精神疾患に見える発達障害シリーズ⑤
-- ボーダー(境界性人格障害)に見える受動型AS
受動型アスペルガー症候群(以下AS)の人は、小学生のときから「外と内」が全く違う。多くのケースでは学校などの「外」ではほとんど意思表示せず、逆に「内」で愛着の対象である母親などには暴力暴言、理不尽な要求を突きつける。青年期になっても、パートナーの態度に過剰反応して、大人になっても自傷したり、過量服薬したり、説明しないで家出したりする。
この愛着の対象に対する態度は、「愛着」ゆえのASの人には当たり前のような行動である。愛着の対象は自分のすべてを知っていて当たり前であるし、逆に自分は相手のすべてを知っていなければならない。相手は自分のして欲しいことは言葉で説明しなくても分かるのが当たり前で、「何で分かっているのに意地悪をするか?」という解釈となる。
自傷や大げさな暴力などを伴う場合に、表面上「境界性人格障害」という診断になりうる。
「AC(アダルトチルドレン)」というのにも表面上非常に良く似ている。相手の問題と自分の問題の区別も出来なくなるし、「直接相手にはっきり言えない」ところも似ている。
鑑別は、「自己評価の下がり方」とこの行動が出る相手や状況を注意深く聞くことで出来る。
ASゆえの不安と、いわゆる「見捨てられ不安」は少し違う。境界例やACの場合には、明らかに自己評価が下がり、「自分を罰する」とか「自分を消す」ような自傷の意味があるのに対し、受動型ASの場合はそれほど自己評価が下がっている風には見えない。
またASの場合にははっきり「特定の相手に対してだけ」という特徴がある。
ケアも、受動型ASと診断がつくと、発達障害であるので、「周囲に理解してもらう」とか、「自分の脳の働きに向いた環境に移る」というような考え方となる。
もちろん子供のときからのこだわりなど自閉症的な特徴の聴取も役に立つが、時々自閉が軽く、「対人関係の部分だけAS」という人がいてなかなか見立てが難しい。
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