後発品が出るまで、あるいは薬価収載後15年までの新薬を対象に、新薬創出加算の試行がスタートした。薬価差の面から見れば、医療機関に対しそれを保障する制度であるが、医療機関側から見ると必ずしも「制度の維持が得策」とは言い切れない。薬価引き下げ分は基本的に診療報酬本体の改定財源となることを考えると、新薬創出加算として薬価差を温存させる分だけ、診療報酬本体の改定財源は削られる。医療機関にとって薬価差と改定財源とどちらがいいかは考えどころだ。
診療報酬改定の主要財源は、10年ぶりのプラス改定となった今回もやはり薬価引き下げによるものである。
診療報酬本体は1.55%の引き上げとなったが、うち薬価と材料価格の引き下げ分が1.36%であり、プラス分はその差0.19%である。薬価引き下げ分だけで見ると1.23%が改定財源となっている。
薬価引き下げ分1.23%は、本体引き上げ率1.55%の79.4%、ほぼ8割を占めており、ほとんどが薬価引き下げを財源としている。
こうした状況の中で、今回は、薬価制度改革で新薬創出加算が導入された。その加算分は医療費ベースで約700億円とされている。本来であれば、この700億円分も薬価引き下げが行われ、本体改定の財源となるはずのものであった。
700億円は、今回のネットプラス0.19%の医療費ベースの金額と同額となる。つまり、新薬創出加算分700億円を加算ではなく、引き下げに回した場合、薬価改定率は1.23%+0.19%=1.42%のマイナスとなり、一方、診療報酬本体改定率は1.55%+0.19%=1.74%となる計算だ。
ただし、この場合、薬価引き下げが0.19%深堀りされ、その分が本体改定に回るだけで、ネットとしてのプラス分0.19%が増えるわけではない。
ネットプラスの幅は変わらないが、本体改定の財源は増える。診療報酬本体改定では、今回、再診料の病診統一問題があり、改定財源の制約を理由に、診療所の再診料の2点引き下げという公益委員の裁定が行われた。
新薬創出加算を導入する薬価制度改革は、診療報酬の改定率が決定される前に、中医協で診療側も同意して決定された。したがって、この加算分の財源があれば診療所の再診料の引き下げは必要なかったということにはならず、そうした議論も起きてはいない。
しかし、新薬創出加算制度の導入に対し、議論のスタートから中盤までは診療側の主役の座にいた日本医師会が、反対とまでは言わないにしても懐疑的な姿勢を貫いていた背景には、それにより薬価改定率が縮小されその分だけ診療報酬本体の改定率も縮小されることへの懸念もあったと推測される。
こうした中でスタートした新加算制度の試行である。そしてその中には薬価差拡大の要素もはらんでいる。そのまま、薬価差の拡大につながるようであれば、今度は支払側が強く見直しあるいは本格導入への阻止を求めることになる。それに対しては診療側も抵抗することはないだろう。診療側としては、薬価差は薬価改定で縮小しその分を診療報酬本体の改定で対応できれば問題はない。
新加算制度の試行を成功させ、本格導入への道を開くには、薬価差の拡大を避けることが至上命題となる。それはメーカー側が、医療機関と卸をいかに説得できるかにかかっている。新加算制度は新薬の薬価差を温存させるものではあるが、薬価差の拡大は避けなければならない。新薬の薬価差の温存に加えメーカーの利益も確保することによって、未承認薬・適応外薬の解消を図り、長期的には革新的な新薬の創出に結びつけるものであること、この2年の間に少なくとも未承認薬・適応外薬の解消では一定の結果を出す強い決意を持っていること、そのことの理解を得ることが必須となる。オンラインメドニュース
だから医療費上がってないんですね?病院のほうに回したことは、開業医は下がったことですね?
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