2007.01.17 12:15 |  診療  |  研究  |  その他(医療関連)  |  ADHD関連  |  YANBARU  | 推薦数 : 6

ADHDの認知② 「今しかない」

 ADHDの認知①で説明した様にADHDの認知は基本的に断片的で、いろいろな要素が関連付けられないでバラバラになっている。時間の流れも同様で、「他の人にはつながった映画のように見えることが、ADHDには断片的なスライドの集まり」としか映らない。

 言ってみれば、ADHDにとってあらゆる瞬間が「今この世に生まれたばかり」とか、「新しい町に引越して来たばかり」のように感じられているのだ。 

 つまりついさっき数分前のことについても、ADHDに見えている世界では、すでにぼんやりかすんでおり、極端な話「少しでも場所が変わったら一旦全部頭から消えてしまう」というのに近い。

 ADHDにとって「明らか」なのは今現在の一瞬に眼に見えている自分の周りのことだけだ。後は過去のことも「一生懸命に思い出す」しかない。未来のことはなおさら、一生懸命に努力して考えればかろうじて想定できる。

 だから手帳やカレンダーに書いておかない限り、頭から一旦消えた情報は数日後に想起するのは困難で、やりかけの仕事も「まだ机の上にある」からやりかけと分かるだけだ。

 このままでは日常生活でもほとんど生活出来ないので、必要に迫られてメモを取ったり、何とか覚えて置けるような工夫をみんなして生きていくことになる。

 文字や記号で書いて残せるものは辛うじて残せるが、そういう記録が出来ないものはADHDには「残す努力」も出来ない。だからこの部分はADHDで無い人に、何とか理解をお願いするしかないと私は考える。

 「透明でない引き出しに入れてしまった瞬間に脳から消える」、「移動した瞬間に脳から消える」という脳で生きているという状況を想像してみて欲しい。文字通りに「今しかない」「目の前のことが全て」であるのだ。 

 「差別や偏見にとらわれず誰にも平等」というのも実は、「差別や偏見を意識しながら無視していて」という立派なことではなく、「差別や偏見自体、時には危険でさえ想起されないから」というのが実際のところだと思う。

 こういう意味では私はADHDはかなり重い脳の障害であると言えると考えている。

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