2012年度診療報酬改定では、政府が掲げる12年度の後発医薬品の数量シェア30%以上の目標達成に向けた使用促進策が前回10年度改定に続き、盛り込まれた。医療機関向けの使用促進策では「一般名処方加算」を新設、薬局向けでは「後発医薬品調剤体制加算」の要件と点数を見直した。
■一般名処方の普及目指し加算を新設
「後発医薬品調剤体制加算」は、要件となっている直近3か月の医薬品の調剤数量に占める後発品の割合と、点数を見直す。現行では後発品の割合が「30%以上」の場合を同加算3(処方せん受け付け一回につき17点)として最も高く評価しているが、この割合を「35%以上」に引き上げ、報酬を19点に引き上げる。また、「20%以上」の同加算1(6点)は「22%以上」(5点)、「25%以上」の同加算2(13点)は「30%以上」(15点)にそれぞれ改める=表1=。
一方、医療機関向けには、医師が後発品のある医薬品を製品名ではなく、一般名で処方した場合の評価として「一般名処方加算」を新設。処方せんの交付一回につき2点を算定できる。一般名で処方した場合、処方せんを受け付けた薬局側は、有効成分が同じであれば、先発品、後発品のいずれも調剤が可能となる。
また、医療機関で使用する医薬品のうち、後発品の品目数が2割以上の場合に算定できる「後発医薬品使用体制加算」(入院初日30点)を2段階評価に再編。3割以上の場合の同加算1は35点、2割以上3割未満の同加算2は28点を算定できる。
■緩和ケア入院料、入院期間別に評価
社会保障審議会の医療部会と医療保険部会がまとめた診療報酬改定の基本方針では、「充実が求められる分野」として、がんや生活習慣病、精神疾患、認知症など幅広い分野が盛り込まれている。

がん医療関連では、「緩和ケア病棟入院料」(一日3780点)を入院期間に応じた3段階評価に再編する。具体的には、30日以内で4791点、31日以上60日以内で4291点、61日以上で3291点と、入院が延びるほど点数を下げる(入院基本料、特定入院料には「栄養管理実施加算」「褥瘡患者管理加算」の包括分11点を含む、以下同)=表2=。緩和ケア病棟への入院待ちの患者が増加していることを踏まえ、在宅への移行を促進するのが狙いだ。
また、15歳未満の小児患者への緩和ケアに対する評価として、「がん性疼痛緩和指導料」「緩和ケア診療加算」と、12年度改定で新設する「外来緩和ケア管理料」に小児加算を設け、それぞれ50点、100点、150点の算定を認める。
さらに、地域でのがん診療連携の充実を図るため、要件の見直しを進める。具体的には、「がん診療連携拠点病院加算」(入院初日500点)について、現行では、別の医療機関の医師にがんと診断された紹介患者が入院した時のみ評価されているが、がんの疑いで紹介された場合も算定可能にする。また、入院には至らずに外来で化学療法を行った場合でも、連携を評価する仕組みとして、「がん治療連携管理料」(500点)を新設する。
「がん治療連携計画策定料」(750点)については2段階の評価に再編。同策定料1は現行の報酬を引き継いだもので、入院中だけでなく、退院後30日以内に計画を策定した場合も算定できるようにする。また、同策定料1を算定している患者の状態に変化があり、計画を策定した病院がこれを変更した場合(がん治療連携指導料を算定した場合に限る)は、同策定料2として月一回に限り300点を算定できる。
■屋内全面禁煙を施設基準に
生活習慣病対策としては、糖尿病患者の透析療法への移行を予防するため、透析予防診療チームによる指導を評価する「糖尿病透析予防指導管理料」を新設する。透析療法を実施していない糖尿病性腎症第2期以上の患者に対し、糖尿病指導の経験を持つ医師と、看護師か保健師と、管理栄養士が専任で指導管理した場合、月一回350点を算定できる。
また、病院での屋内全面禁煙を促すため、生活習慣病、小児、呼吸器疾患の患者らに対する入院基本料などの加算や医学管理料を算定する場合、原則として屋内全面禁煙とすることを施設基準に盛り込む。ただ、緩和ケア病棟や精神病棟関連の入院料を算定している病棟は分煙を認める。経過措置として6月末までは、これまで通り算定が可能。
■精神科急性期で「連携紹介加算」など新設
精神科急性期医療では、身体合併症患者への対応の評価として、手術などによって一時的に一般病棟に転棟や転院した場合、精神病棟に再転棟や再入院時に「精神科救急入院料」「精神科急性期治療病棟入院料」「精神科救急・合併症入院料」の再算定を可能にする。
また、精神病床に入院中の患者が身体合併症を発症した際、精神科医と内科医や外科医が協力して医療を提供した場合に、一日につき350点を算定できる「精神科身体合併症管理加算」の報酬を450点に引き上げる。
さらに、後方病床の評価として、精神科救急医療機関に緊急入院した後、状態が落ち着いた患者を入院日から60日以内にほかの精神科医療機関に転院させた場合の紹介側と受け入れ側の双方の評価として、「精神科救急搬送患者地域連携紹介加算」「精神科救急搬送患者地域連携受入加算」を新設。それぞれ退院時1回1000点、入院初日に2000点を算定できる。
これに加え精神病棟入院基本料でも、急性期医療機関からの転院を受け入れた場合の評価として「救急支援精神病棟初期加算」を新設。一日につき100点、最大14日まで算定できる。
また、10年度改定で「精神療養病棟入院料」の「重症者加算」(一日につき40点)を新設後、精神科療養病棟での重症者の受け入れが進んでいることを踏まえ、同加算を2段階評価に再編。精神疾患の重症度を表すGAFスコアが30以下で一日につき60点、40以下で30点が算定できる。
さらに、専従の精神保健福祉士と、1人の専従の従事者(看護師や作業療法士など)が勤務する退院支援部署の支援で退院した場合の評価として「退院調整加算」を新設。退院時に500点の算定が可能となる。
■認知症入院料、「30日以内」の早期治療を評価
認知症対策では「認知症治療病棟入院料」について、入院日数が60日以内と、61日以上の場合の2段階評価となっている現行の評価体系を見直し、新たに30日以内の早期治療を評価する3段階評価に変更する=表3=。
認知症の行動・心理症状(BPSD)は、おおむね1か月程度で改善されるといわれていることを踏まえ、30日以内の報酬を最も手厚くすることで、早期退院を推進したい考えだ。
■感染防止加算、人員要件緩和の場合との2段階に
院内感染防止のための対策チームの業務を評価する「感染防止対策加算」を「医療安全対策加算」から独立させるとともに、対策チームの人員要件を緩和した場合の評価を新設し、2段階評価に改める。
入院初日に400点が算定できる感染防止対策加算1では、専任の院内感染管理者の配置や、専任の医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師で構成される感染防止対策チーム(医師か看護師のどちらかは専従)の設置が必要。一方、100点が算定できる同加算2では、対策チームの医師や看護師は専任でも可能となっている。同加算1の算定医療機関と同加算2の算定医療機関は、それぞれと異なる方の加算を算定している医療機関と年4回以上、共同カンファレンスを開催する必要がある。
また、同加算1を算定している医療機関同士が連携し、年1回以上、それぞれの医療機関の感染防止対策の評価を行った場合に、入院初日に100点が算定できる「感染防止対策地域連携加算」を新設する。
■回復期リハ入院料は3段階評価に
「回復期リハビリテーション病棟入院料」を2段階評価から3段階評価に改める=表4=。最も報酬が高い同入院料1(一日につき1911点)では、▽看護配置が常時13対1以上▽在宅復帰率が7割以上▽新規入院患者の3割以上が重症患者―などが要件となっている。
重症患者の3割以上の日常生活動作(ADL)が改善されている場合に算定できる「重症患者回復病棟加算」(一日につき50点)は、同入院料1、2と包括して評価され、ADLの改善要件は報酬改定後、これらの要件に組み込まれる。
また、各種疾患別の「早期リハビリテーション加算」(一単位につき45点)は、治療開始日(あるいは発症や手術、急性増悪した日)から起算して30日目まで一律となっている現行の評価を見直し、新たに14日以内に限り算定できる同加算1と、15日以上30日以内の同加算2に再編。同加算1はリハビリテーション科の医師が勤務している医療機関の場合は75点、そうでない場合は30点と評価を分け、同加算2は一律30点と設定した。
■薬剤情報提供料を薬剤服用歴管理指導料に統合
薬剤の名称や用法・用量、服用の注意事項について、お薬手帳を活用して情報提供した際に評価する「薬剤情報提供料」(処方せんの受け付け一回につき15点)を、「薬剤服用歴管理指導料」(同30点)に統合。残薬の確認を行うことや、薬剤情報提供文書に後発医薬品の情報を記載し、患者に提供することを要件に追加し、同指導料を41点に引き上げる。
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