発達障害の当事者のニーズは現実的な問題解決である。世間の多数派のように、「大変ですね」と話を聞くだけでは満足しない。
特にジャイアン型ADHDの場合は「金銭的な得があるかどうか」に関わる相談が多い。
だから私の外来での相談内容は実はケースワークの部分が大きく、PSWと共同作業で現実的な解決を目指すことになる。
本人のニーズが現実的実際的であるだけでなく、ジャイアンのケアは「現実的な表面的な実績から自己評価を改善して中心志向からの自己突っ込みを軽減する」しか治療の決め手が無いことがほとんどであり、主治医として私自身も遮二無二本人の社会参加を目指すことになる。
具体的には精神障害者の「就労移行支援」等のサービス、職業訓練校や障害者職業センター、ハローワークの障害者窓口、精神障害者地域生活支援センター、発達障害者支援センター等との連携をフルに活用して環境調整を行う。
実際私の外来では多くのジャイアン氏やAS氏が職業訓練校や就労移行支援から就労継続支援などのサービスを活用して社会参加をどんどん進めている。
訓練校で資格を取ったり、実際に就労継続支援(旧福祉工場)で収入を得たりする中で、自己評価を改善し自信を回復することがジャイアンとしての真の回復である。
というようにうまく行く人も多いが、反対にいろいろつべこべ言って実際の社会参加へのプロセスを自分で進めようとしないジャイアン当事者も多い。
病気そのものを言い訳にしたり、同居の親族が居る場合にはその親族のケアが言い訳になることが多い。
家族のケアが言い訳になるケースは、よく見れば「共依存」となっていることが多く、「この家族のせいで自分はストレスを受けて大変である」と言い続ける割にはその家族をいざ自立させようとすると何だかんだ抵抗するので本人の依存性がはっきりする。
「本人を困らせる家族がそのたびに変わる」、「本人のカルテを作ることを提案すると急に家族の問題が解決したりする」等の現金なケースもある。「代理型ミュンヒハウゼン症候群」という例だ。
「いろいろ言っているけれども、結局は自分から動くことへの不安、責任を取りたくないだけのこと」ということがジャイアンの場合は非常に多いのだ。
この正反対の状況が「現実的な逆境」である。「自分のせいで無い状況のせいで不幸となり、立ち向かって攻撃性を出してもかえって本人は支持され同情される」という状況は実はジャイアンにとって垂涎の的なのだ。(そのために病的な思い込みや妄想などでこの被迫害状況を作り上げることも実際多く見られる)。
この「自ら前に進もうとしない」一群について、最近私は「主治医としての私の存在自体が依存を招いている」可能性を考え、強引に治療関係を一時断ち切ることも必要なのではないかと考えている。
あるいは始めから「3年で治療の一区切り」等と決めておいて、ある程度の治療への緊張感を維持することが必要ではないだろうか?
実際あまりに依存がひどくなったので「2年間別の主治医でやってみなさい」ということを試みたケースもあるが、このケースは最近戻ってきて、治療関係をうまくリセットすることに成功した。
特に「ケースワークで本人の個人的な難問に答えを出す」形で関わってきたケースには、結局私の存在は「答えを出す人」で、こともあろうに丸投げする対象になっている可能性が非常に大きい。
本人が自分で考えきれるようになることを目標として「実習」として手本を見せてきたつもりであったのだが、気がついてみると本人は自分で考えようと全然していなかった。
(これは私自身ジャイアン的に仕切っていい気になっていたことの結果ではあるのだが)。
外来カウンセリングの枠組み自体に「自己責任」を持ち込むという発想である。
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