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さて、多発脳梗塞で意識不明の状態が続く大御所。
神経内科病棟で相変わらずの療養中でゴザイマス。
主治医は、神経内科教授の荒瀬教授ですが、日陰助教授も副主治医として、診療にあたっているわけでございます。
「日陰先生、奥様が病状をお聞きしたいということですが」
六階北神経内科病棟の看護長が助教授に連絡してきました
「おいおい、昨日、奥様に説明したばかりだよ」
怪訝な表情になる助教授。
「内縁の奥様だそうです」
どうもオメカケさんのようです。
「ほんとうに内縁関係の方か確認してくれるかなぁ? 」
確か、教授は離婚調停中で、新しい恋人と暮らしているという噂は聞いたのですが、どうやら今一緒に暮らしている女性のようです。
しかたがないので、病状説明をしました。
さて、次の日、また、病棟看護長が助教授を呼びました。
「フィリピンから、息子さんと、そのお母様が病状を聞きたいといらっしゃっております」
「ええっ? フィリピン? 息子さん? 」
二十年前、南日暮里のフィリピンパブでダンサーをやっておられた女性と、教授の間に生まれた男の子が、認知証明書を持って病院に元ダンサーのお母様と病状説明を求めてやってきました。
しかたがないので、病状説明です。
また次の日、
「日陰先生、沖縄から、生き別れのお嬢さんだという女性が、認知の公的書類をもって病状説明を求めてやってきましたが……」
「……」
日陰助教授の、憂鬱をよそにすやすやと意識不明の状態を続ける、大御所。
「いったい、この大御所には何人の親族がいるのだろう」
もし、教授が、ステルベンしかけたときのことを考えると、いやでも常用中の抗うつ剤の量がふえる、日陰助教授なのでした……。
お忙しい中、何時も御訪問誠に有難うございます。一押しお願い頂ければ誠に幸いでございます。
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