2007.07.03 00:18 |  診療  |  研究  |  その他(医療関連)  |  ADHD関連  |  YANBARU  | 推薦数 : 21

ジャイアンとヤドカリ

 ジャイアン(自己正当化型ADHD)はヤドカリに似ている。雑食性で根性がありどんな環境でも生きていけるたくましさ然り。ヤドカリには申し訳ないがデリケートで繊細でひ弱な感じではないところ然り。不器用ですぐにつかまり、愛嬌のあるところも共通する。

 いったんカラに閉じこもると強硬でどうにもならない。カラは頑丈で、付け入る隙がない。モラハラの加害者など、「周囲からのあらゆる働きかけを無視する」、「動かしがたい」感じはカラに入ったヤドカリの状態だ。

 中でもジャイアン特有の「インストール」と私が呼ぶ価値観の総換えのような突然の変わり身は、さながら「ヤドカリの宿替え」だ。私はジャイアンのケアを考えるときにヤドカリを思い浮かべる。

 無理やり説得してもカラに入ってしまうばかりでうまく行かない。本当に治す方向で治療の合意がなされている場合は、治療者はひたすら「今のカラが合わなくなる時期」を待ち、「手近にちょうどいい次なるカラがある」状況を作って、そのカラに入ってもらうことを期待する。

 からから出たヤドカリはひ弱で、情けない姿だ。私もそうだが、ジャイアンの本当の姿はカラから出たヤドカリのように不安でいっぱいだ。どんなに重くても頑丈なカラを見つけて常に身に着けていないと生きて行けない。

 ジャイアンが子供の場合、「合理的な理屈を通す」というカラが一番無難だが、直接本人にどうこうしろと言うのではなく、周囲の親同士などの本人にとって利害の大きい重要な関係の中で、その合理的な理屈が実践されているかどうかがポイントとなる。

 ジャイアンにはカラとしての都合の良さが重要なので、「それを使えば大事なお母さんを説得できる」という利便性があるかどうかを年齢が小さくてもジャイアンは鋭く見ている。

 文字通り、ジャイアンにとっては「成長していく過程で周囲の大人がまともな生き方をしているか」が決定的に重要なのだ。

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