マラリアの原虫にたいする知識もあるようです。

「すごく、くさいな」

「南村の行方を知りたいもんだな」

 二人の課員は、南村さんに焦点を絞りました。

 南村さんは、茅場さんを連れて、よく六本木のクラブに出入りしていたようです。

 二人は、贔屓の店の一つに行きました。

 六本木三丁目、「倶楽部恵理奈」という、かなり高級なお店でした。

「仕事もろくにしていないのに、ずいぶんと高い店に通ってたんだな」

 店の支配人にはあらかじめことわりの電話をいれて、開店前に関係者に店に来てもらうようにお願いしました。

 お店が始まってからだと、他のお客さんに迷惑をかけるかもしれないと考えたからです。

 もっとも、六本木の夜の街も灯が消えたように静かな夜が続いており、開店後に来てもらっても何も差し障りないですよと、支配人も苦笑していました。

 恵理奈では、南村さんの接客を担当していた、ホステスさんから、話を聞くことが出来ました。

 理香さんという、ホステスさんは、南村さんのことを良く覚えていました。

 足繁く、通っていたそうです。

 研究所の茅場さんを連れて、よく外部の人物たちと、飲みにきていたそうです。

 主な面子は、、ビックゴー投資ファンド代表、剛辰巳、広域指定暴力団山王組若頭、玉原組長、玉原一男。

 剛辰巳は、今、ベンチャーの寵児としてもてはやされる、ビックゴー投資グループの黒幕です。

 派手なパフォーマンスと強引な企業買収の手法が話題となり、毎日、テレビのワイドショーを騒がしています。

 また、玉原組の玉原といえば、泣く子も黙る、暴力集団、山王組の最高幹部の一人であります。

 経済ヤクザの代表格といわれています。

 その時、飲み代ををいつも払っていたのは、剛辰巳でした。

 その他、闇社会の黒い紳士達の名前が何人も出てきました。

「これは、当たりを引いたかもしれないぞ」

 そういう思いで、二人の課員の頬は自然と紅潮してきました。

 お忙しい中、何時も御訪問誠に有難うございます。ガチでがんばります。一押しお願い頂ければ誠に幸いでございます。

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