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許されざるもの・死の粛清(13)

akagama / 2007.02.17 20:12 / 推薦数 : 3

 

   (13)

 

 国際治療センターでの末期がん患者に対する人体実験のニュースは瞬く間に駆け巡り、全国、いや、世界中の人の知るところとなりました。

 日本イプシロン製薬は、以下の声明文を発表しました。

「今回の、DCA11の人体実験は、現在、行方不明となっている、抗がん剤開発部の熱田貞義が独断にて、国際治療センター腫瘍治療部長、故大和清四郎と共謀の上で、行ったものであり、当社としては一切関知いたしておりません。すなわち、当社は、DCA11とは何の関係もございません。尚、このたび、DCA11の投与により健康被害をうけ死亡した、患者様については、謹んでご冥福をお祈りします」

 毎月二十万の口止め料を患者に支払っておきながら、なんという言い草でしょうか。

 怒りがふつふつとわいてきます。

 なお、カマキリ先生から、亜樹子先生に託された、DCA12は、荒川医大一般内科学教室腫瘍内科学研究グループの手で、臨牀研究をすすめることになりました。
 
 カマキリ先生の、制がんへの情熱は我々が引き継ぐことになったのです。

 きっと、DCA12によって、たくさんのがん患者さんが救われることになるでしょう。

 


 そして、数日後、カマキリ先生の葬儀が後楽園近くの教会で行われました。

 おいら、田熊さん、亜樹子先生、そして、智佳子先生も列席しました。

 カマキリ先生は、奥さんの隣で、永遠の眠りにつくことになりました。

 葬儀からの帰り道、亜樹子先生がおいらに耳打ちをしました。

「おい、あかがま、今日こそはちぎれた糸を結びなおすチャンスだぞ、この機会を逃すと、もうわたしゃ知らないよ」

 おいらはこっくり頷きました。

「それじゃあ、私と田熊はこれで失礼するから、智佳ちゃんとあかがまは二人で帰りな」

 そういって、亜樹子先生は田熊さんとBMWで走り去っていきました。

 あとに残ったのは、おいらと、智佳子先生。

「帰りに、たみやによっていかない? 健君、今、お店に出てがんばっているらしいよ」

 おいらは、おそるおそる聞いてみました。

 智佳子先生は微笑んでいます。

「そうだね、よってみようか」

 団子坂までの道をのんびりと歩きながら、おいらたちはいろんなことを話しました。

「おいら、大和先生のことを、あまりよく思っていなかったけど、本当は悪い人じゃなかったんだね」

「奥さんの遺志をつごうと必死だったんだね。でも、いくら抗がん剤を開発するためだといっても、人を犠牲にするのはよくないよね。しんちゃんはそれが何より許せなかったんだね」

「うん、治療をうけて命を失うようなら、それはもう医療じゃないとおもうんだ」

「しんちゃんは、やさしいね……」

「ところで、いつかの夜、パンとエビアンを差し入れてくれたのは、智佳子ちゃん?」

 だまって、頷く智佳子先生。

 午後の穏やかで暖かな風が、並んで歩き続ける二人をつつんでゆきました。

 
   (了)

 
      Themes for these stories

  It's a long road (MOVIE "RAMBO"/Soundtrack)

    FLOWER REVOLUTION (THE ALFEE/ ARCADIA)

    HEART TURNS TO STONE (FOREIGNER/The Definitive)
 

   約九十枚の、長いお話でしたが、最後まで、お付き合い頂き、誠に有難うございました。

  多謝!!!

 2007-2-17 あかがまより

 お忙しい中、何時も御訪問誠に有難うございます。最後の一押し頂ければ誠に幸いでございます。 にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ

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コメント一覧

お疲れ様でしたー。
実際こんなことがあったら怖いけど、自分の近くにも危ない橋を渡っているDrがいるかもと思って読むとオモシロイですね。
後編はエッセンスもストーリーに程よく溶け込んでいました。エラソー。

亜樹子先生の元カレって田熊さん?
何処でうー先生が出てくるか楽しみにしていました(笑)

written by トトロ / 2007.02.17 22:15
オツカレサマデシター!
そのとーりでーす。田熊さんが元彼でーす。
次は、イヨイヨのつぼカンタービレ!でーす。
うー先生は少しお休みします。ゴメンナサイ。
written by akagama / 2007.02.17 22:25
お疲れ様です。
ハードボイルドあり、医療倫理にもメスを入れた力作ですね。それにしても、よく次々とストーリーを思いつかれますね。次回も楽しみにしています。
written by 春野ことり / 2007.02.18 22:57
春野先生、何時もお眼を通していただいてありがとう御座います。
誠にお恥ずかしい限りの出来ですが、またよろしくお願いいたします。
written by akagama / 2007.02.19 07:44

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