ASは「理解」を例外なく当たり前に求めることが多い。
隠すことはむしろ少なく、自分から診断名や自分の大事なことをオープンにして、関わる全ての相手に理解を求める。
あるASの当事者が障害者施設の中でカミングアウトを希望し、私が相談に乗った。本人の中にもカミングアウトへの不安と理解を求める思いが交錯し、迷っていた。
理解を求める思いは非常に強く、実際より小さい施設で実験的にカミングアウトを試みたときには本人に精神的な成長が見られた。
しかし今度は規模も大きく、いろいろな人が出入りする環境で、より世間に近い。実際にカミングアウトしたとして、それが原因で周囲の職員や当事者が疎遠な態度を取るようなことがあれば、理解を求める分だけダメージは大きくなる。
ASの世界理解には、「相手の都合を考慮しない」という特徴があるように思う。自分のほうから見た世界だけで方針は決定され、「相手がどう受け止めるか」についての選択の余地が無い思考になっている。
このことは近い立場の助言者がきちんと本人に説明する必要がある。
そこで私が考えた方法は、「許可制カミングアウト」という方法だった。
まず障害者施設なので職員は無条件に理解をお願いする。
次に周囲の当事者については、職員から個別に本人の障害の理解に協力する用意があるかどうかをあらかじめ確認してもらい、「理解への協力の余裕や用意がある」とOKを取れた相手にだけカミングアウトするという方法だ。
他の障害の当事者も、それぞれの事情があり、他の障害者のケアに協力する余裕が無い人も当然居るだろう。そういう相手にも一律にカミングアウトして、「理解を強要する」ことは出来ないということは、本人も納得することに成功した。
「理解」についても、当然相手の事情や都合を考慮するべきであるという、発達障害当事者のほうから理解、譲歩するべき問題である。
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