高松市沖の大島にある国立ハンセン病療養所「大島青松園」で、約25年前に捨てられたコンクリート製の解剖台が海中から引き揚げられた。かつての強制隔離を象徴する「負の遺産」といえ、19日に大島など瀬戸内海の七つの島を舞台に開幕した「瀬戸内国際芸術祭2010」で展示される。入所者自治会の山本隆久会長(77)は「何百人という人がこの解剖台に載せられて旅立った。どういう歴史があったのか感じてほしい」と話している。
青松園は1909(明治42)年に開園。山本さんによると、旧治療棟の横に解剖室があり、患者の遺体解剖をしていた。合併症を患った人や想定より長生きした人など医師の希望通りに解剖ができたといい、患者は入所時に「解剖承諾書」を書かされたという。52年に入所した山本さんも書いた。
解剖をしない場合も、軽症者が遺体を台に載せて納棺の準備をした。山本さんは「21歳のころ、布切れとバケツの水で遺体をふいた。コンクリートの塊の上に載せられてモノのような扱いだった」と振り返る。
引き揚げられた解剖台は長さ約2メートル、高さ約80センチ、幅約70センチ。85年ごろ、治療棟を建て替えた際に捨てられたとみられ、解剖室もなくなった。
大島での芸術祭のディレクターを務める名古屋造形大学の高橋伸行准教授は、この話を聞いて引き揚げを検討。「悲しい歴史があり、二度と見たくない人もいるかもしれない」と迷い、山本さんに相談した。自治会で話し合った結果、「単なる見せ物ではなく、見た人が感じるものがあれば意義があるはず」と展示することにした。
解剖台は今月8日、島の西側にある岸壁付近の海中からショベルカーで引き揚げた。コンクリートが劣化していて二つに割れたが、中央の排水管なども残っていた。
高橋准教授が芸術祭で進める「やさしい美術プロジェクト」は、青松園に元からある施設をギャラリーやカフェに改装、「入所者の暮らしや時間をそこに見る展示」をする。解剖台は供養をした後、元住居棟を改装した「GALLERY15」前に展示する予定。芸術祭は10月31日まで。【広沢まゆみ】毎日
歴史を感じますよね!
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75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の廃止に向け、厚生労働省が検討している新制度の骨格案が明らかになった。自営業者や無職者のための国民健康保険(国保)への加入を基本とするが、サラリーマンやその配偶者らは国保ではなく、被用者保険に入ることが柱だ。
骨格案は、23日に開かれる長妻厚労相主宰の「高齢者医療制度改革会議」に中間取りまとめ案として提示される。同会議は年末までに最終案をまとめる予定で政府は2013年度から新制度に移行する考えだ。
75歳以上を一律に別建ての制度に加入させる現行の後期高齢者医療制度は、年齢による区分に「差別だ」という批判が出ていた。これを受け、新制度では、高齢者の加入先を現役世代と同じく国保と被用者保険とする。全員が国保に入ることも検討されたが、サラリーマンのまま国保に入った場合の負担増などを考慮し、加入先を二つに分けた。
後期高齢者医療制度の前の老人保健制度でも高齢者は国保か被用者保険に加入していたが、高齢者の多額の医療費を高齢者と現役世代がどんな割合で負担しているかは不明確だった。こうした事態を避けるため、新制度では現行制度と同様、高齢者の加入部分は都道府県単位で運営し、現役世代と別会計とする方向だ。患者負担分を除いた医療費「医療給付費」の1割相当を高齢者からの保険料でまかなう仕組みも継続される見通しで、新制度でも高齢者の保険料負担が増えないようにする。
新制度では、家族と保険証が別になったり、年金から保険料が天引きされたりという、現行制度の不都合が解消される見通しだ。
ただ、今年度は約12兆円で、5年後には約15兆円に膨らむとされる高齢者の医療給付費をどう分担するかは、詳細には決まっていない。現在は公費5割、現役世代の支援金4割、高齢者の保険料1割となっている。現役世代の支援は続く見通しだが、同会議では公費負担拡充による現役世代の負担軽減を望む声も強い。
◆会社員らが加入◆
被用者保険 会社ごとや職業ごとに設けられた公的医療保険。大企業のサラリーマンとその家族が加入できる健康保険組合、中小企業対象の全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)、公務員らの共済組合などがある。
(読売新聞)
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