ジャイアンは否定されることに耐えられない。だから現実の中で相手の否定的な反応を打ち消せないときには時に空想の世界で相手を消し去ろうとする。
「白昼夢」に近いようなリアルな空想で、時には自分の否定的な態度を示したりジャイアン自身から見て理不尽なことを言ったりしたりした相手を空想の中で残忍な仕方で殺してしまったりする。
空想の中身に罪はないが、時々こんなことを考えている自分がいやになる。結局「復讐」しないでは居られない心理があるとしか考えようがない。
「一番」であり続けたり、「まったく否定されない」など現実の世界ではそもそも不可能であることは分かっているのだが、そういう形で自分の存在を確認し続けないと、「自分自身」を足元に広がる「虚無」の中に見失ってしまうのだ。
「はじめから世界とつながっている」、「自分がほかの人と同じ世界に存在する」ことはジャイアンにとっては当たり前ではない。それ自体を証明し続けないといけないようなあいまいなところに生きていて、実際に時々自分が何であったか忘れてしまうこともあるのだ。
そういう意味では「状況が分からない」ADHDの最重症の状態とも言えるだろう。状況が分からないとは、本人から見れば、自分が何であるかも分からないということになるのだ。
空想で穴埋めしてでも、とりあえず自分の世界に空いてしまった穴をふさがないとその穴から「虚無」が吹き込んできて、たちまちのうちについさっきまで「自分」だと思っていたいろいろなパーツが元のバラバラの状態に戻ってしまう。
ネバーエンディングストーリーに同じような話があったが、その意味ではジャイアンはファンタジーの年齢から先に成長することができないようにも思う。
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