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(9)
その時、慶子ちゃんの叫び声がしました。
「おじちゃん、悪いヤツラが上がってきてる!」
あわてておいらたちは、外を見ました。
下の斜面から、昨日の盗掘者の連中が、猟銃を構えて昇ってきます。
ひょっとすると黒岩の屍骸を見つけ、逆上しているかもしれません。
ここに、お宝が隠されていると、邪推している可能性もあります。
おいらたちは丸腰です。
全面対決は避けたほうが無難です。
おいらは立ち上がりました。
「伊助さん、まずいですよ。あいつら、猟銃を持ち出してきてますよ。すぐ、ここを出ましょう」
「わかりました。ぶうそうな時代になったものです。山小屋の裏口から、抜けられます。下斜面からは死角となっていますから、そこから逃げられますよ。でも、その前に……」
伊助さんは、虫卵を入れた、水甕を土間に叩きつけました。
虫卵の入った水が土間にぶち撒かれます。
虫卵は、水のないところでは乾燥してしまい生きていられないそうです。
伊助さんは、これ以上の犠牲者は出したくないと思ったのでしょう
おいらたちは、裏口から抜け出し、取り急ぎそこを外から、釘で打ち付けてそう簡単には、外にでられないようにしてやりました。ゴンが先頭に立ち、おいらたちの拠点の作業小屋に急いで戻ります。
盗掘者の連中にはこの場所は知られているので、作業小屋から電話をかけ、村役場に車を至急回してもらうように段取りを取りました。
二時間後、貴島さんが、こんどはランドクルーザーで迎えにきました。
伊助さんと出会い、南仏棘口線虫の謎も全て判りました。
もうこんなところに長居をする理由なんてありません。
おいらたちは、貴島さんの巧みな運転で、村役場に戻りました。
ゴンのことも、伊助さんのことも到底、信用されるわけがありませんから、遠藤は適当な説明をして、役場の助役さんを納得させたようです。
さて、伊助さんは、南仏棘口線虫のことは、全て遠藤に任せるといいました。
ゴンと一緒に、麓におりて、彫金の仕事を続けるそうです。
慶子ちゃんは、おいらたちと一緒に東京に行くことになりました。
荒川医大の現理事長、越谷六郎さんは、とても人情に厚い人です。
話を通せば、学校のことぐらいなんとかなるだろうと、遠藤も、おいらも信じています。
そして、遠藤は、黒岩の腹から出てきた、二匹の南仏棘口線虫を東京に持ち帰ることにしました。
荒川医大で、こっそり飼育するそうです。
また、外務省と厚労省に死ぬほど怒られなければいいのですが……。
不老不死のことは、誰も信用しないだろうし、信用されても困るし、黙っていような、ということでおいらたちの、意見が一致しました。
さてさて、猟銃を抱えた三人組の盗掘者たちは、今も野呂居山のあちこちを探していることでしょう。
おめでたいことです。
おいらたち三人は、野呂居村の駅から、到着した、上り列車に乗り込みました。
秘境お宝ブームとやらで、テレビの連中が騒がなければ、伊助さんも、ゴンも静かな生活が続いていたはずですが、気の毒なことをしました。
伊助さんの小屋に勝手に入り込んで水を盗み飲み、線虫に食い殺された盗掘者もすこし気の毒ですが、まあ、自業自得でしょうか。
わかれるときに、伊助さんは純銀細工の指輪や、アクセサリーを、いくつかくれました。
名人技がうかがわれる凝った代物です。
香奈ちゃん、ちあきちゃん、ヒヨ子、智佳子先生、亜樹子先生たちには、いいお土産になりそうです。
電車はゆっくり動き始めました。
ホームで助役さん、貴島さん、伊助さんが手を振って見送ってくれています。
やれやれ、明日からまた病棟係です。
現実がまっています。
それではまた。
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コメント
コメント一覧
おもしろかったです。
でも、のつぼ話でアクセス数が上がるんですよね?ということは、のつぼマニアの方が沢山いらっしゃるということなのでしょうね・・。
スミマセン
これ失敗作です。
実はストーリーエディターの見出しには、思いっきり「ボ・ツ」
としるしをつけてるんです。
春野先生ごめんなさい。
寄生虫と不老不死のネタは、星新一先生のショートショートのインスパイアーです。
皆様、期待はずれでゴメンナサイ。
次のお話は、人情悲話です。
そんなに長くないので、読めると思います。
ホントにそう思い込んでいました。
安心して眠れます。おやすみなさーい。
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