井戸の住人のことは井戸の中でやってもらうことにして、ジャイアンの理解の試みに戻ろう。
甘やかされたジャイアンはさながら、誰も居ない砂漠の真ん中の岩山の頂上に立って「俺はこんな高いところに居る、一番だ」とただ一人叫び続けているようなものだ。
甘やかされたジャイアンにも、周りに誰も居ないことはうすうす感じるのだが、「自分は高いところにいるのだから気にしなくて良いんだ」と自分に言い聞かせ続けながら目をつぶっている。
少し苦労をすると、周りに誰も居ないことが見えて自分が孤独であることを考えざるを得なくなる。そうすると今度は「こんなところに居てどうなる」という根本的な合理的な自己突っ込みのブリザードに襲われ、砂粒をいやと言うほど叩きつけられ続けることになる。
遠くの山に自分よりも少しでも高い位置に居そうな人を見つけると、「あの山は自分の立っている山より低いんだ」と無理やりの証明を試みたり、目をつぶって空想の世界に逃げ込んだりしなくてはならない。
自分が何か失敗してごめんなさいを言うようなことがあれば、まっさかさまに山のふもとまで転落する(から言えない)。
本当にさびしくなって、「誰かに本当に理解されたい」と望み、頂上の孤独の無意味さを嫌というほど味わった後に、不安でぼろぼろになりながら自ら不毛の岩山を降りることが唯一の救いだ。
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