「ADHDの先延ばし」については、これまで何度か書いてきたが、「いわゆるADHDらしさがなくなる状態」として、自己診断をつける際にも考えておかなければならない除外すべき状況だ。

 どんなに明るくて天真爛漫でのびのびとしていたADHDも、ひとたび先延ばしの状態になると、とたんに「冴えない」状況に陥る。

 非常に重要で当たり前の「なすべきこと」に、「脳がそちらを向かないために」どうしても手をつけられず、「こんなことが何で出来ないのだろう」と自分自分に納得がいかなくなり、非常にADHDらしくない自己嫌悪や、気分の不安定、イライラ、抑うつなどを感じるようになる。

 その結果、典型的な現象は、「居留守」である。文字通りの寝たふりをして起きない居留守もあれば、電話を取らないとか、とにかく「知らん振り」「見ざる聞かざる」という形で露骨に逃げを打つ。

 いったん逃げたことで自分自身が許せず、その後は「嘘の上塗り状態」となり、「あのことを指摘されたら困る」という形でどんどん先延ばしする行動が膨れ上がっていく。

 極端な例は、社会に自立すること全体を先延ばしにする「引きこもり」になるケースと、「考えたくない」ために薬物やアルコール依存、時には食べ吐きやボーダー的な恋愛依存になることもある。

 ADHDにとって最大の問題は、「先延ばし状況では本来楽しめるはずの好きなことに集中できなくなる」ということだ。

 かくしてADHDは先延ばしの中ではおおよそ本来のADHDらしくないみっともない姿になる。正々堂々とするのの反対、正直率直の反対、終始現実的で前向きの反対等等。

 自分の借金の返済計画を先延ばししたり、近い家族の借金をはっきりさせることを先延ばししたり、大きな片付け自体を先延ばししたり、時には論文を先延ばししたり、そういう時期にADHDらしくない行動を自覚したら、先延ばしを疑おう。

 よく心療内科に「難治性のうつ状態」として受診するが、実は先延ばしさえ解決すれば、びっくりするほど簡単に回復する。 

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