厚生労働省の補助事業で、2005年度から日本内科学会が主体となって実施してきた「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を4月から継承した日本医療安全調査機構は9月7日、運営委員会を開き、死亡時画像診断(Ai)の運用案などを基に、モデル事業の今後の方向性について議論を行った。
同機構では今後の方向性を検討するために「ワーキング部会」を設置。8月30日に開かれた部会では、Aiの活用のほか、▽依頼医療機関での解剖▽地域の体制および評価委員の見直し▽院内事故調査委員会を基本とした評価▽再発防止策の提言―について検討した。部会での検討状況を報告した同機構の山口徹監事は、Aiの活用について、「ポイントは、説明をすることによってご遺族から解剖の承諾を得るところにある」と強調した。
同日の部会で大筋了承され、7日の運営委に示された「モデル事業における死亡時画像診断の運用案」によると、遺族から解剖の承諾が得られている場合はAiを行わずに従来通りの調査を実施。一方、解剖の承諾が得られない場合については、全国10地域の調査受付窓口に死因の調査依頼をしてきた医療機関にAiも活用できることを伝え、遺族の希望の有無や、依頼医療機関での撮影の可否を確認する。ただし、当面の間、Aiを実施しても解剖されなかった場合は対象事例として取り扱わないことなどを依頼医療機関や遺族に説明する。Aiの費用は、対象事例になるかどうかにかかわらず、モデル事業で負担する。
解剖の承諾が得られなければ対象事例とならないが、遺族から体の解剖の承諾は得られたものの開頭の承諾が得られない場合は、頭蓋内病変が死因である可能性が低いとモデル事業の担当医師が判断すれば、頭部CT撮影で代用できる。
運営委の議論では、委員からAiの活用に対する意見が相次いだ。黒田誠委員(日本病理学会担当理事)は、「大半の国民は、普段かかっている医療機関で(死後画像が)撮影されることもほとんど知らない。医療現場に持ち込めば、新たな疲弊を招く」と指摘。Aiの有用性と限界に触れた上で、「国民に正しい情報を流して、正しい理解をしていただかないと、(Aiで)すべてが分かってしまうと誤解している人がたくさんいる。慎重に始めていただきたい」と述べた。的場梁次委員(阪大大学院医学研究科社会医学専攻法医学教授)も、「Aiをやるから解剖をしなくていいということは全くない。解剖するかどうかの1つのスクリーニングとして導入するということだ」と強調した。
野口雅之委員(筑波大人間総合科学研究科診断病理学教授)は、「今後、Aiをスクリーニングとして取り入れて、財政的な基盤と人がある中でこの事業が進んでいけば、それなりに経験を積んだ診断医を育てることができるかもしれない。そういう意味で入れていくならば賛成だ」と述べた。これらの議論を受け、児玉安司委員(三宅坂法律事務所弁護士)はオブザーバー参加していた厚労省側に対し、「Aiか解剖か、との論点ではなく、できるだけ対立の形にしないように十分ご配慮いただきたい」と要望した。
次回会合は11月下旬にも開かれ、今後の部会での議論などを踏まえ、引き続き今後の方向性について議論する予定。
■日本医学放射線学会の今井理事が委員に就任
事務局は会合の冒頭、日本医学放射線学会の今井裕理事が、運営委の委員に同日付で新たに就任したことを発表した。事務局によると、前回会合で示された「モデル事業見直しの方向性」に盛り込まれた「死亡時画像診断の活用」を具体化するために就任を依頼した。費用面を含めた活用方法について、同学会と相談・連携をしながら検討を進めるという。
キャリアブレイン
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