前述の「言語性IQ >> 動作性IQ」 のケース(言語性優位型と呼ぶことにしよう)に見られる認知と思考・行動の一つの大きな特徴は、「現実的想像力の不足」である。

 例えば将棋などのゲームでは、「自分の指した手と次に相手が指すであろう手、その次に相手は・・・等」と対局の流れを「読む」ということをする。(実は私は相手の手の意図が読めないので単純な駒取りを見逃して飛車を取られたりしてよく負けるのだが)。

 これと同様に、対人関係や社会組織の動きなどにも「自分がこう行動すれば相手はこう」というこれからありうるであろう経過を想像することが行われる。

 上記の「現実の成り行きがこうなるだろう」ということをいろいろ想像する能力を「現実的想像力」と呼ぶことにすると、言語性優位型の人はこれが特に苦手になっていることが多いのだ。

 例えば「先延ばし」の場合でも、「遅れてしまったではあるが、それなりに現実的に解決する」という選択肢の想像が出来ないことで、事態はさらに悪化する。

 逆に言えば、「今日やるならば何で昨日やらなかったか?」というような厳しい自己突っ込みのため、「問題を丸ごと考えること自体を先延ばしにしてしまう」というパターンを繰り返して居るうちに、現実的な「次善の解決」を考えること自体しなくなるという解釈も成り立つだろう。

 行き着く先は、言語性の高い能力を駆使して、「***だから現実に行動しなくてよい」「***だから現実に行動する意味が無い」という立派な理論を構築することになる。現実からのフィードバックの非常に乏しい「引きこもりの理論」の完成である。実にさまざまな理屈がこの引きこもりの正当化に利用されるのは驚きだ。

 ジャイアンは本来、対人関係では直感的には重症のKY(空気が読めない)であるが、何故か自分に有利不利になることだけは感じ取れる。(これを私は「状況理解の非対称性」と呼んでいる)。周囲をよく観察して、このジャイアン独特の感覚をうまく使えば、少なくとも想像の中では将棋の「読み」のような計算が可能だ。

 (私はもっぱらそれを使って仕事をしている)。私自身は成人してから自転車での風来坊生活や海外の一人旅の中で無理矢理に現実の中での体験を積むことを通してこの能力を現実的想像に結びつけることが出来るようになったと思うが、やはり「現実に努力したらうまく行った」という体験が必要だろう。

 逆に言えば、小さい頃に自分で努力して目標を達成して評価され、誉められる体験を積み、「努力家」のスタイルをインストールしておくことがジャイアンにとっては特に重要なのだ。

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