精神疾患に見える発達障害シリーズ④
アスペルガー症候群のPTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSDは大変なストレスの後で極度の不安や身体症状が続く病気だ。世間では「ストレスケア」を専門とするクリニックもある。
AS(アスペルガー症候群)の人は驚くほど記憶力が良い。特に外傷体験となるような辛い思いをした経験については「刻み付けられる」というほど忘れがたく覚えている。
またASの人はストレスがあると身体症状が出やすい。身体感覚もそうだが、「脳自体が過敏」に出来ているという感じだ。
だからASの人はPTSDになりやすい。ただし、強弁して攻撃的なまでに自分の被害を訴えたりするために、「被害者である」こと自体が疑われてしまうことがある。ひどいときは「クレームをつけてお金を取ろうとしている悪人」というレッテルを貼られることさえある。
「過敏」であるがゆえに、多数派から見たもとの刺激自体は「大したことない」ことを、相手以外の第三者に対し「さも大変な被害を受けたように大げさに訴え続け」、また他方、「ずっと落ち込んでいるかと思えば自分の好きなことは(PTSDなのに)問題なく楽しめる」という見かけが非常に理解されにくい。
多数派に見られるPTSDの場合、原因となった外傷体験については本人もなかなか抵抗があって語れないことが多いが、ASの人は堂々と能弁に語れるということも「PTSDらしくない」ところだ。
いずれにしても、鑑別は自閉症的なこだわりや、対人関係の極端な受動性などで注意深く生活歴を聞けば診断は可能だ。ASの場合にはロールシャッハテストなどの心理検査も有効だ。
精神疾患に見える発達障害シリーズ③
ジャイアンの身体症状
ジャイアン(自己正当化)型ADHDは自分に不利なことや納得できないことがあって、現実的に解決したり、打ち消したり出来ないと、多彩な身体症状が出てくることが多い。
吐き気、下痢、動悸、耳鳴り、ふらつき(浮動性のめまい)、強迫症状などが多いが、一度こういった身体症状が出てくると、この症状自体への予期不安が強くなり、「症状が出たらどうしよう」という不安で引きこもりになったり、飛行機や高速道路の恐怖症(途中で降りられない)になったり、時には「台風恐怖症」の人もいる。(台風で表に出られない時間が続くことに対する恐怖)
私は逆に考えて、こういった不可思議な神経症(不安障害)様の症状を訴える人の大きな部分がジャイアン(残りの大きな部分はAS)なのではないかと感じている。
症状が状況やストレスによって変動したりすることと、前回書いたように「強弁できる」こと、また訴えに情緒的な深刻味があまり感じられないことなどから、診断能力の高い精神科医は「身体表現性障害」と診断するだろう。
カウンセリングなどでストレスの原因を時間をかけて聞いてみると、ジャイアンの特徴は、「周囲のストレスの原因となる人がその度ごとに変動し、この前本人をひどい目に遭わせていた相手だったのが今は問題ない、という風に問題がころころ変わる」というところだ。
鑑別は難しい。ジャイアンは片づけも出来る人が多く、強迫的なので時間にも間に合う。「物が捨てられない」「他者への自分の行動に関して状況理解が著しく不足している」ことを注意深く聞くのが一番大事だ。
私は最初に「ADHD」を告知し、ADHDが理解できたところで、ジャイアンを告知する。そういう順番で説明していくと、本格的にジャイアンであることを自覚して自分で治す形に持ち込めることは案外多い。
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