2008.07.12 00:53 |  診療  |  研究  |  その他(医療関連)  |  AS(アスペルガー)関連  |  YANBARU  | 推薦数 : 2

「普通の範囲内」

 思春期の積極奇異型ASのサポートの現場よりの考察。

 ある思春期ASのケースF氏は、学童期までにASの告知と理解を終え、特別支援体制をきちんと利用し、本人のペースで登校や参加する授業等も決められる体制で過ごした。

 思春期にかかり、F氏は急速に中心志向が出てきて、「普通がいい」という意向から主治医が提案する特別支援の体制さえ当初は利用しないで「自分でやってみる」ということだった。

 主治医である私はその方針を尊重し、本人が出来るところまで「普通」の線にトライすることを学校側に説明、本人の試行錯誤のプロセスの間は積極的に介入しないようにお願いした。

 全く「普通」の線で努力する間は、F氏は学校では完璧に過ごしたが、過度の緊張から帰宅すると毎日のように情緒不安定になり、不眠、頭痛などの身体症状が激しくなり、一学期も後半となるとついに疲れ果てて休み始め、やむなく一部方針を変更した。

 そのF氏が語った言葉が、「普通の範囲内で認めてほしい」という言葉で、私は感心した。

 本人の「普通」の範囲が、「100パーセント完璧でないと行けない」ところから、少し融通が利くようになったということだ。

 ここで「気の利いた」理解あるベテランの先生が関与できれば、上記の事情をよく理解して、「本人に実際上はかなり特別に対応しながら表面上は特別でなくごく普通に」と接することが出来るはずだ。

 もしもそうできれば本人の試行錯誤のプロセスを微妙にサポートして、その後の本人の人生の基本形を見出す非常に良いチャンスを提供することが可能となる。

 実際のF氏の経過は実は正反対の状況になりつつあるのだが。

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