高齢者医療制度に国民の声を

【第122回】大澤豊さん(映画監督)

 1950年代、貧しさから医者にかかれずに死んでいくことが当たり前のようになっていた岩手県沢内村(現西和賀町)。映画監督の大澤豊さんは、劇映画「いのちの山河~日本の青空Ⅱ」の中で、日本初の老人医療費無料化の実現に奔走した沢内村の深澤晟雄(まさお)村長の生涯を描き、「命は平等だ」と訴えた。後期高齢者医療制度は高齢者の負担が多くなることが一番の問題だったと主張する大澤さんは、新しい高齢者医療制度については国民の声をもっと反映させ、議論すべきだと話す。(池島貴裕)

 「いのちの山河~日本の青空Ⅱ」は、深澤氏が故郷の沢内村に帰郷して来るシーンから始まる。当時の沢内村は無医村で、豪雪や多病、貧困に苦しんでいた。無医村の影響もあり、特に高齢者や乳児の死亡率が高かった。

人間の尊厳の尊重を
―「いのちの山河~日本の青空Ⅱ」を撮ろうと考えたのはなぜでしょうか。
 日本で高齢化が進む中、高齢者の孤独死が多発するなど、時代の流れも考えてこのテーマにしようと思いました。人間にとって、最低限度の生活とは何なのかを再考する必要があると。

―この映画で何を一番伝えたいとお考えですか。
 人間の尊厳を尊重するという理念でしょうか。物や金がいくらあっても、命をなくしたら何にもならない。金銭面などあらゆる面で、平等を保つ必要があるとは必ずしも思いません。しかし、最低限、医療を受ける機会など、生命に直結する分野では平等であるべきだと思います。ですから、歴史的な事柄としても、一つの村が医療費無料化を実現した事実などを伝える必要があると感じました。

―映画の反響はどうでしょうか。
 かなりありました。特に多いのは、「深澤村長のリーダーシップから、学び地方自治とはどうあるべきか為政者に見てもらうべきだ」といった声です。
 映画では、村内で改革を進める深澤村長の姿を描いています。深澤村長は「改革に取り組むに当たって、まずは村民の声が必要」と考えます。実際、村中を歩き回り、「行脚と対話」を重ね、現状の制度に対する不満や、どこをどう変えるべきと考えているかなどを徹底的に聞いて回った。ここで聞いた意見を基に、村の貧しさを最も分かっている女性に積極的な発言を促すことを目的に婦人会を立ち上げたり、豪雪のために使えなくなっていた道路をブルドーザーで除雪したりする。さらに、「冬季バス」を開通させるなど、住民の生活水準を向上させるためのさまざまな改革を進めていきます。

理想は高齢者に負担をさせない制度
―新しい高齢者医療制度づくりの議論を進めていますが、大澤さんはこの制度についてどのようにお考えでしょうか。

 まず、後期高齢者医療制度の一番の問題点は、高齢者の負担が大きくなったことではないでしょうか。後期高齢者医療制度は、高齢者の医療費が高くなるにつれて、保険料の負担も大きくなります。高齢になると医療機関で受診する回数も増え、医療費が高くなるのは、ある意味自然なことだと思います。それによって保険料の負担も大きくなり、高齢者の負担が増すのはおかしいのではないでしょうか。負担増によって、高齢者の将来の不安にもつながっていくのではないかと思います。
 さらに「後期高齢者」をほかの世代と区分して、根本的に老人を差別していたのではないかとも感じます。国には、長年にわたって一生懸命貢献してきた高齢者をもっと大事にしてほしい。高齢者医療制度に関して言えば、70歳を過ぎたら国が公費で医療費の面倒を見るぐらいのことをすべきだと個人的には感じます。財源確保などの課題もあるとは思いますが、理想としては、無駄な予算を削減して、税金を上げずに何とか確保してほしいと思います。
 もう一つ、新しい制度をつくる上では、そのプロセスをもっとオープンにして、深澤村長が村民の声を聞いて回ったように、政府も国民の声をもっとしっかりと集めるべきだと感じます。今は国民の目線に立っていない。国民が何に関心を持ち、何をどう改善してほしいと考えているのか、しっかりと探るべきでしょう。医療制度という、わたしたちの生命に直結する部分については、なおさらです。制度そのものを、国民に寄り添ったものにして、長生きしてよかったと思うようにしていけるかどうか。今は、あまり長生きしたいと思う人はいないのではないですかね。この点を改善していってほしいと思います。

 深澤村長は、貧しさから医療を受けられない村民がいる状況を打破すべく、老人医療費を無料にすることを決意する。国と県からは「国民健康保険法違反だ」と警告されるが、周囲の反対を押し切り1960年、ついに65歳以上の医療費無料化を実現。翌61年には、60歳以上に対象年齢を引き下げるとともに、乳児の医療費も無料化した。やがて沢内村では、高齢者や乳児だけでなく村民全体の医療機関の受診率が向上。全国でも最悪の水準だった1歳未満の乳児の死亡率は、62年に全国で初めてゼロになった。

もっと国民の声を
―高齢者がもっと住みやすい環境にするにはどうすればいいでしょうか。

 この夏には、100歳以上の高齢者の所在が不明になっているケースが相次いで明らかになりました。高齢者の居所を身内すら把握しておらず、行政の管理もずさんです。この国全体が、お年寄りを大事にしようとする精神を失いつつあるという気がします。こうした状況では、単に医療制度だけを改善しようとしても、うまくいかないでしょう。
 さらに言うと、国内では近年、自殺者の数も年間3万人を超えています。かつては全国津々浦々に形成されていた地域ごとのコミュニティーも崩壊が進み、国全体が、何か殺伐とした雰囲気に覆われている感じがします。医療だけでなく、こうした状況そのものを改善するための政治が必要だと思います。
キャリアブレイン

やはり高齢者の総意が含まれないと不満がでるでしょうね?ですね!

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使えば使うほど「脳」強くなる、ホルモン取り込み仕組みを発見

認知症予防に期待

 細胞の成長や保護に重要な栄養素となるホルモンが、脳の活動が活発な部分だけに血液中から取り込まれることを、征矢(そや)英昭・筑波大教授と西島壮(たけし)・首都大学東京助教らのグループが発見した。

 脳機能を維持するのに学習や運動などが不可欠であることを実証したもので、将来、認知症予防など脳を健康に保つためのプログラム開発につながると期待される。科学誌ニューロン最新号に掲載された。グループは、筋肉の新生や機能の維持に重要な役割を持つホルモン「IGF―1」が脳神経にも作用することに注目。しかし、血管と脳の間には「血液脳関門」という関所があり、このホルモンが脳に取り込まれる仕組みは謎だった。

 ラットの実験で、ヒゲを刺激すると神経活動が活発になる脳の部分だけに、血中からIGF―1が移動することを確認。神経活動が高まり、脳の血流量が増えることが引き金となり、特殊な酵素がIGF―1の分子を小さくして、脳の関所を通りやすくすることも突き止めた。征矢教授は「脳の神経活動そのものが強力な栄養素を取り込み、さらに脳機能が強化される好循環を生む」としている。

読売新聞)

頭はやっぱり使わないとだめなんですね!刺激はある方がいい!

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