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(13)
国際治療センターでの末期がん患者に対する人体実験のニュースは瞬く間に駆け巡り、全国、いや、世界中の人の知るところとなりました。
日本イプシロン製薬は、以下の声明文を発表しました。
「今回の、DCA11の人体実験は、現在、行方不明となっている、抗がん剤開発部の熱田貞義が独断にて、国際治療センター腫瘍治療部長、故大和清四郎と共謀の上で、行ったものであり、当社としては一切関知いたしておりません。すなわち、当社は、DCA11とは何の関係もございません。尚、このたび、DCA11の投与により健康被害をうけ死亡した、患者様については、謹んでご冥福をお祈りします」
毎月二十万の口止め料を患者に支払っておきながら、なんという言い草でしょうか。
怒りがふつふつとわいてきます。
なお、カマキリ先生から、亜樹子先生に託された、DCA12は、荒川医大一般内科学教室腫瘍内科学研究グループの手で、臨牀研究をすすめることになりました。
カマキリ先生の、制がんへの情熱は我々が引き継ぐことになったのです。
きっと、DCA12によって、たくさんのがん患者さんが救われることになるでしょう。
そして、数日後、カマキリ先生の葬儀が後楽園近くの教会で行われました。
おいら、田熊さん、亜樹子先生、そして、智佳子先生も列席しました。
カマキリ先生は、奥さんの隣で、永遠の眠りにつくことになりました。
葬儀からの帰り道、亜樹子先生がおいらに耳打ちをしました。
「おい、あかがま、今日こそはちぎれた糸を結びなおすチャンスだぞ、この機会を逃すと、もうわたしゃ知らないよ」
おいらはこっくり頷きました。
「それじゃあ、私と田熊はこれで失礼するから、智佳ちゃんとあかがまは二人で帰りな」
そういって、亜樹子先生は田熊さんとBMWで走り去っていきました。
あとに残ったのは、おいらと、智佳子先生。
「帰りに、たみやによっていかない? 健君、今、お店に出てがんばっているらしいよ」
おいらは、おそるおそる聞いてみました。
智佳子先生は微笑んでいます。
「そうだね、よってみようか」
団子坂までの道をのんびりと歩きながら、おいらたちはいろんなことを話しました。
「おいら、大和先生のことを、あまりよく思っていなかったけど、本当は悪い人じゃなかったんだね」
「奥さんの遺志をつごうと必死だったんだね。でも、いくら抗がん剤を開発するためだといっても、人を犠牲にするのはよくないよね。しんちゃんはそれが何より許せなかったんだね」
「うん、治療をうけて命を失うようなら、それはもう医療じゃないとおもうんだ」
「しんちゃんは、やさしいね……」
「ところで、いつかの夜、パンとエビアンを差し入れてくれたのは、智佳子ちゃん?」
だまって、頷く智佳子先生。
午後の穏やかで暖かな風が、並んで歩き続ける二人をつつんでゆきました。
(了)
Themes for these stories
It's a long road (MOVIE "RAMBO"/Soundtrack)
FLOWER REVOLUTION (THE ALFEE/ ARCADIA)
HEART TURNS TO STONE (FOREIGNER/The Definitive)
約九十枚の、長いお話でしたが、最後まで、お付き合い頂き、誠に有難うございました。
多謝!!!
2007-2-17 あかがまより
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コメント
コメント一覧
実際こんなことがあったら怖いけど、自分の近くにも危ない橋を渡っているDrがいるかもと思って読むとオモシロイですね。
後編はエッセンスもストーリーに程よく溶け込んでいました。エラソー。
亜樹子先生の元カレって田熊さん?
何処でうー先生が出てくるか楽しみにしていました(笑)
そのとーりでーす。田熊さんが元彼でーす。
次は、イヨイヨのつぼカンタービレ!でーす。
うー先生は少しお休みします。ゴメンナサイ。
ハードボイルドあり、医療倫理にもメスを入れた力作ですね。それにしても、よく次々とストーリーを思いつかれますね。次回も楽しみにしています。
誠にお恥ずかしい限りの出来ですが、またよろしくお願いいたします。
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