ジャイアンは突然気分や考え方をリセットするような現象が時々あり、私はこれをインストールと呼ぶ。振り返ってみれば私も中学時代などに経験したように思う。
この「インストール」は、「新しいスタイルが役に立つから」「自分に都合がいいから」という原理で起こると私は想像している。
たとえば兄の合理的なやり方が母親に有効と見えればその真似をする。父親の強引なやり方に母親が従えばそのまま真似る。いずれにしても「大事な人に思い通りになってもらうために有効な」スタイルという条件だ。
ジャイアンの認知と行動の基本パターンは、「ずる賢い子供」のイメージで、そのずる賢さから、都合の良いパターンを上に付け加えて成長する。私はこういうプロセスを想像している。
身近に合理的な人がいて合理的な行動が認められる環境で育てば合理的なパターンを都合がいいから身につける。ゴネて通す暴君がいてそれが通っていれば暴君を真似る。被害的な態度をとってそれが都合がいいと見るやそういうパターンを採用する。安直な宗教が表面的に自分を肯定してくれればそれに飛びつく。
だからジャイアンを治すためには、「合理的で真面目に自分で努力するパターン」が、本人にとって有利になるようなモデルを一方で提示しておいて、「現在のスタイルが行き詰まった状況」を作れば良いということになる。
幼児期、小児期の早い時期のジャイアンならば、家庭内の力関係などの環境を鋭敏に察知するので、周囲の大人や兄姉、学校の先生などが本人にインストールされてもいいような問題のない行動をしていることが一番大事だ。
本人にどうこうしろと言っても、結局力で押さえるパターンであれば、本人が強くなれば逆に力で押さえにかかるだろう。小さいころに力で押さえて言うことを聞かせることはできても、思春期になって家庭内暴力になったり、大人になってDVになったりする。
私は無口だが黙って努力して行動で示すスタイルの父親のおかげで、病的にはなったが、深刻な行動障害にはならなかったのだろう。
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