多彩な身体症状に苦しむジャイアンを助ける方法は、ジャイアンの本性に反した依存を止めて合理的強迫的な本来の立場に戻るという比較的単純な考え方だ。
しかし実際の治療の中で、本人が治療自体に抵抗するようなことがよく見られる。それは「自立への不安」だと私は思う。
さまざまな理由をつけて共依存を続けることを正当化し、やっぱり自立はできませんと回復に自ら抵抗する。
もともと「砂漠のライオン」はジャイアンの古巣とも言うべき場所で、そこへ戻るのに何の抵抗があるのか?
答えは、「依存の楽さを知ってしまった」ということだ。
依存の状態は、自覚されないひずみにより身体症状が出るほかは、精神的には依存相手に「丸投げ」出来て、結果の責任も負わなくていい。
ジャイアンが子供のころから暗がりを怖がり、鬼など超自然的な存在を怖がる根源的な不安をもこの依存は覆い隠す。
従って、依存から脱してもとの自立に戻るということは、「依存のおかげで一時忘れてこられた不安に再度直面する」ということを意味し、ケースによってはとんでもない不安の原因になるだろう。
特に幼児期から共依存の中で生きてきたようなケースは、事実上始めて自立することになり、これまで体験したことのないような不安を味わうことになる。
ぬるま湯に慣れた体を冷たい水にさらすのは抵抗が生じるのは当たり前だ。
依存の本当の恐ろしさは、その一時的に見かけ上不安を解消してしまう麻薬的な作用そのものから来ているのだ。
治療者として私に出来ることは、「自立するしかない」という本当のことを突き付け続けながら、ひたすら自分から本人が動くのを待つことだけだ。
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