10年ぶりにネット(総額)での引き上げとなった2010年度診療報酬改定では、改定財源として入院に約4400億円、外来に約400億円が充てられた。2012年度の介護報酬との同時改定の「前哨戦」と見られている今回の改定。2年前と同じく「大規模病院に有利」という声もあるが、地域医療を支える中小病院への影響はどうか。現場の声を聞いた。
■外来部門は?
一般病棟10対1の看護体制を敷く東京都内のA病院(82床)の担当者は、今回の報酬改定について「病院の機能によって影響がいつにもまして全然違う」と話す。
この担当者の実感だと、改定後のプラス幅は病院では「ゼロに近いところから5%」というところ。「大きな病院では若干余裕が出ると思うが、中小の病院について言えば、この改定で地域の医療崩壊が救われることはないだろう」。
A病院では、今年1月の実績分を新点数に置き換えた場合、月間ベースで約240万円の増収になるという。
2010年度診療報酬改定では、病院の再診料を従来の60点から9点引き上げる一方、診療所は71点から2点下げ、69点に統一された。また、08年度に導入された「外来管理加算」(52点)の「5分要件」は廃止され、薬の処方などをメーンに受診する“お薬外来”を無くすため、診察に基づく医学的な判断などの「懇切丁寧な説明」の実施を引き続き求められた。
A病院の担当者は、再診料の引き上げは「よかった」と一言。ただ、外来管理加算の「5分要件」の廃止については、「どの医療機関も大した影響はないのではないか」と見ている。
一方、「ひと息つけた」と語るのは九州地方にあるB病院(介護療養100床、一般病床89床)の医事課担当者。とはいえ、2年後への不安は隠せない。「医療療養病床やDPCで、国は病院のデータを集めている。次はバッサリやられるのではないか」。
B病院では、「5分要件」の廃止により、外来管理加算の算定が前年度から3割程度増える見通しで、月10万円程度の増収を見込んでいる。ただ、検査料やレントゲンの撮影料などが下がったため、外来部門全体での増収幅は限定的だ。
熊本県内のC病院(166床)の事務長も、再診料引き上げと「5分要件」廃止の影響はほとんどないとみている。再診患者が少ない上、診察・検査など所定のプロセスをこなせば、これまでも大半が5分を超えているからだ。
■入院・手術部門は?
A病院は看護補助者の増員を行わなくても「急性期看護補助体制加算1」(14日まで120点)を算定できたため、月間ベースで103万円の増収になる見込み。一般病棟用の「重症度・看護必要度」の評価票による入院患者の評価など、看護スタッフの業務量が増えたが、不平不満は特に出ていないという。「今は病院一丸となってできることはやっていかなければいけない時代」と担当者は話す。
今回の改定では、多職種のチームの取り組みに対する評価として「栄養サポートチーム加算」(週1回200点)などが新設されたが、A病院では、算定要件を満たすことが「病院の規模的に難しい」という。算定には、院内全体の業務の見直しなど、検討すべき課題が多い。
一方、B病院では、「超重症児(者)入院診療加算」などが後期高齢者でも算定できるようになったため、月30万円程度の増収を見込んでいる。今後は、栄養サポートチーム加算も届け出る方針だ。
C病院でも栄養サポートチーム加算を算定し、これで200万-300万円の増収になると見ている。
同病院の事務長は、「何と言っても手術料アップが大きい」。主力の消化器系の手術料が軒並み引き上げられたため、年間2000万円規模の増収を見込んでいる。
■今後の病院運営は?
A病院の担当者は、10年度の改定で「将来的に各医療機関が機能分化して、互いに連携することで地域医療を守るというラインが見えてきた」という。今後は、地域医療を守るためにも、地域で自院が生き残るためにも、地域の医療機関全体が意識改革して連携体制を築く必要があると感じている。
B病院では今回の改定に先立って、医療療養などがメーンだった病棟を、介護療養病棟や一般病棟(10対1)、亜急性期病床などに再編した。国は05年末、介護療養病棟を6年後に廃止する方針を打ち出しており、今後は介護療養を他の病棟に移行すべきかどうか、国の動きをみながら見極める。
一般病棟の回復期リハビリテーション病棟への移行も視野にあるが、スタッフの大幅な増員が必要なため、慎重に検討する考えだ。
C病院では、県によるがん診療連携拠点病院の認定取得を目指す。「がん治療連携計画策定料」(退院時750点)など、がん診療連携拠点病院かそれに準ずる病院しか算定できない診療報酬があるためで、認定を受けることでこれらの点数の確保を目指す。キャリアブレイン
まだ結論出ないでしょう!
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■医療通訳士養成、難易度高い講義
「日本語の『上皮小体』は、そのまま読むとシャンピーシャオティですが、通訳としては間違っています。中国語で上皮小体は『甲状傍腺(ジャージョウパンシェン)』、これが正解です」。
東京都千代田区の語学スクールで行われている中国語の医療通訳養成講座の一コマ。講師が受講生に示すのは、人体の構造をイラストで図解した日本語のテキストだ。
受講生は、臓器や各器官の名称を日本語と中国語の両方で確認しながら、それぞれの仕組みや他の臓器とのかかわり、病気の種類や治療法に至るまでを学ぶ。中国語が母語の受講生でも、講義に付いて行くのに必死だ。
講師は現地の医師免許を取得している中国人で、日本の大学でも研究歴が20年以上に及ぶ。このため、日本語での解説も実に流ちょうだ。
受講生10人の年齢層は30-50歳代で、8人が中国人。医療通訳を目指す動機もさまざまだ。観光通訳として長年活躍してきたが、病院での通訳を頼まれたものの専門知識が無く、言葉の解釈をめぐりトラブルになりかけた苦い経験を持つ人もいるという。
講座を開いた東京通訳アカデミーの岡村寛三郎学院長は、医療ツーリズムが世界規模で急激に広がる中、近い将来、日本国内でも医療通訳の需要が高まるとにらんでいる。昨年9月に開講して1期生を募ると、中国語のクラスには12人が集まった。
医療通訳に必要な知識を体系立てて教えるノウハウや前例がなく、すべてが手探りの状態だ。岡村氏は「命にかかわわる医療現場が活躍のフィールド。知識が足りないよりは必要以上の知識を身に付けてもらうため、難易度は高くせざるを得なかった」と話す。
現在の2期生は、今年3月からの4か月間で必要な知識を習得し、7月にはアカデミー独自の技能検定試験を受ける。これまでに試験に合格した1期生たちは、国内に仕事が少ないため、中国の邦人系病院などで医療通訳として働いているという。しかし、今後は日本国内でも、医療機関や地方自治体、旅行会社などで医療通訳が求められる可能性が高い。
岡村氏は「受け入れからアフターケアまで、言葉をつなぐ役割はすべての段階で重要。医療通訳の養成が、国内の医療ツーリズムの成否を分けるといっても過言ではない」と意気込みを見せる。
■経産省、課題解決策を検証
医療ツーリズムを軌道に乗せようと、官民が共に動きを活発化させている。
経済産業省は4月、日本による医療ツーリズムを発展させる上での課題を明確しようと昨年度に実施した「国際メディカルツーリズム調査事業」の報告書を公表した。医療ツーリズムへのニーズが高く、地理的に日本に近いロシアと中国を「有望な市場」となる可能性が高いとする内容だ。
報告書では、外国人患者の受け入れ拡大に向けた課題として、▽医療ツーリズムを行う医療機関の裾野拡大▽海外の保険会社との連携▽帰国した患者からの問い合わせ対応などのアフターフォローの充実▽日本の医療の認知度向上-などを挙げている。
同省では今年度、これらの課題をどう解消していくか、検討を本格化させる。既に、外国人を受け入れる医療機関が整備すべき体制などについて、厚生労働省との話し合いを始めたという。
同省の担当者は「国として応援できるところはしていきたい」と話している。
全国の民間病院などが加盟する全日本病院協会は昨年度、「国際メディカルツーリズム事業委員会」を立ち上げた。今後、中国人やロシア人をターゲットとした医療ツーリズムの実施施設向けに、認証制度の検討を進め、年度内に方向性を出すという。
医療ツーリズムに取り組む施設が取得する認証としては、JCI(Joint Commission International)が知られているが、全日病委員会の神野正博委員長は「中国人やロシア人をターゲットにするなら英語でパンフレットを書く必要はない。中国人が納得するJCI以外の認証システムが必要だ」と話す。
旅行業大手のJTBは、医療ツーリズムを専門に扱う「ジャパンメディカル&ヘルスツーリズムセンター」を4月に設置し、海外の患者からの受診予約や医療費の精算管理、通訳、送迎、宿泊手配などを代行する一体的なサービスの提供を始めた。
外国人患者の売れ入れに当たっては、医療サービスを提供したものの、料金を回収できなかったり、受け入れを仲介した業者が逃げたりするケースもあるという。同社の担当者は「患者さんの受け入れから料金の決済まで、医療機関をサポートしたい」と話している。
国の後押しを背景に、関係する業界の動きが活発化している。ある関係者は「今年は医療国際化元年」と表現する。アクセンチュアの杉村知哉氏は「いろいろな課題があるが、日本の医療ツーリズムは始まったばかり。日本の医療が世界に貢献できるのは喜ばしい」と期待している。キャリアブレイン
確かに言葉難しいよね!
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