合理的なADHDが実にさっぱりと「人にこだわらない」(例えば嫉妬心が無い等)のに対し、ジャイアンは特にASの人に対して「放って置けない」「離れられない」「引き寄せられる」感情が確かにある。

 私はジャイアンとASの違いについて診断分類を突き詰めて考える作業の中で、この感情(衝動)について考えてきた。

 現段階の結論は、これは「面倒を見たい衝動」とでも呼びうるような衝動である。いくつかの複雑な感情が入り混じって、渾然一体となったような非常に複雑な感情だ。

 この衝動には、①好奇心、②仕切りたい(コントロールしたい)③守ってあげたい、④依存したい、の各側面があり、なおかつ「このうちのどれか」だろうと特定しにくい特徴がある。

 例えばASとい存在は不思議極まりなく、特に頭の非常にいい高機能のASの人は孤高・優秀でしかも謎めいて鋭い思考力などを持っており、ジャイアンはこういう人に「目が無い」。非常に好奇心を持つ。

 またジャイアンは「仕切る」ことが好きで、簡単に「行動が読めない」相手を見るとコントロールしたくなる。

 ASの人はジャイアンから見ても、人生に不器用で頑なで一途で純粋で、世間の薄汚れた悪巧みから「守ってあげなければ」という衝動を起こさせる。

 上記の3つと方向性は一見異なるが、実は並存して混じり合っていることが多い「依存」感情がある。これはジャイアンの不可解な行動を理解するのに非常に重要な要素だ。

 ジャイアンは「答えを出してくれる」ものや人に依存する。ASは明確な自分なりの答えを持っていて、その答えを持っているところにジャイアンがひきつけられる。

 ASに依存することは、「自分で責任を負う」大きな不安から逃れることを可能にする。うまく行かないことがあっても、「自分の責任」として自分を責めなくて良い。

 ジャイアンに内在する強烈な自分自身への「自己突っ込み」をかわすためにASへの依存が有効なのだ。

 本質は「依存」でありながら、相手の世間的な不器用さをサポートする名目であったり、一見ACとも見まごうような「おせっかい」であったり、好奇心で弄くり回したり、ジャイアンのこの衝動は非常に強く、複雑で「ぐちゃぐちゃした」ジャイアン独特の行動様式を形作る重要な要素となっている。

 実はASにも非常によく似た「ちょっと駄目なADHDを放っておけない」衝動があるのだが、その違いはまた別のところで述べよう。

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 ジャイアン(自己正当化型ADHD)と受動型ASと自己愛性人格障害は似ている。正確に言えば、私は自己愛性人格障害というのは実際にはほとんどジャイアンと受動型ASの人(を発達障害と違う角度から見たもの)ではないかと思っている。

 「人格障害」とは成人期に「病気」や「環境に対する反応」でなく、「性格」としてあるというわけだから、発達障害は当然そう診断されうるだろう。

 ただいつも私が強調するのは、「一横断面を見て人格障害と言ったところで、それは分類表に当てはめただけのことで、治療上の多くの情報は得られない」と考える。

 発達障害と考えれば、もともとの脳の働きの問題であり、また別のさまざまな特徴を治療に使える点が役に立つ。

 だから、自己愛性人格障害といわれた人がASやジャイアンであればASやジャイアンとしてケアしたほうが方針は立てやすいし、また家族などの周囲の人の対応も考えやすい。

 実際問題ASとジャイアンを除いた自己愛性人格障害というのがあるのかどうか? 実は私はまだそういう症例に会ったことがない。

 実はもっとポピュラーな「境界性人格障害」でも同じようなことが言えそうだと思っている。

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2008.01.14 11:54 |  診療  |  研究  |  その他(一般)  |  ADHD関連  |  AS(アスペルガー)関連  |  その他  |  YANBARU  | 推薦数 : 7

ジャイアンは痛みに弱い

 ジャイアン(自己正当化型ADHD)は万事大げさであるが、特に痛みには弱いように思う。

 小さいころから、ちょっとした火傷や切り傷などでも、手当てをしてくれとしつこい。年をとっても血圧にこだわったりする。

 ただ予防接種の注射だけは、おそらく(目の前で他の子が泣かなかったら褒められるのを見るからであると私は思うが)我慢するジャイアンは多い。

 ジャイアンはもともと不安が強く、また表面的な現象だけが認知され、その「意味」までは考えが及ばない。

 だから「痛みはあるがなぜ痛いか分からない状態」ということになり、不安が強くなるのだろう。

 また、「親を独り占めしたいということで手当ての形でかまってもらう口実になるから」というのもあるだろう。

 思春期のケースでリストカットなどの自傷行為や刺青にこだわるケースは、一種の「解離」下にしているケースもある。基本的には「痛いことが嫌い」なのがジャイアンである。

 他の不安が強く、また医療サービスに文句をつけることも多いので、歯科に行けない人や先延ばしで痛くても放置するケースも別の意味では多いのだが。

 痛みをまったく感じないかのように見えることの多いASとの大きな違いのひとつである。

 

 

 

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 ADHDが先延ばしをする最大の理由は、自分で自分に「何で今まで手をつけられなかったか?」とか、「何で昨日は休んだのか?」などの非常に手厳しい「自己突っ込み」をするからである。

 例えば長期の休みの後に、昼夜逆転が直せず、一週間くらい朝起きられず休んだとする。次の週は朝起きても、「何で先週来なかったと聞かれたらどうしよう」という抵抗があって休んでしまう。これで先延ばしが長期化して問題が拡大する。

 ADHDは自分にも人にも一番きつい突っ込みを入れるのだ。世間も厳しいが、それ以上にADHDの自己突っ込みは厳しい。

 ジャイアンは人にだけ厳しくて、自分のことには話をそらしてり誤魔化したり、時には病気になったりして目を向けようとしない。表面上は自己突っ込みをしているとはとても見えないだろうが、実は(少なくとも私の場合は)自分の突っ込みが一番きついと思う。

 ASの人もジャイアンの外見と似て自己突っ込みはしないように見える。実際のところ心の中はどうなのかは聞いて見なければ分からない。

 ADHD(特にジャイアン)のACの極端な自己評価の低下や、ADHDがずばずば言ったときの歯に衣着せぬ発言、時には強迫症状などがこの自己突っ込みに関係していると思う。

 ADHDを理解するうえで大事なポイントである。 

 

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 ASの愛着の問題はジャイアンの「非を認められない時の過剰反応」「受動型ASの責任転嫁様見える認知と行動」と同様、深刻だ。いずれも周囲の人から見れば理解不能の不合理で不可思議極まりない行動と映る。

 しかし私は多くの同じ脳の特徴を持った人から話を聞いてきた。その結果そのいずれも、「脳の働きから直結して出てくる認知と行動である」ことが分かった。2歳でも、大人でも、基本的に起こっている現象は同じなのだ。

 またジャイアンやASの本人から話を聞いて本人の問題に説明をつけたときに、本人が幾分楽になること、時には劇的に囚われていた問題から脱出するケースも見てきた。

 例えば受動型ASの人は、周囲の人からのアクションに対して受身でしか動けない。自分が変わろうと思う人にはそれが最も辛い事実だ。

 しかしその脳の働きの本当のことを見切った後には、「環境(周囲の人を含む)に働きかけて間接的に自分を動かす」という困難であるが一つの可能性は見えてはいる。

 具体的にどうするかのマニュアルまでは私もまだたどり着いていないが、少なくとも「本人および周囲の重要な関係者がASについて理解する」というステップは可能だ。

 その後どんな解決があるかは保障は無いが、とりあえず「発達障害のカミングアウトと専門家による説明」まではやって見たいと思う。

 「まず第一歩はその見かけ上不可思議な認知と行動が脳の働きから来ていたことであることを理解すること」が本人にも周囲の人にも重要なことだ。そこから先は、霧の中を手探りで進む作業を少しずつ続けていこう。

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2008.01.01 01:37 |  診療  |  研究  |  その他(医療関連)  |  ADHD関連  |  AC、人格障害関連  |  その他  |  YANBARU  | 推薦数 : 10

元旦

 昔は「寅さん」だったが、最近は「がばい婆ちゃん」が年末の定番になった?

 寅さんもがばい婆ちゃんもどちらもジャイアンだろうか? ミツオとアキヒロは間違いなくノビ太だろう。
 「チリトテチン」は非常に面白い。若いジャイアンACが落語家という環境で成長していくドラマだ。適度に注目もされるが、権威があるわわけでもないので、害にもならない落語家という環境はジャイアンには結構適していると思う。

 どうやら私のライフワークは世間にたくさんいるジャイアンの面倒を見ることなのかなと考えつつある。(ASはあくまでも客観的に道を示すという形で関わるので)。

 本年も発達障害の可能性を少しずつ皆さん一緒に考えていきましょう。
 2007年 元旦
 

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