高脂血症など脂質異常症の治療薬がアルツハイマー型認知症の予防や抑制にも有効であるとする研究成果を、福井大医学部の濱野忠則講師(46)が31日、同大松岡キャンパス(永平寺町)で会見し発表した。論文はオランダの国際科学誌「ニューロバイオロジー・オブ・エイジング」電子版に掲載された。
認知症患者は全国に200万人いるとされ、中でもアルツハイマー型はその5~7割を占める。治療は症状を軽くする薬物投与が主で、根本的な治療法はないという。従来、脂質異常症の治療で一般的な薬「スタチン」を処方された患者に、発症が少ないとの研究はあったが、十分知られておらず、仕組みも分かっていなかった。
濱野教授は、脳の神経細胞が死ぬ「神経原線維変化」と、その原因となる「タウタンパク」の変質に着目。アルツハイマー型の特徴のうち、これまであまり注目されてこなかったもので、2007年から研究を始めた。実験ではスタチンの一種「ピタバスタチン」の投与前後を比較し、投薬後はタウタンパクの変質をもたらす特定の酵素の活性が、大きく減少していることを確認。その結果として、細胞内の変質したタウタンパクが減少することも確かめた。
論文は昨年11月29日発行の科学誌に掲載された。既に10年秋から、同病院の患者を対象にした臨床研究で、認知機能の改善具合などの検討を始めている。今後5年間でさらに100人程度で効果を検証する計画。
濱野講師は「脂質異常症の薬が認知症にも効果があると示せた。既に安全性が確認された薬であり、3~5年以内の適用拡大を目指したい」と話した。さらにタウタンパクは「前頭側頭葉型」認知症など、他の神経変性疾患にも関係している点を指摘し「治療へのさらなる応用も期待される」と研究の進展にも触れた。(柴田裕介) 福井新聞
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