2008.03.27 23:52 |  診療  |  研究  |  その他(医療関連)  |  ADHD関連  |  AS(アスペルガー)関連  |  YANBARU  | 推薦数 : 6

人の近さ

 ASの人に共通して感じるのは、「人を非常に近く感じていて、人を無視出来ない」という特徴だと私は思う。

 例えば広い体育館で、反対側の端に一人の人が居ても、その人のことを意識しないことは難しい。ADHDが、すぐ近くに人が居ても平気で自分ひとりの世界に入れるのと非常に対照的だ。

 ASの世界では人が近いのが当たり前なので、相手がADHDでも多数派でも、ASの距離感で接してこられると相手は「距離を詰められている」と感じる。

 特にADHDは本来猫的に自分ひとりのテリトリーを大事にするので、至近距離に踏み込んで来られるとかなり窮屈な状態におかれることになる。

 まして愛着の対象となった場合には、相手もこの近い距離で居続けることを求めるので、必然的に「支配的」という印象を与えることが多い。

 多数派の「重要性に反比例した柔軟な距離の感覚」や、ADHDの「それぞれ別々のテリトリーの主として相互に尊重しあう距離感」とは、対人関係の根本的な捉え方からかなり違うということをお互い認識する必要がある。

 私がよく家族やパートナーの人にASの世界を想像してもらうのに使う説明の一つに、「2メートルの距離に居る人が20センチのところに居ると感じると想像してみましょう」というのがある。至近距離から見られれば、何か意図があるようにも思えるし、無視するのは非常に困難だ。

 積極奇異は「自分に相手を引き寄せて近い」、対して受動型は「自分が相手に擦り寄って近い」という意味で「人の近さ」がASの人の根本特徴であると私は思う。

 そういう意味では、どんなに人が近くにたくさん居ても、一人の世界に入れて、その意味では人に執着しないADHDがかえって非常に「自閉的」であるとも私は思う。

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